『こころ』はミステリだった? ハードボイルド? 恋愛小説? スゴ本オフ「漱石の『こころ』の次にオススメする本」

2015年6月14日。渋谷にあるIT企業HDEさんのオープンラウンジで開催された、スゴ本オフ「漱石の『こころ』の次にオススメする本」のまとめです。
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根岸智幸 @zubapita

(承前)そこで『風雪のビヴァーク』松濤 明(ヤマケイ文庫)。稀代のアルピニスト、松濤明が昭和23年12月から北アルプスの北鎌尾根に入ったものの、悪天候で身動きがとれなくなる。死を目前にして彼が残した手記を、死後発見されてまとめたもの。(続く) #スゴ本オフ

2015-06-14 15:47:25
根岸智幸 @zubapita

(承前)最後は「一月六日 フーセツ 全身硬ッテカナシ、何トカ湯俣迄ト思フモ有元ヲ捨テルニシノビズ、死ヲ決ス ・・・」で最後は借りた米代を返してくださいと書きかけて、亡くなっている。遺書は感謝の気持ちに溢れている。(続く) #スゴ本オフ

2015-06-14 15:47:29
根岸智幸 @zubapita

(承前)山に登る人は山で死にたいわけではないが、死ぬのも仕方ないという覚悟もある。もうひとつ、先生がなぜあそこまでひねくれてしまったのか? 人間は善人の顔をしていても、悪になっていくと言っている。(続く) #スゴ本オフ

2015-06-14 15:47:32
根岸智幸 @zubapita

(承前)同じことが鬼平犯科帳』池波正太郎(文春文庫)の中で描かれてる。池波正太郎が漱石を意識したと思われる一節がある漱石は「情か智か」の2択だったが、池波正太郎は両方必要だと述べている。人間の善悪に悩んだときに読んで欲しい。(了) #スゴ本オフ

2015-06-14 15:47:34
スゴ本の中の人 @Dain_sugohon

遺書つながり、で真っ先に連想したから。稀代のアルピニストである著者が昭和23年12月から北アルプスの北鎌尾根に入ったものの、悪天候で身動きがとれなくなる。 #スゴ本オフ

2015-06-14 15:39:22
スゴ本の中の人 @Dain_sugohon

死を目前にした彼の手記「一月六日 フーセツ 全身硬ッテカナシ、何トカ湯俣迄ト思フモ有元ヲ捨テルニシノビズ、死ヲ決ス オカアサン アナタノヤサシサニ タダカンシヤ・・・」。先生の遺書が言い訳、弁明に終始していたのに比べて、感謝や祈りにあふれている。 #スゴ本オフ

2015-06-14 15:39:35
スゴ本の中の人 @Dain_sugohon

死に直面したときに、人は何を思うのか。言い訳ばかりの「告白」なのか、感謝のことばなのか。『こころ』のフィクションを経た後のドキュメンタリーは、めちゃくちゃリアルに見える。 #スゴ本オフ

2015-06-14 15:40:54
スゴ本の中の人 @Dain_sugohon

そして、池波正太郎『鬼平犯科帳』。人間の善と悪のあわいを活写した池波正太郎。善と悪に関する名言が鬼平のなかにはたっぷり入っています。「人間というやつ、遊びながらはたらくいきものさ。善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。 #スゴ本オフ

2015-06-14 15:45:41
スゴ本の中の人 @Dain_sugohon

悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ。これが人間だわさ」。先生もこの境地に達していれば、あんなことにはならなかったのでは…… #スゴ本オフ

2015-06-14 15:48:15
スゴ本の中の人 @Dain_sugohon

鬼平より「現代は人情蔑視の時代であるから、人間という生きものは情智ともにそなわってこそ「人」となるべきことを忘れかけている。情の裏うちなくしては智性おのずから鈍磨することに気づかなくなってきつつあるが…… #スゴ本オフ

2015-06-14 15:50:22
スゴ本の中の人 @Dain_sugohon

......約二百年前のそのころは、この一事、あらためて筆舌にのぼせるまでもなく、上流下流それぞれの生活環境において生き生きと、しかもさりげなく実践されていたものなのである」 #スゴ本オフ

2015-06-14 15:51:06
スゴ本の中の人 @Dain_sugohon

これは、漱石の「智に働けば角が立つ情に棹させば流される」に対する池波正太郎の返歌ではないでしょうか。 #スゴ本オフ

2015-06-14 15:51:22
根岸智幸 @zubapita

ここで「こころ」大好き女子大生さんに中間総括してもらいます。ミステリとしては読んでなかったけど、『「こころ」で読みなおす漱石文学』の石原千秋さんは、自分の大学の先生でしたw 面白かったのは、先生=女説。(続く) #スゴ本オフ

2015-06-14 16:05:31
根岸智幸 @zubapita

(承前)先生に共感を覚えるのは、自分が男家族で育ってきて、自分が男に寄ってるからかもしれない。(了) #スゴ本オフ

2015-06-14 16:05:34
根岸智幸 @zubapita

@oyajidonさん。久しぶりに「こころ」を読みました。100年前の小説なので、女性の心がうまく描写されていないのはしょうがないと思います。ただ起伏の少ない話なのに最後まで読ませるのはさすが文豪と呼ばれるだけある。(続く) #スゴ本オフ

2015-06-14 16:18:43
根岸智幸 @zubapita

(承前)嘘についていえば、ワシントンみたいにサクラを切ったと言って大統領になるワシントンもいれば、先生のようにだまってしまいこんで自殺してしまう人もいる。ちなみの日本の自殺率が非常に多い。そこで『人間失格』太宰治(新潮文庫)。(続く) #スゴ本オフ

2015-06-14 16:18:46
根岸智幸 @zubapita

(承前)著者自身が本作脱稿直後に自殺している。こころの先生に輪を掛けたような駄目人間の話。なぜこれが課題図書になるのか?w 作品としては面白いが、陰々滅々とした話。「こころ」と「人間失格」は600万部越えで部数を競っている。2冊目。(続く) #スゴ本オフ

2015-06-14 16:18:53
根岸智幸 @zubapita

(承前)『草の花』福永武彦(新潮文庫)。結核の致死率が高かった時代に肺の切除手術をうけたあとに死んだ主人公の死語発見された2冊のノートをもとに書かれた。後輩への愛を語った一種のボーイズラブ。(続く) #スゴ本オフ

2015-06-14 16:18:59
根岸智幸 @zubapita

(承前)最後は噴火する浅間山の麓で死んだ親友の妹と結ばれかけるが逃げてしまう。文章が非常にきれいで面白かった。戦前の若者の精神と愛がストレートに描かれている。3冊目。『阿寒に果つ』渡辺淳一(扶桑社文庫)。(続く) #スゴ本オフ

2015-06-14 16:19:03
根岸智幸 @zubapita

(承前)18才ぐらいで自殺した天才少女画家、加清純子の死の真相を、早熟な彼女に関わった5人の人物の視点から描いた作品。詩情溢れた描き方。「人間失格」「草の花」は手記による告白体である点で「こころ」に共通する。(続く) #スゴ本オフ

2015-06-14 16:19:05
根岸智幸 @zubapita

(承前)「阿寒に果つ」は6人の男へのインタビュー形式で主体を掘り下げている。(了) #スゴ本オフ

2015-06-14 16:19:07
スゴ本の中の人 @Dain_sugohon

oyajidonさん。太宰治『人間失格』のご紹介。著者自身が本作脱稿直後に自殺していることから、なかば遺書のような小説と言われています。社会の暗い部分の縮図のような展開ですが、これを「課題図書」にしてはいけないかと。Kの生々しさからつながってきそう。 #スゴ本オフ

2015-06-14 16:07:22
スゴ本の中の人 @Dain_sugohon

先生ヘタレ説には納得。日本には自殺者が異常なほど多い。日本という国は、死生観が独特なのかも。『こころ』を、人はなぜ自ら命を絶つのかというテーマで考えて、福永武彦『草の花』と渡辺淳一『阿寒に果つ』のご紹介。自殺がテーマの本は多い。自殺好きな国民性? #スゴ本オフ

2015-06-14 16:13:25
奥村 知花 @chicachicao

HWS((((;゚Д゚))))))) 「恥の多い生涯を送って来ました」#スゴ本オフ

2015-06-14 16:16:48