祥鳳の語る野球列伝・プロ野球「虎一筋のベテラン速球投手　福原忍」

野球が好きな祥鳳 @baseball_shohoh

怪我の間にスローカーブを習得し、緩急で勝負をする。 現在の福原投手にも軸になる投球を確立し、5試合に登板し、先発登板4回。2勝2敗の防御率2.86。 僅かな試合数でしたが、スローカーブを覚えたことで、投球の幅が広がり日本シリーズ第6戦にも登板。4回を投げ1失点と機会がありました

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星野監督が体調の悪化で辞任し、岡田監督を迎えた04年。 福原投手は開幕5連勝を上げ、月間MVPを獲得するなど先発ローテ入りをし、最高のスタートをきります。

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……しかし、リリーフ陣の不調や先発投手が軒並み崩れたり、短いイニングしか投げられない事態になり、エース井川投手と福原投手の酷使につながります。 後半になるにつれ勝ち星から遠のき、福原投手はどうにかふた桁勝利を達成するも、リーグ最多敗戦となる15敗を記録してしまいます。

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迎えた05年のシーズン。 その右のエースの一人こそ福原投手でした。 安藤優也投手と右のエースをかけて先発ローテを守り抜き、チームでは井川投手に次ぐ171回2/3を投げる奮闘を見せ、リーグ優勝に貢献します。

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……しかし、福原投手は援護運がありませんでした。 元々いい時と悪い時の差が激しいことも理由の一つではあったのですが、優勝チームの先発の柱で防御率も3.51と悪くないにもかかわらず、8勝14敗とふた桁勝利すら達成できず、二年連続のリーグ最多敗戦となってしまいます。

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06年の福原投手は7連勝を飾るなど、スローカーブとストレートを軸としたピッチングに磨きがかかり、キャリアハイの成績を残します。 154回2/3を投げ、12勝5敗と二年ぶりのふた桁勝利。防御率も2.09と最優秀防御率が見えるほどの成績を収めました。

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……しかし、初タイトルには大きな壁が立ちはだかりました。 それが15年シーズンから日本球界に復帰した「黒田博樹」投手です。 その近辺の年代では2点台中盤を記録すれば最優秀防御率を獲得できる頃であったにも関わらず、防御率1.85というとんでもない数値を叩き出していたのです。

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結果として防御率2位に終わったものの、右のエースの一角として04年以降活躍し続けています。 04年は10勝15敗と最多敗戦ながらリーグ7位の3.87の防御率。 05年も8勝14敗と二年連続の最多敗戦ながら、リーグ7位の防御率3.51。 06年は12勝5敗で防御率2位の2.09。

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……しかし、07年以降の福原投手は故障と不調に喘ぐことになります。 07年は周囲の期待とは裏腹に故障し、復帰しては炎上を繰り返し、2勝8敗の防御率6.53と周囲の期待を裏切ってしまう形になります。

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08年はバントの際に右人差し指にボールが直撃。 右示指末節骨骨折で長期離脱。 過去にも同じミスをしたことがあり、同じくことを繰り返してしまいうという失態を犯してしまいます。

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ちなみに福原投手は打撃がうまい投手と言われており、野村政権時の阪神では打線が全く機能せず、ヤケになって8番打者に代打として福原投手を送り、まさかのタイムリーヒットを放つなど、打撃は得意でした。 しかし、バントはあまり得意ではなかったそうです。

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08年の復帰後はそこそこの投球を見せるも、09年、10年には衰えや故障の影響もあり速球が全く走らなくなってしまったのです。 09年は3勝10敗、防御率4.84。 10年はリリーフ専門に転向するも0勝1敗、防御率5.18とまったく結果が残せなくなってしまっています。

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その頃には多くの野球ファンからは「福原もう終わった投手」と言う評価になってしまった福原投手。 本人も二軍で調整することのほうが多くなり、既に30を超えていて危機感を感じていたのでしょう。

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しかし、福原投手は野球に対し真っ直ぐな性格であり、自主トレなどでも黙々と誰よりも早く練習を始め、先輩後輩関係なく、教え、教えてもらい勉強になるところは話を聞き入れ調整に組み込むなど、柔軟な野球への姿勢を忘れない選手でした。

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二軍調整を続ける中、藁にもすがる思いで、ファームでの中日戦で「ある投手」に助言を乞うことにしたそうです。 ……それが福原投手の再びの転機となります。

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その投手こそ、「球界の生きる伝説」、「山本昌」投手でした。 pic.twitter.com/ioKCnZgKOF

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福原投手が自分の投球の問題点を尋ねたそうです。 敵であり、山本昌投手の最年長ノーヒットノーラン達成のときの相手先発が福原投手だったなど、因縁もある相手に尋ねるというのは、それほど福原投手も危機感を抱いていたのだろうと思います。

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「”歩幅”じゃないかな？」

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山本昌投手の指摘は、”歩幅”でした。 速球投手にとってフォームの歩幅というのはすごく重要な意味を持つことを、福原投手は知っていたのです。 何故なら、あの藤川球児投手が「火の玉ストレート」を得たきっかけこそ、フォームの「歩幅」だったのです。

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阪神のコーチを務めることになった昭和最速投手にも名を連ねる「山口高志」コーチ。彼が一軍定着できない頃の藤川球児投手を見て、指摘したのが「歩幅」でした。 藤川球児投手を見て、足を前に踏み出しすぎていることにより上体が前のめりになっていると指摘したそうです。

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歩幅の位置を僅かに短くすることで、上体が前のめりになる事を防ぎ、効率よく上体や体幹を使って投げることにより、球威のあるストレートを投げられるようになる、と言うことだそうです。 それが藤川球児投手の代名詞となる「火の玉ストレート」が生まれるきっかけとなったと言います。

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山本昌投手のそのヒントを元に、福原投手はかつてのフォームと自分のフォームを比べると、6歩半だった歩幅が僅かな違いですが、6歩弱と歩幅が短くなっていたことがわかったそうです。 年を重ねるうちに、楽に投げられるようにと、自然に歩幅が短くなっていたのだと言います。

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コーチが速球に関しては藤川球児投手と言う絶対的な実績を持つ山口高志コーチだったことも幸いしたのかもしれません。 僅かな歩幅の修正。 その二軍での努力の成果は、11年に訪れることになります。

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フォームを修正した11年。 リリーフとして開幕一軍を勝ち取った福原投手。 そのストレートは150キロをマーク。 前年終盤にも152キロをマークしてはいたのですが、それ以上に球威のあるストレートを衰えが来ている年齢にも関わらず、再び習得したのです。

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久保田投手の先発転向や酷使により本来のピッチングができなくなり、ジェフ･ウィリアムス投手が09年をもって退団し、解散したJFK。 その後は藤川球児投手がリリーフ陣で気を吐いている状態に、福原投手はリリーフとして復活を果たします。