無免許マッサージの刑事裁判の例。「慰安」や「癒し」と言えば無免許マッサージが正当化されるわけではない。

裁判所のサイトにはあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下あはき法)第1条違反(無免許マッサージ)の判例が載ってませんが、商用判例データベースで見つけてきたのでご紹介。 判決文そのものは一番最後に。 続きを読む
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びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

「慰安」でも「癒し」でもマッサージ(あん摩、指圧)には免許が必要だよ、という刑事裁判の判決の紹介。 #マッサージ #整体 #リラクゼーション

2015-06-28 02:35:58
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

地元の図書館で使える判例データベースは第一法規出版のやつですが、あはき法第1条の条文から判例を検索すると3件出てくる。 #マッサージ #整体 #リラクゼーション

2015-06-28 02:36:46
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

a.清水簡裁、昭和34年(ろ)50号(昭和34年10月7日) b.東京高裁、昭和34年(う)2187号(昭和35年4月13日) c.横浜地裁、昭和48年(ワ)1411号(昭和50年4月11日) ちなみにcは民事で、中絶依頼に関する裁判なので今回は取り上げず。 #マッサージ

2015-06-28 02:38:00
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

昭和35年1月にHS式無熱高周波療法事件の最高裁差し戻し判決が出ているので時系列を。 #マッサージ #整体 #リラクゼーション pic.twitter.com/efmIdKmSju

2015-06-28 02:39:21
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まとめ HS式無熱高周波療法の裁判:最高裁差し戻しまで。 医療系国家資格を持たず、HS式無熱高周波療法を業としていた者があん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第12条違反(医業類似行為の禁止)に問われた裁判。 最高裁はこの事件で医業類似行為の禁止処罰を「人の健康に害を及ぼす虞のある行為」に限局する旨を判示。 そのため整体師やカイロプラクターなど、医療系国家資格を持たない者が業務を行う上で、自らの合法性の根拠とする判例である。 どのようにHS式無熱高周波療法が「人の健康に害を及ぼす虞のある行為」と認定され、有罪と判断されたかを検証し、現在の整体やカイロプラクティックといった無免許施術が本当に合法なのかを検討する。 この事件は 平簡裁:昭和28年4月16日 仙台高裁:昭和29年6月29日、昭和28年(う)375号 最高裁:昭和35年1月27日、昭和29年.. 5371 pv 8 1 user 5

清水簡裁、昭和34年(ろ)50号(昭和34年10月7日)

びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

aの事件は被告人が昭和32年9月中旬頃から昭和34年3月下旬までの間、前後5回にわたり、静岡県の自宅において、Aほか4名に対し、全身の揉治療をなし、あん摩を業としたものである。

2015-06-28 02:40:10
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

被告人の主張としては 1.「つまつた血管を自然にやわらかくしていくもので、つまり、押えながらすじを伝わつてもんでいく」のであるから、あん摩ではない。

2015-06-28 02:40:42
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

被告人の主張としては 2.施療者各人から1回100円ずつもらつているが、これらは、いずれも治療代として受け取ったものではなく、謝礼として受領したものであるから、被告人の各所為は、いわゆる「業として」なしたものではない

2015-06-28 02:41:05
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

"「あん摩」とは、 慰安または医療補助の目的をもって、 身体を摩さつし、押し、もみ、またはたたく等の行為 と解すべきところ、 前掲各証拠によると被告人の本件各所為は、 いずれも右あん摩に該当するものであること明らかであるから、 この点に関する被告人の主張は採用できない。"

2015-06-28 02:42:15
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

無免許マッサージ業者の主張として、 免許が必要なのは医療目的であって、慰安目的なら免許不要、 というのがありますが、その主張が嘘なのはこの判例でも明らか#マッサージ #整体 #リラクゼーション

2015-06-28 02:43:18
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

"あん摩術が医行為に属し、これらの業務は、とにかく医業と密接な関係にあって、 人の生命、身体に及ぼす影響も大きい点があることに鑑み、 国は保健衛生上の見地から、かかる業務に従事することを一般的に禁止し、 特に免許を受けた者のみが、自由になしうることを規定したものと解せられる

2015-06-28 02:44:42
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

してみると、同法第一条は営業により利益を得ること自体を禁止しようとする趣旨ではなく、 「業として」とあるのは、反復継続の意思をもって、施術を行うことをもって足り、 現実に報酬を受け、または、これを目的とするか否かは、問わないものと解すべきである。"

2015-06-28 02:45:01
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

この判決はHS式無熱高周波療法の最高裁の判決の前だって? そのとおりでございます!

2015-06-28 02:47:39
まとめ HS式無熱高周波療法の裁判:最高裁差し戻しまで。 医療系国家資格を持たず、HS式無熱高周波療法を業としていた者があん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第12条違反(医業類似行為の禁止)に問われた裁判。 最高裁はこの事件で医業類似行為の禁止処罰を「人の健康に害を及ぼす虞のある行為」に限局する旨を判示。 そのため整体師やカイロプラクターなど、医療系国家資格を持たない者が業務を行う上で、自らの合法性の根拠とする判例である。 どのようにHS式無熱高周波療法が「人の健康に害を及ぼす虞のある行為」と認定され、有罪と判断されたかを検証し、現在の整体やカイロプラクティックといった無免許施術が本当に合法なのかを検討する。 この事件は 平簡裁:昭和28年4月16日 仙台高裁:昭和29年6月29日、昭和28年(う)375号 最高裁:昭和35年1月27日、昭和29年.. 5371 pv 8 1 user 5
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

昭和35年1月27日、最高裁によってHS式無熱高周波療法の裁判が仙台高裁に差し戻しになります。 医業類似行為の禁止処罰に関して「人の健康に害を及ぼす虞」の有無を判断せよ、と。

2015-06-28 02:47:57
びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

で、厚生省はこの裁判は医業類似行為(第12条)に関する裁判であって、第1条違反(無免許マッサージなど)の取締は従来通りと昭和35年3月30日に通達を出しております。 #マッサージ #医業類似行為 #整体 #リラクゼーション

2015-06-28 02:48:43

○いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について

(昭和三五年三月三〇日)
(医発第二四七号の一各都道府県知事あて厚生省医務局長通知)

本年一月二十七日に別紙のとおり、いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決があり、
これに関し都道府県において医業類似行為業の取扱いに疑義が生じているやに聞き及んでいるが、
この判決に対する当局の見解は、左記のとおりであるから通知する。

1 この判決は、医業類似行為業、すなわち、手技、温熱、電気、光線、刺戟等の療術行為業について判示したものであって、
あん摩、はり、きゅう及び柔道整復の業に関しては判断していないものであるから、あん摩、はり、きゅう及び柔道整復を無免許で業として行なえば、その事実をもってあん摩師等法第一条及び第十四条第一号の規定により処罰の対象となるものであると解されること。

従って、無免許あん摩師等の取締りの方針は、従来どおりであること。

なお、無届の医業類似行為業者の行なう施術には、医師法違反にわたるおそれのあるものもあるので注意すること。

2 判決は、前項の医業類似行為業について、禁止処罰の対象となるのは、人の健康に害を及ぼす恐れのある業務に限局されると判示し、実際に禁止処罰を行なうには、単に業として人に施術を行なったという事実を認定するだけでなく、その施術が人の健康に害を及ぼす恐れがあることの認定が必要であるとしていること。
なお、当該医業類似行為の施術が医学的観点から少しでも人体に危害を及ぼすおそれがあれば、人の健康に害を及ぼす恐れがあるものとして禁止処罰の対象となるものと解されること。

3 判決は、第一項の医業類似行為業に関し、あん摩師等法第十九条第一項に規定する届出医業類似行為業者については、判示していないものであるから、これらの業者の当該業務に関する取扱いは、従来どおりであること。

別紙 略

びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

清水簡裁の事件とは全く別の事件(b)ですが、東京高裁は同年4月13日に無免許あん摩で有罪になっていた被告人の控訴を棄却する。 昭和34年(う)2187号 #マッサージ #整体 #リラクゼーション

2015-06-28 02:49:22

東京高裁昭和34年(う)2187号、昭和35年4月13日

びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 @binbo_cb1300st

bの事件の概要としては被告人は湿熱療法として蒸風呂を営んでいたが、入浴後に別料金で、入浴の疲労を癒し、湿熱療法の効果を上げるため、手指をもって背骨の両側や手足の急所を押圧していた。 一審で有罪のため、東京高裁に控訴。 そして棄却である。 #マッサージ #整体 #リラクゼーション

2015-06-28 02:49:46