祥鳳が語る野球列伝・プロ野球「台湾生まれの竜のもうひとりの"闘将"　郭源治」

野球が好きな祥鳳型一番艦 祥鳳 @baseball_shohoh

87年、ストッパーとして生まれ変わった郭投手は星野仙一監督の采配がズバリ。59登板し98イニングを投げ4勝3敗26セーブ、防御率は1.56、WHIPは0.94。 前年の牛島投手の成績を大きく上回る成績を収め、最優秀救援投手のタイトルを獲得しました。

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翌88年、自身もこの年の頭に結婚し、序盤こそ打ち込まれ4敗を喫しますが、驚異的なペースでセーブを重ね、オールスター前までに25セーブをあげる大車輪の活躍を見せ、オールスターに選ばれます。

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……しかしそんな矢先、郭投手に訃報が飛び込んできます。 郭投手の弟さんが同年７月21日に交通事故に遭い、生死をさまよった末、7月28日に他界してしまったのです。

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郭投手はオールスター2、3戦を欠場し、弟さんの最期を見届けます。 大事な家族を失った失意の郭投手。引退したら一緒に料理店を開こうと約束していた弟さんだったそうです。

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しかし、星野監督は帰国した郭投手を翌日7月29日の後半戦開幕戦にマウンドへ送ります。 この日先発だった小松辰雄投手は完投ペースで交代を告げられると不満を漏らしたそうですが、変わるピッチャーが郭投手だと知ると納得し、マウンドを潔く譲ったそうです。

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マウンドへ上がった郭投手は大事な弟を失った悲しみと失意の中で、心ここにあらず。 しかし、星野監督の一言で、豹変します。

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────弟が観とるぞ、源治！！

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郭投手はその言葉に我に返ります。 「この球場のどこかできっと弟が観てくれている」と。 7回途中からマウンドに上がった郭投手。 我武者羅に、無我夢中でボールをミットへ投げ込む。

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涙が止めど無く溢れ、サインもよく見えない。 それでも涙を流しながら、我武者羅に投げる。 亡き弟へ捧げた投球。2回1/3をパーフェクトに抑える快投でした。

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その試合を制しそのシーズン初の首位に立った中日は勢いに乗り、リーグ戦を制し6年ぶりのリーグ優勝を果たします。

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優勝の瞬間、10月7日のヤクルト戦のマウンドには郭源治投手。 「弟にこの場を見て欲しかった」と、弟を思い、涙ながらに最後の打者となった秦真司選手から三振を奪い、胴上げ投手となりました。

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日本シリーズでは黄金期を築いていた西武ライオンズ相手に1勝４敗で日本一を逃してしまうものの、第2戦で3イニングパーフェクトリリーフを見せるなど1勝1敗で優秀選手に選ばれ、ドラゴンズの意地を見せました。

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この年の郭源治投手は、7勝6敗37セーブ 防御率1.95の大車輪の活躍。 郭源治投手は、最優秀救援投手と、リーグMVPを獲得します。 この年の44SPは98年に佐々木主浩投手が抜くまで日本記録となりました。

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登板試合は61試合。先発登板は一度もないというのに投げたイニングは111回。98年の佐々木投手の56イニングのほぼ2倍にあたる投球回で防御率1.95の44SP。WHIPは0.94。 その凄まじい活躍が伺えます。

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89年も負傷や故障で苦しむ時はあったものの、当時のセ・リーグ記録となる12試合連続セーブポイントを達成するなど去年ほどの凄まじさはないものの、42試合に登板、投球回74イニング、5勝3敗25セーブ、防御率2.31と守護神として活躍します。

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そして、このシーズンに郭投手は国籍を日本に変えます。当然台湾をはじめとした反対の声もたくさんあったそうです。 しかし、これから日本で育つだろう自身の子供のこと。 そして外国人枠を減らすことによりチームの幅を広げようというドラゴンズへのチーム愛。

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そして「星野監督を日本一にしたい」という思いから、郭源治投手は日本へ国籍を変える決断をします。 読みは同じで「佳久 源治」と本名は変わりますが、登録名は「郭源治」のままとなりました。

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……しかし、星野仙一監督が初の日本一の監督になるのは更に20年以上先の2013年楽天での日本一まで叶うことはなく、ドラゴンズも落合監督が率いて2007年に日本シリーズを制するまで、日本一になることは叶いませんでした。

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90年は故障し、更に守護神に新人の与田剛投手の台頭してきたこともあり、復帰後は先発に回りますが、2勝6敗 防御率5.21と振るわず。 しかし、91年は5月までリリーフを勤めていましたが、再び先発へ転向すると、13勝9敗 防御率2.71と活躍します。

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これ以後、郭投手は先発にリリーフにと配置が頻繁に変わるようになりますが、それでも郭投手は投げ続けます。 94年には8勝7敗2セーブながら、防御率2.45で最優秀防御率を獲得するなど長きに渡りドラゴンズに貢献します。

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そして89年途中から日本国籍にはなりましたが、外国人投手としては未だに史上唯一の100勝100セーブを達成します。 日本プロ野球史上5人目の快挙でした。 （後に広島の佐々岡真司投手も達成し、現在は100勝100セーブは史上6人が達成）

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96年に故障などもあり「台湾球界に恩返しをしたい」と言い、同年をもって中日を退団。 97年3月18日にナゴヤドームのこけら落としとなったオープン戦が引退試合に選ばれ、先発しのちに世界で活躍することになる、あのイチロー選手をライトフライに打ち取り、日本球界を去ります。

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台湾に戻ってから、一年目は台湾球界での八百長事件の発覚で嘆き、故障の影響もあり、5勝3敗 防御率3.50と成績は奮いませんでしたが、翌98年に故障が治り、14勝を上げ、14勝3敗 防御率2.50と再び活躍をみせます。

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14勝をあげた98年。 郭源治投手は41歳。 台湾でも「制球力抜群の老将」と称えられます。

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99年には42歳という高齢にも関わらず、シドニー五輪台湾代表としてアジア最終予選に登板。韓国戦を5回2失点に抑えるも延長の末敗戦。 しかし、老いてなお盛んという活躍を見せつけました。