『ハピネス・ディペンズ・アポーン・アワセルヴ』

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彼女は屋上に戻り、隣接する高層ビルをキッと睨んだ。そして、駆け出し。「イヤーッ！」跳躍。跳び移り、駆ける。そして、再び跳躍。跳び移り、駆ける。跳躍。駆ける。跳躍……。 23 #S57Ninja

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☆TEXT KARATE☆ #S57Ninja

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「イヤーッ！」「イヤーッ！」跳躍する二つの影。彼らはクロスカタナのエンブレムの入った装束をはためかせながら踊り場に降り立つ。「ヌゥーッ！」「これは」彼らは床に付いた爆発四散跡を苦々しく見つめる。「クリミナーレ=サンはしくじったか」「チッ。だが問題なし」 25 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ニンジャが二人も…… #S57Ninja

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「問題なし、とは？」二人の内、片方……長身の男が鉤爪を見つめながら問う。対して、もう片方。小柄な男が、腕に装着されたボウガンに矢を装填しながら答えた。「取り分よ、取り分。三人分から二人分に減った……無論、より活躍できた方が多く貰うが」二人は目を合わせた。26 #S57Ninja

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そして、互いにニヤリと笑った。メンポの奥で。長身の男が口を開く。「ならばグリムアーチャー=サン。後方支援のお前は取り分二割ってところだな」対し、グリムアーチャーと呼ばれた男。「ほざくなよ、ボーンクロー=サン。最悪オヌシごと貫いて取り分全て独り占めだ」 27 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

わりと仲良いなこいつら…… #S57Ninja

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そして、両者は数秒ほど睨み合った後、「「イヤーッ！」」同時に跳躍。屋上に躍り出る。「見えるか、グリムアーチャー=サン？」「ああ見える。とにかく真っ直ぐ走れ！そう遠くはないぞ……！」グリムアーチャーは腕部装着型ボウガンを構える。ボーンクローは頷き、駆けた。 28 #S57Ninja

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ミリピードは駆け続けていた。途中彼女は少し振り返った。僅かにニンジャソウルを感じ取ったのだ。振り返った先、後方には、まだ遠い位置だがニンジャが一人。真っ直ぐ向かってきている。その奥にもう一人。こちらは追ってくる気配は無い。その場でジッとしている。 30 #S57Ninja

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ミリピードは注意深くその二人をジッと睨む。ニンジャ視力は、その二人の装束にクロスカタナのエンブレムが入っていることを認識した。「最近、ソウカイヤのニンジャがよく来ますね。目立ちすぎたんでしょうか？……いたっ」彼女の走行が急停止した。 31 #S57Ninja

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何故か？おお、彼女の進行方向に聳える立ち看板『愛がヤバイので』。ミリピードは後方だけに注意を向けていたためにこの立て看板に衝突してしまったのだ。なんたるニンジャソウル憑依から日が浅いニュービーニンジャ故のウカツか！ウカツ過ぎる！バカ！ 32 #S57Ninja

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その間に追っ手が距離を詰めてくる。恐るべきハヤイさ！このニンジャは常人の三倍の脚力を誇っているのだ！「これ、は。ちょっとマズイです」ミリピードがようやく己のウカツを悟り、逃走をはかったが時既に遅し。「イヤーッ！」ニンジャが高く跳躍、ミリピードの前方へ！ 33 #S57Ninja

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「ドーモ……ミリピード=サン、だったか？ボーンクローです」長身のニンジャは身体を大きく前傾させ、ミリピードの視線の高さまで顔を持って行きながらアイサツした。メンポの呼吸孔から荒々しい息を吐きながら。「ドーモ、ボーンクロー=サン。ミリピードです」 34 #S57Ninja

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ミリピードはその足にカラテを漲らせながらアイサツをした。刹那、彼女の後方から飛び来るボウガンの矢！「イヤーッ！」ミリピードはニンジャ第六感でこれを察知、大きく跳躍して回避。そのままボーンクローを跳び越えようとする。「イヤーッ！」ボーンクローが鉤爪を振るう！35 #S57Ninja

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「イヤーッ！」ミリピードは真下から襲い来る鉤爪を蹴り、その反動で跳躍。見事にボーンクローの長身を跳び越え、前方へ！そして駆け出す！ボーンクローがそれを追い、並走！「言い遅れていたが後ろの射撃者はグリムアーチャー=サンだ！代わってアイサツさせていただく！」 36 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

礼儀正しい！ #S57Ninja

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「そうですか。ドーモ」ミリピードは言い、回避行動を取る。ボウガンによる射撃からの回避だ。彼女の隣を走るボーンクローは、両腕の鉤爪をガチガチと鳴らし、「フゥーム……なるほどな。なるほど」メンポの奥で濁った目を向けながら、舐め回すようにミリピードを見る。 37 #S57Ninja

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「……なんですか。イクサの目には思えませんが」「……俺たちはお前を抹殺するために派遣された。だが俺の気が変わった！お前からカワイイを感じる。俺の美的感覚は一般的であるから心配せんでもよい」ボーンクローは右腕の鉤爪を彼女に突き出した。「よって抹殺はしない」 38 #S57Ninja

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直後、その右腕に付けられた鉤爪がロケットめいて射出された！「抹殺はしないが、俺のペットにする！」ボーンクローは目を血走らせながら叫ぶ。「イヤーッ！」ミリピードはこれを回避。だが、そのレインコートの余った部分を鉤爪が貫通。そのまま立て看板『すんごい』に磔！ 39 #S57Ninja

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……「いいぞ、ボーンアーマー=サン！イタダキ！」グリムアーチャーが遥か後方から、磔にされたミリピードを狙う。矢を放とうした瞬間。ボーンクローが射線に割り込む形で、ミリピードに横から接近した。「何だ？何をしている！射線に割り込むな！撃てんだろうが！」 40 #S57Ninja

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グリムアーチャーの声はボーンクローには聞こえない。位置が遠すぎるからだ。元よりボーンクローはニンジャ視力とニンジャ聴力が高いほうではない。故に全体的なニンジャ感覚の高いグリムアーチャーと組んでいるのだ。「おい！撃つぞ！撃っちまうぞ！……クソ！ナムサン！」 41 #S57Ninja

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……「ミリピード=サン。確か本名は……アケシ・ノノミ=サン。ソウカイヤをなめてはいけない。今後はソウカイヤの、いやこの俺の従順なペットとなるのだ！」ボーンクローはメンポの呼吸孔から荒々しい息を吐きながら、ミリピードに迫る。コワイ！「……お断りします」 42 #S57Ninja