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「ゴースト・オブ・ノン・ユークリッド・ジオメトリー」

海を守るそれは、神か。悪魔か。それとも…
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Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「無駄ナ足掻キ」亡霊戦鬼は無感動に言い放った。「嘘ぉ…」「再生可能ですか…」那珂と大淀は絶望的な表情でその光景を見た。「クソッ…」リカルドは打開策を探そうとした、その時。『ザザ……提督、聞こえる!?』兜内に内蔵されたインカムに、隼鷹の声が響いた。「隼鷹?」『ヤバイ事実だ!』 34

2015-08-24 22:42:14
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

『さっき体調が回復して改めて霊視したんだけどさ!この島の中央部の塔!あれヤバイ!気味悪いくらいの霊力が集まってる!何かヤバい奴がいるって!』「残念だが」リカルドは亡霊戦鬼を見据える。「もうそのヤバイ奴が」「塔に、膨大な霊力…」鳥海はそう呟き、ハッとした。「まさか!」 35

2015-08-24 22:45:05
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

鳥海は立ち上がりかける。肉の塔目掛けて!「鳥海!?」リカルドが叫んだ。「……」亡霊戦鬼は復活させた6つの棺桶を鳥海に向かわせようとした。「イヤーッ!」亡霊戦鬼の前に躍り出る独楽めいて回る影!吹雪だ!そしてこれは暗黒カラテ奥義・ヘルタツマキの初動動作!BRTATATATA! 36

2015-08-24 22:51:36
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

ヘルタツマキと吹雪の動体視力によって放たれた砲弾の嵐は、寸分狂わず棺桶を全て吹き飛ばす!「面倒ナ」亡霊戦鬼は再び背中の肉を3対6翼の天使の翼めいて盛り上げ、棺桶を再生させる。「イヤーッ!」再びのヘルタツマキによる嵐めいた砲撃!だが、全ての砲弾が亡霊戦鬼を傷付けず通過する! 37

2015-08-24 22:55:22
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」鳥海は塔への入り口を見つけ、蹴りでこじ開ける!CRAAASH!リカルド達が鳥海に駆け寄る。「鳥海、どうするつもりだ」リカルドが問う。「この塔の中心に流れる膨大な霊力。そして絶対に傷付かないあの亡霊戦鬼…推論ですが、亡霊戦鬼の本体が此処に在ると思います」 38

2015-08-24 22:58:25
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「……根拠は」「亡霊戦鬼は常識外れに無敵すぎます。あれは一種の幻影、いえ。こちらに一方的に害を為す何らかの呪文の類と考えるべきです」「呪文…」リカルドは亡霊戦鬼を見た。吹雪がカラテで応戦するが、その全てが何の影響を齎すことも無く体をすり抜けていた。「確かに、無敵すぎる」 39

2015-08-24 23:01:36
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「分かった」リカルドはそう言い、隼鷹に通信を入れる。「隼鷹」『何さ!』「その霊力とやらだが、何処が一番大きい?」『何処って…もしかして突入する気かい!?止めといた方が』「最早後戻りはできん。何処だ?」『…あたしは知らないよどうなっても!』隼鷹は悲鳴を上げる。『頂上さ!』 40

2015-08-24 23:05:06
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「分かった」『死ぬんじゃないよ!』リカルドは通信を切る。「頂上だ。お前たちは頂上へ向かえ」「提督は?」大淀は問うた。「俺は…」リカルドは亡霊戦鬼を再び見た。「足止めをやる!吹雪!」「ハイ!」「屋上を目指せ!」「了解!」吹雪は反転して塔の入り口へ、リカルドは亡霊戦鬼に駆ける! 41

2015-08-24 23:08:41
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「逃スカ!」亡霊戦鬼は吹雪を狙う。棺桶が全て開き、中から主砲・副砲・魚雷・艦載機が現れる!「イヤーッ!」だが、放たれるよりも早く、リカルドが棺桶の一つに組み付く!「貴様」「撃つか?テメェの自慢の棺桶ごとミンチだぜ?」「ヌゥ」亡霊戦鬼は一瞬行動を迷う。吹雪が塔の中へ消える! 42

2015-08-24 23:12:54
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

一瞬、インカムに通信が入った。大淀だ。『ご武運を』「ああ」短い通信を終え、リカルドは棺桶を殴り砕く!「イヤーッ!」KRAAASH!リカルドは地に立った。「さて、やろうぜ」リカルドはカラテを構えた。亡霊戦鬼はそれに応え、カラテを構える。リカルドは憐れむ様に亡霊戦鬼を見た。 43

2015-08-24 23:16:20
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「亡霊戦鬼…否、クロノスの僕。“ゴースト”」リカルドは謎めいた言葉を口にした。「何?」亡霊戦鬼は訝しんだ。「此処で倒す」リカルドの全身にカラテが滾った。リカルドは厳かに言った。「狩友との約束を果たすために」 44

2015-08-24 23:18:17
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ゴースト・オブ・ノン・ユークリッド・ジオメトリー」 #2 おわり #3 へ続く

2015-08-24 23:18:52

#3

Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

(「さて、やろうぜ」リカルドはカラテを構えた。亡霊戦鬼はそれに応え、カラテを構える。リカルドは憐れむ様に亡霊戦鬼を見た。「亡霊戦鬼…否、クロノスの僕。“ゴースト”」リカルドは謎めいた言葉を口にした。)

2015-09-09 21:01:03
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

(「何?」亡霊戦鬼は訝しんだ。「此処で倒す」リカルドの全身にカラテが滾った。リカルドは厳かに言った。「狩友との約束を果たすために」)

2015-09-09 21:01:11
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ゴースト・オブ・ノン・ユークリッド・ジオメトリー」 #3

2015-09-09 21:01:15
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

――――あれは、何時の事だったか。虚像めいた亡霊とのカラテ勝負を演じながら、リカルドは回想する。それ程昔ではない。精々この世界に“落ちる”1・2年ほど前だ。彼…否、彼女との出会いは生命渾沌の坩堝・未知の樹海の最深部。彼女は自らを「亡霊」と名乗った。 1

2015-09-09 21:05:47
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

彼女は強いハンターを探していた。ギルドクエスト管理局により未知の樹海での乱獲と得物の性能に寄り掛かった惰弱なハンターを振り払い、艱難辛苦に置いても生き残る力を持ったハンターの力を誇示するためのイクサをするために。彼女は、有体に言えば「修羅」を求めていた。 2

2015-09-09 21:09:43
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

彼女の集めたハンター達は、畏怖の念を込め「修羅勢」と呼ばれるようになった。ギルドクエスト管理局は力を持ちながらも自分たちに従わぬ彼らを疎んじ、とある危険区画へと彼らを追いやった。瘴気が周囲に漂い、無数のモンスターたちの悔恨の魂が具現化したと噂される悍ましい沼のある区画だ。 3

2015-09-09 21:15:28
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

ギルドクエスト管理局が意図したかどうかは分からないが、噂は真実であった。沼の奥底から這い出た20頭のモンスター達は流れ着いた修羅勢に対し明確な殺意と憎悪を持って襲い掛かった。モンスター達は必ず2頭一組となり離れることなく、修羅勢は圧倒的不利な状況での戦いを強いられた。 4

2015-09-09 21:19:19
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

修羅勢は一旦4人パーティー単位に散り散りになった。この危険区画から脱出するには、自らを殺さんとする者達を全て返り討ちにしなければならない。絶望的な状況の中、リカルドと「亡霊」は廃墟と化したベースキャンプ地まで逃げのびたのであった。 5

2015-09-09 21:23:19
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

パチ…パチパチ…乾いた薪木が音を立て燃えていく。リカルドは焚火の中心で煮え滾る鍋のスープを木製レードルでかき混ぜる。やがてリカルドはレードルでスープを掬い、2つのカップにスープを注いだ。「ほれ」リカルドはカップを焚火の向こう側に居る女に、「亡霊」に手渡した。「飲め」 6

2015-09-09 21:29:32
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ああ、うん」「亡霊」は曖昧に頷き、カップを受け取った。「腹くらいは満たしとかんとな」「そうだね」「亡霊」は男のような声で答え、スープを啜った。それを見、リカルドもスープを啜る。薄い味だ。簡単な調味料と近くに居たケルビの肉で作った即席のスープだが、喰わないよりはましだ。 7

2015-09-09 21:32:45
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「しかし」リカルドはケルビの肉を咀嚼しながらぼやく。「悪夢だな、この状況」「そうかい?」「そうさ」リカルドは首を傾げる「亡霊」を見ながら言葉を続ける。「今まで”死んだら終わり”“アノヨは無い”と思ってたが、まさかガチのオバケに遭遇するとはな」「ああ、そういう」「亡霊」は笑う。 8

2015-09-09 21:36:49
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「むしろ私は清々するね」「清々?」「そう、清々」空を仰ぎながら、「亡霊」は答えた。「亡者ってことは、殺しても誰も文句を言わないわけさ。今までは、殺し過ぎると誰かが文句を言ってたからね」「亡霊」はオバケめいた笑みを浮かべる。リカルドはつまらなさそうに「亡霊」の言葉を聞いた。 9

2015-09-09 21:39:31
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