CDBさん、アメコミ『シビル・ウォー』を語る

アメコミの『シビル・ウォー』シリーズ3冊についてのCDBさんによる紹介と感想。アメコミもまた子供向けに留まらず、深化して遥かな地平を目指していることがよく理解ります。僕自身が不明にして、アメコミの邦訳版の出版状況とその内容に関してほとんど無知であるため、このようなブックガイドは大変ありがたく、自分のための覚え書き的な意義も含めて、まとめを作成しました。『シビル・ウォー』読んでみたい!
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CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

キャプテンアメリカの武器が「盾」というのはすごく象徴的で、もうWWⅡの戦意高揚漫画の時代から「盾で相手の銃弾を防いで素手でぶん殴る」っていうスタイルなんです。相手がヒトラーであっても。それはアメリカの理想なんだけど、この裏表紙は「理想こそが暴力として機能する」ということを描いてる

2015-06-27 00:51:18
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でもそれでは作品の中で、ある意味では「自虐的に」アメリカの闇を見つめるキャプテン・アメリカに対して読者が失望するのかというと、逆なんだよね。スティーブ・ロジャースの精神性に対する読者の信頼って作品を重ねるごとにどんどん増していく。

2015-06-27 00:55:24
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まあそんなわけで、素晴らしい作品を薦めてくださったマット・ソーン先生、ならびにアメコミファンの皆様どうもありがとうございました。アベンジャーズブーム、今年の『ウルトロン』に続き来年の『シビルウォー』でどんどん加熱すると思うので『ニューディール』ぜひ再刊してほしいなあ。

2015-06-27 00:58:24
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さて、素晴らしいアメコミを教えていただいたお礼に僕からもみなさんにアメコミを一冊紹介します。とはいうもののマーベルでもなく映画化もされない作品。ジョー・サッコ『パレスチナ』。 pic.twitter.com/vId16cuSXt

2015-06-27 01:05:12
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ジョー・サッコは世界的な「漫画ジャーナリスト」。彼はマルタ共和国で1960年に生まれ、12歳でアメリカに移民した。 湾岸戦争をきっかけに漫画によるノンフィクションを書き始めた彼はやがてパレスチナ自治区とイスラエルを旅しながら漫画によるノンフィクション「PALESTINE」を描いた

2015-06-27 01:11:12
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イスラエル警察によるパレスチナ住民への拷問、それを受けた男性の心理を「内側から」描くその手法は漫画でしかできない表現で、彼はノンフィクションの書き手として高い評価を受けた。 pic.twitter.com/bt5lQYWMk8

2015-06-27 01:16:11
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でも彼は一方の言い分だけを描いているわけではなく、テルアビブのユダヤ人たちの言い分、彼らの人生についても描いている。

2015-06-27 01:18:57
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パレスチナ難民の置かれた苦境、拷問、怒り、そしてイスラエルに集まるユダヤ人たちの迷いと悩みを描いた作品は深い文学性と漫画の映像性を併せ持ち、1996年のアメリカン・ブック・アワードを受賞した。巻頭に前文を寄せ、サッコの才能を絶賛したのはあの今は亡き文学研究者エドワード・サイード。

2015-06-27 01:20:36
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でも残念ながら、この「パレスチナ」も「ニューディール」と同じく絶版状態で、今は古書でしか手に入らない。再刊はニューディールよりさらに難しいかも知れない。

2015-06-27 01:22:05
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ジョー・サッコはシャルリー・エブド事件からわずか2日後にイギリスの新聞「ガーディアン」にこの漫画による意見表明を掲載している。漫画家である自分の立場と、表現の自由が弱者を傷つける矛盾について言及した漫画。 joesaccojp.wix.com/joesacco-gardi…

2015-06-27 01:26:13
CDB@初書籍発売中! @C4Dbeginner

彼もまた優れたアメリカン・コミックの描き手。優れた漫画家は世界中にいる。『ニューディール』も『パレスチナ』も、電子書籍時代が単に紙の本を圧迫するだけでなく、彼らの作品が読みたい時に世界中の人が手にできるようになりますように。おやすみなさい。

2015-06-27 01:35:49