WW2のイギリス自警団「ホームガード」の装備や訓練のあれこれ

素人をかき集めてもいろいろ大変というお話
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これの続き的な

まとめ ローカルディフェンスボランティア-WW2のイギリス自警団組織のあれこれ- 第二次世界大戦でイギリスが編制した、郷土防衛隊のような組織ローカルディフェンスボランティアとその発展組織ホームガードのあれこれ 9973 pv 26
Bunzo @Kominebunzo

ホームガードに最初に大量供給された小銃はアメリカから送られて来た第一次大戦中の保管兵器で大量に余っていたグリス漬けのM1917小銃。重く操作しづらいだけでなく弾薬が英軍標準と異なるのが問題で、配備されても1挺あたり50発程度しかタマが無いので訓練もおぼつかない。

2015-07-08 19:46:45
Bunzo @Kominebunzo

ホームガードは前大戦のベテランが多かったので昔の小銃自体には問題がなかったけれどもM1917の評判は悪く「第一次大戦中と同じ銃が欲しい」というのがホームガードのベテラン達の要望で、そんな事を知らない世代の隊員は慣れない銃と教育不足の為、初歩的な取り扱い不注意で暴発事故を繰り返す。

2015-07-08 19:51:48
Bunzo @Kominebunzo

この銃は駄目だ。あの銃は良くない。そんな話ばかり続くホームガードだけれども深刻な課題は銃器の取扱教育が不備なまま数十万挺の小銃が「民間」にばら撒かれたこと。ライフルなど扱ったことの無い中年男性が弾薬を装填したままの銃を担いで歩いて暴発させ、町外れで「訓練」して市民を負傷させる。

2015-07-08 20:02:26
Bunzo @Kominebunzo

最初の冬の寒さと衣類の不足から制服が充実し始め、アメリカからの余剰旧式小銃の供給で銃が行き渡り始め、馬鹿馬鹿しい事故の多発で泥縄式の教育がようやく始まる。制服を着てある程度まともに銃器を扱うようになるとちゃんとした「階級」も作られるようになってホームガードは一気に「軍隊化」する。

2015-07-08 20:09:25
Bunzo @Kominebunzo

配備された銃の中で変わり者はトンプソン短機関銃。この銃は新型の自動火器で優秀だったけれども英陸軍から「ギャングの持ち物」として嫌われた結果、ホームガードに一時的にやって来る。老軍曹が分解手入れしている写真に写るフロントグリップ付のトンプソンはやがてコマンド部隊用に引き上げられる。

2015-07-08 20:15:51
Bunzo @Kominebunzo

紆余曲折を経て戦争後期にホームガードの標準装備となったのはあのステン短機関銃。安いのが一番の理由だったけれども、その頃のホームガードは自動火器を手にしてもとりあえずは死傷者の山を築かない程度の「軍隊」になっていたということ。ステンの標準装備はそうした変貌を示す出来事でもある。

2015-07-08 20:20:19
Bunzo @Kominebunzo

ホームガードの結成とその後の動きを見ると、今の日本でサバイバルゲーマーを退役自衛官をリーダーにまとめた民兵類似の組織を作ったらどうなるか、という見本にも見える。多発する事故、事件を解決して大量の素人を兵隊にするには第二次大戦レベルであってもお金と手間と設備が必要という話。

2015-07-08 20:25:42
Bunzo @Kominebunzo

1940年にローカルディフェンスボランティアにアメリカから送られた小銃。スプリングフィールドM1878とえらく旧式なのはアメリカ国内の支援団体が英本土防衛のために送った銃と双眼鏡の一部であるため。これも「ボランティア」だった。 pic.twitter.com/rATN9WxZ1y

2015-07-09 02:16:28
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Bunzo @Kominebunzo

こちらも同じように支援団体から送られたレミントンNo.4ライフル。 LDV/ホームガードという概念はアメリカで支持されやすかったのかもしれない。 pic.twitter.com/ZNa1lKdsrR

2015-07-09 02:20:35
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Bunzo @Kominebunzo

これらのアメリカの骨董品はそれぞれの所有者から英国のホームガードへ貸与する形になっていて、使用後は返却が原則。でもこうやって現物が英国に残っているのは「世間では色々あった」から。 pic.twitter.com/4rFnywzMvF

2015-07-09 02:28:32
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Bunzo @Kominebunzo

ステンガンに良く似た雰囲気のドイツ国民突撃隊用のフォルクスゲベール。 こちらはセミオートだったけれども弾薬はピストル弾のステンと違いStG44突撃銃と共通なのでちょっと格上かもしれない。 pic.twitter.com/BgM0CsxMW5

2015-07-09 02:37:34
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Bunzo @Kominebunzo

第一次大戦中に志願兵の訓練に使われたNo.1またはNo.2ショートマガジンリーエンフィールド(SMLE)のダミー。精密で本物に近いのがミソ。1940年のLVDにも支給された。安全なので装備は全てこれで済ませて良かったんじゃないか。 pic.twitter.com/1NbQ1SuAUb

2015-07-09 06:38:53
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Bunzo @Kominebunzo

ステンガンも「エンフィールド銃」の一種といえば一種で、その名もエンフィールド小火器工廠で開発に携わった2人、Shepherd とTurpinの頭文字とEnfieldを組み合わせたもの。 pic.twitter.com/MZnNfcNmge

2015-07-09 06:51:38
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Bunzo @Kominebunzo

ホームガードの手製モロトフカクテル。フィルムを使っているところに味がある。こうしたホームメイド兵器の製作は1941年末に禁止される。ホームガードとはいえ一般市民が兵器を作り始めたら危ないのは当たり前だった。 pic.twitter.com/Wep420XQsv

2015-07-09 07:25:25
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Bunzo @Kominebunzo

こちらは食品用のガラス瓶を流用した焼夷擲弾。一般家庭がこんなものを持ち始めたら常識的にはたいへんな騒ぎなので、正規の兵器と訓練の普及で消滅する・・・かに見えて、なんだかけっこう後まで作られた様子。 pic.twitter.com/x8IdK6lZFy

2015-07-09 07:30:18
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Bunzo @Kominebunzo

ホームガードが操作するちょっと近代的な兵器はノースオーバー対戦車擲弾発射器。これの導入理由は手投げ式の兵器を扱うホームガードの隊員は未教育であったり、老いていたりで、上手に投げられず「危険」だった為。 100m程度は何とかなった。 pic.twitter.com/WpbSpMeIew

2015-07-09 07:36:55
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