花百姿まとめ

#花百姿で書いている、ツイノベ×花の写真の花小説のまとめです。
1
前へ 1 2 ・・ 6 次へ
みお @miobott

#twnovel 桜の色は春の色。春が終われば緑の色の浸食がはじまる。じわじわと薄花弁が緑の色に染まっていく様は、まるで葉が花を喰うが如く。それは爽やかなまでに狂った情愛である。 pic.twitter.com/28rGm1Fmoj

2016-04-10 19:58:48
拡大
拡大
みお @miobott

#twnovel 「そうして、春の名残が大地に散った頃。落ちた春を養分として、緑がじわりじわりと空気を浸食していくのです」そういって泣いた女は花泣かせの雨に散った桜のあだ花。さようならと切なげに呟く女の声だけが耳に今も残っている。 pic.twitter.com/05ZE8dVpBe

2016-04-10 22:24:32
拡大
みお @miobott

#twnovel 青の空に映える白の着物か、艶やかな赤の着物か。春になるたび彼女はそわそわと、着物選びに余念が無い。その理由は、彼女のかつての恋人が白と赤の色を愛したからである。いつか彼と再会できる日まで、彼女は白と赤を纏い続ける。 pic.twitter.com/atJNF1CsZ8

2016-02-27 22:09:19
拡大
みお @miobott

#twnovel あんな男よりもきっと俺の方が君を愛している。春とには優しく側に寄り添い、雨の日も曇りの日も君が老いさらばえるまで共にいるというのに、君はいつまでも過去の男に縛られている。ああ悔しや。と、目白は梅の花を食いちぎった。 pic.twitter.com/eVbRtk5kAT

2016-02-27 21:40:25
拡大
みお @miobott

#twnovel はらりと衣擦れの音が聞こえたので、つられて振り返ればそこにあるのは一本の桜木。まるで花弁が解けるように開いていく。「誰より早く目覚め春の気配を探るのです」と、都の奥地、奥嵯峨の早咲き桜は控えめにそう言って微笑んだ。 pic.twitter.com/oe1uQtCfch

2016-03-20 21:32:46
拡大
みお @miobott

#twnovel 仲間より早く目を覚ました彼女は、あたたかな光に誘われて顔を上げた。目を開けて、腕を伸ばす。桃色の袖が早春の風に染まる。振り返れば目覚めたのは彼女一人。彼女は春風の溜息を漏らして、仲間の目覚めを待ち続けるのである。 pic.twitter.com/XAkwttXNgD

2016-02-28 19:50:37
拡大
みお @miobott

#twnovel この娘も愛らしいが、あちらの娘も愛らしい。さても迷う春の恋。そんな風に囁きながら、あちらへふらふら、こちらへふらふら。彷徨う浮気な男心を見て、「何とろくでもない男に惚れてしまったことよ」と桜の娘は初心な涙を零した。 pic.twitter.com/MHUZeWW8lB

2016-02-28 19:53:42
拡大
みお @miobott

#twnovel ここへ立ち寄ったのは、彼のほんの気紛れであった。春の風に誘われて、ついつい立ち寄った花の町。朝日が顔を見せれば男は立ち去るばかりである。ひとり残された花の娘は、戸惑うように春の風に揺れる。 pic.twitter.com/QUYNEVcmuu

2016-02-28 21:17:26
拡大
みお @miobott

#twnovel 桜が咲いたと聞いたので、ある夜、私は女を誘った。しかし女は「美しすぎる桜は人の気を触れさせます」と首を振る。さてもそのようなことがあるものか。一人で向かった桜の園。見上げれば、かつて手酷く振った女の顔で桜が笑った。 pic.twitter.com/6NEQanNkjq

2016-03-20 21:40:19
拡大
みお @miobott

#twnovel 自分が姿を見せれば彼女は死ぬのだ。分かっていながら彼は彼女を覗き見る。その途端、彼女ははらりと儚く静かに落ちた。春風が吹けば冬の花は終わりを告げる。それが道理だと、寒椿は健気にも春の風に微笑んで見せるのである。 pic.twitter.com/GjGKbzZKXw

2016-03-20 21:50:31
拡大
みお @miobott

#twnovel あたたかな風が吹けば、娘達の着物が艶やかに染まる。目を惹く華やかな紫の色に、春曇りの空気を染める黄色の色合い。気がつけば、それはいずれも春の花。いつかの恋の味を思い出したか、庭園の主は恥ずかしそうに顔を伏せる。 pic.twitter.com/xAZ3kQ3ggy

2016-03-20 21:56:32
拡大
みお @miobott

#twnovel まだ冷たい早春の風に吹かれ、彼は愛しい女の顔を見守る。彼の愛した女は、ただ数週の命しか持たない春の花。彼女の負担にならないよう、すぐ側で彼女を見守れるよう、彼が編んだ蜘蛛の糸が春の風にゆらりと揺れた。 pic.twitter.com/BDCJFZXGMB

2016-03-20 22:08:55
拡大
みお @miobott

#twnovel 彼女が愛した男は気難しい人なので、近づくときには細心の注意を払わねばならぬ。じりじりと時をかけて近づいたこの春、彼女はようやく彼の側で花をつける。それは彼女の性格を現すように、健気なまでに小さく可憐な花であった。 pic.twitter.com/GgYYRzoj6t

2016-03-20 22:14:26
拡大
みお @miobott

#twnovel 春風の吹く頃となると、思い出ばかりが蘇る。あの人は甘い香りが好きだった。あの人は儚く綻ぶ桃色のひとひらを、愛しいと言った。いまや逢うことは叶わないけれど、せめて届けよこの香り。と、健気な梅は今年も宮の中で咲き誇る。 pic.twitter.com/ulV8KZ1FHS

2016-02-21 19:09:32
拡大
みお @miobott

#twnovel その女は鮮やかな黄色の振り袖を纏っていた。艶やかなその色は、早春の淡い青空によく映える。それは薄い鑞細工のような、儚い美しさだ。光に透ける袖を広げて彼女は艶やかに笑うのだ。「春に先立ち花を咲かせる、臘梅と申します」 pic.twitter.com/sHpGIGcf2O

2016-02-18 21:01:59
拡大
みお @miobott

#twnovel 暖かな風に勘違いをして、一人がほころびた。それをを見た二人目も慌てて春の衣に着替える、ぽつぽつと春の支度が調えられる。慌て者の娘達を覗き見た春の神は「仕方の無い子達」と愛おしげに呟いて、いつもより早く春の息を吹く。 pic.twitter.com/bgkbsa9Nxn

2016-02-11 19:12:12
拡大
みお @miobott

#twnovel 「まだ眠っていたいのですが、季節が急かすものですから」と、彼女たちはおずおずと腕を広げた。まだ冷たい風の中に確かに薫る春の空気。それを探るように一人また一人と腕を開いていけば、やがてそこは桜の群生となった。 pic.twitter.com/nrACP5zlTi

2016-02-28 19:41:40
拡大
みお @miobott

#twnovel 春に先駆けて咲く桜は、気紛れに吹いた春風に怯えるように顔を上げる。やがて、朝日の暖かさに気がついたか静かに伸びをした。蕾は柔らかくほろほろと解けて、やがて辺り一面に春を呼ぶのである。 pic.twitter.com/oYqSKgKTWe

2016-02-28 19:37:49
拡大
みお @miobott

#twnovel あの人はもう訪れましたか。と、淡い桃色の着物をまとう少女が私に尋ねた。誰を待つのかと聞くその前に、春一番が吹く。それを待ち望んでいたかのように彼女は袖を宙に遊ばせた。風の止んだ後、そこにあったのは一本の桜木である。 pic.twitter.com/K9RI0H9wXL

2016-02-28 19:39:15
拡大
みお @miobott

#twnovel 「もし」と、女の声に目覚めてみればそこは春の園であった。甘い香りと柔らかい日差しが私の頬を撫でる。腕を伸ばし欠伸を漏らし這い出た先を見上げてみればそこには満開の白の梅。「貴女でしたか」と笑う私は冬眠明けの蛙である。 pic.twitter.com/Ndsvq5FSGF

2016-02-11 18:19:21
拡大
みお @miobott

#twnovel 春の風など所詮は温く退屈なもので、放っておけば人は恋を忘れてしまう。「だから梅の花は人に恋を囁いて、人を外に誘うのだ」と人の神はせせら笑う。ならば恋の道具にされた春の花達の哀れは誰が救うのか、と春の神は溜息を吐く。 pic.twitter.com/OsK802xR8v

2016-01-30 22:12:02
拡大
みお @miobott

#twnovel 愛しい女が咲き綻んだのは、春の風が吹き始めた頃。しかし綻ぶ娘は男のことなどとうに忘れ、柔らかい花弁を楽しむように風と遊ぶばかりである。「やあ薄情な人」男は女の皮膚に口づけを。春浅い恋は、まだ始まったばかりだった。 pic.twitter.com/9BuGGR0Tlw

2016-01-30 20:30:53
拡大
みお @miobott

#twnovel また来年きっときっとと誓い合って別れた仲である。冬を越え、春の足音を聞いた男は愛しい娘の元に降り立つ。しかしそこにあったのは、ただの冷たい梅の枝。まだ咲かぬ愛しい娘の蕾を見つめ、「今年の春はまだ遠い」と男は零した。 pic.twitter.com/SDF0EZmnHO

2016-01-30 20:23:56
拡大
みお @miobott

#twnovel 季節の早い梅は悲痛である。甘い香りは冷気に溶けて白さは雪と見過ごされる。早く芽吹いた彼女達は白い腕を目一杯に広げ春の光を吸い込む。しかし、彼女らに恋をした白い雪はまるで白梅に覆い被さるようにそっと冷たい愛を示した。 pic.twitter.com/78oBoW7ry4

2016-01-23 22:03:46
拡大
みお @miobott

#twnovel 冬風の中、紅梅が一輪咲いた。寒空に咲くその花を憐れにおもい、「季節を間違えてしまったのですか」と声をかければ、彼女は鈴が鳴るような声で「いいえ貴方にお会いしたくて」と囁く。しかし所詮は雪と梅、相容れぬ恋であった。 pic.twitter.com/7g3XiwCHVJ

2016-01-24 18:28:17
拡大
前へ 1 2 ・・ 6 次へ