シマウマさんのICBMについての話

国民の負託を受けて、バッジをつけている以上、「どうしたらミサイルを撃たれないでいられるか」についても責任を負っているのでは無いですか?太郎ちゃん。
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Flying Zebra @f_zebra

昼間少し言及した軍事知識について、私だって全然専門ではないし偉そうに語れるほど知識があるわけでもないけど、ICBMのような長距離弾道ミサイルは命中精度の低さを核弾頭の威力でカバーし、広範囲を制圧することで目的を達成することを狙っていることくらいは理解している。

2015-07-30 21:55:42
Flying Zebra @f_zebra

その「目的」についても理解していない人が多い印象だが、先制使用されるICBMの標的は敵国のICBMサイロだ。核攻撃を仕掛ければ反撃されることは当然想定しなければならないので、戦争の究極目的である自国の生存のためには他の目標(都市など)を叩いている余裕はない。

2015-07-30 21:57:49
Flying Zebra @f_zebra

ICBMは終末段階ではマッハ10を超えるような超高速になるので迎撃は困難だが、一方この速度では誘導などはできないため、命中精度は悪くなる。不十分な精度で強固に守られたサイロを確実に破壊するためには核弾頭を用いるしかない。

2015-07-30 21:59:17
Flying Zebra @f_zebra

ある程度相手のICBMを打ち漏らす可能性、あるいは相手が先に攻撃してきた場合への対策として各種の弾道ミサイル防衛がある。それも完全ではないので、最後の砦として「報復核戦力」を保持して抑止力としている。報復戦力としては一般にSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)が使われる。

2015-07-30 22:00:35
Flying Zebra @f_zebra

安全な自国領海のどこかに潜む戦略原潜は生存性が高く、敵国の攻撃で自国のICBMサイロが全滅しても生き延びている可能性が高い。しかし陸上に比べて不安定な潜水艦から発射するSLBMは命中精度が更に低く、目的は「報復」なので標的は都市部となる。

2015-07-30 22:02:23
Flying Zebra @f_zebra

以上が主な核戦力の一般的な使われ方だが、フルセット全て揃えているのはアメリカとロシアくらいだ。他の核保有国は一部だけを用意して限定的な抑止力としていたり、アメリカと同盟してアメリカの核戦力とリンクさせることで不足を補ったりしている。

2015-07-30 22:03:41
Flying Zebra @f_zebra

以上のような知識は学校で教わることはないし、知らなくても日常の生活には全く支障がない。ただし、外交や国防に関わる人、「平和」について考え、何らかの主張をしようという人なら知っておくべきだろう。基礎的な前提知識が抜けていては、意味のある主張はできないはずだ。

2015-07-30 22:04:44
Flying Zebra @f_zebra

国家が行う戦争は、短期的な目的が領土や資源の獲得、あるいは影響力の維持といったものであっても、究極的な目的は防衛、つまり自国の生存だ。合理的な判断ができる限りにおいてという限定付きだが、自国の生存を脅かすことにしかならない戦術を採ることはない。

2015-07-30 22:05:46
Flying Zebra @f_zebra

例えば原子力発電所に対する弾道ミサイル攻撃というのは、攻撃を仕掛けた側にとってはほぼメリットがなく、デメリットは非常に大きいため全く意味のないものだ。アメリカやロシアでも、自国の発電炉への弾道ミサイル攻撃には特段の対策を講じていない。意味がないからだ。

2015-07-30 22:06:34
Flying Zebra @f_zebra

ちなみに、通常弾頭の弾道ミサイルでは原子炉を破壊することはできない(命中しない)し、巡航ミサイルや航空機による爆撃であれば通常の防空体制で対応できる。原子炉が破壊される可能性が高いのは核弾頭弾道ミサイル攻撃であり、この場合原子炉の有無は被害規模にそれほど影響しない。

2015-07-30 22:08:05
Flying Zebra @f_zebra

基礎的な知識さえあれば最初から議論にすらならない事が、知識が共有されていないために延々と無益な議論が行われてリソースが浪費されるというのは、何というかとてももったいないことだと思う。そんな余裕はわが国にはないはずなのに。

2015-07-30 22:10:33