「ゴースト・オブ・ノン・ユークリッド・ジオメトリー」

海を守るそれは、神か。悪魔か。それとも…
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Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「御歓談中申し訳ありませんが」大淀が冷徹なマシーンめいた目でリカルド達を見た。「発信源、特定しました」「本当か」リカルドは大淀に向き直る。「えぇ。ほぼ確実に」大淀は近くに聳え立つ肉の塔を指差し、言った。「あの塔の頂上部付近から」「マジか…」リカルドは顔を顰めた。 9

2015-08-24 20:59:53
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「人工物の中ってことは、盗掘者とかそう言うのか?」リカルドは発信者の正体を推測せんとした。前方に聳える巨大な肉の塔は雲に届かんばかりの高さであり、時折不気味に脈動していた。「あそこまで行くのかぁ…」「うう…」那珂と鳥海が嫌悪を持って塔を見上げた、その時! 10

2015-08-24 21:08:43
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「アイエエエエエエ!?」突如、絶叫が響き渡る!「何だ!?」「塔の近くからです!」吹雪が塔の根本付近を指差した。見れば、2つの人影が争っている様が見て取れるではないか!「何だありゃ」「どうします?」大淀がリカルドに問う。「要救助者かもしれん。行くぞ!」「「「「了解!」」」」 11

2015-08-24 21:12:42
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

リカルドの号令と同時に、艦娘達は走り出す。リカルドも直ぐ様彼女達の後を追った。「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」近づくにつれ、カラテシャウトが大きく響いてくる!「オイオイオイオイ!拙いんじゃねーのか!?」「急ぎましょう!」走る速度を上げる! 12

2015-08-24 21:15:43
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

艦娘達が人影の元に辿り着くと同時に、勝負は決していた。「イヤーッ!」「アバーッ!?」サマーソルトキックを受け、哀れな犠牲者の頭部が吹き飛ぶ。放物線を描きリカルド達の元へ落ちてきたその頭部は特徴的な楕円形の兜を被り、絶望に満ちた表情で叫んだ!「サヨナラ!」 13

2015-08-24 21:19:21
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

末期の叫びをあげ、犠牲者は爆発四散した。頭部も地に落ちることは無く、爆ぜて消えた。「今のって…」「空母、ヲ級…?」那珂と鳥海は犠牲者の正体を認め、驚愕する。だが、何故深海棲艦がここに居るのかに、思いを馳せる時間は、残念ながらなかった。「新手、カ」紅い瞳がリカルド達を見た。 14

2015-08-24 21:23:04
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

怪物がサマーソルトキック終了姿勢から立ち直る。怪物は全身は包帯と鎖により、まるで封じられているかのように雁字搦めにされており、周囲には棺桶めいた盾が6つ浮かんでいた。5人全員が、無意識にカラテを構えた。目の前の空母ヲ級を殺したそれは、それほどの凄味を秘めていた。 15

2015-08-24 21:26:38
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ドーモ」怪物は悠々と両手を合わせオジギをする。アイサツだ。「亡霊戦鬼デス」「……ドーモ、我々は鹿屋基地輸送船団護衛艦隊です」リカルドが全員を代表しアイサツをする。一触即発のアトモスフィアが充満する。アイサツとはイクサにおける作法であり、これから始まるのは凄惨な殺し合いだ。 16

2015-08-24 21:31:11
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「さて、どうしたもんか」リカルドは額から脂汗を流し思案する。(アイサツをしたとは言え、こっちが戦う理由は無い。穏便に済ませられるか…?)「なぁ、アンタ」「コノ海域ヲ侵犯シタナ」リカルドの考えはしかし、無機質ながらも決断的な声により一瞬で砕け散った。「死ネ」 17

2015-08-24 21:35:03
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

無慈悲なる亡霊戦鬼の宣告と同時に、6つの棺桶が一斉に開け放たれる!おお、見よ!無限の暗闇の中から主砲が!副砲が!魚雷が!艦載機が!雲霞の如く現れたではないか!「イヤーッ!」「退避ィいいいい!!!」リカルドが叫ぶ。死が密度を伴い迫る!BRTATATATATA!KABOOM! 18

2015-08-24 21:40:08
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

超高密度な弾幕を受け、肉の大地が血煙めいて消し飛ぶ!「何だこいつ!?」リカルドは驚愕の表情でその光景を見た。回避したの艦娘達もだ。「テメェ何者だ。深海棲艦なのか?」リカルドは問うた。「否」亡霊戦鬼は否定した。「私ハ管理者。歪ミヲ正ス者。時ヲ、コノ海ヲ正ス」 19

2015-08-24 21:48:11
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「管理…歪み?」リカルドは亡霊戦鬼の顔を見た。「お前、まさか」「故ニ」亡霊戦鬼は己の周囲を囲うように、棺桶を展開した。「私ハコノ海域ヲ侵犯スル一切ノ存在ヲ許サヌ。コノ海ニハ、何モイラナイ!イヤーッ!」今度は全周囲に向け、弾幕が放たれる!BRATATATATATA! 20

2015-08-24 21:51:56
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」リカルドは距離を取り、避ける!KABOOOM!1秒前まで居た地面が吹き飛ぶ!艦娘達も同様に避ける!「イヤーッ!」回避する!KABOOM!地が爆ぜる!「イヤーッ!」回避する!KABOOOM!地が爆ぜる!「イヤーッ!」回避!KABOOOM!地が爆ぜる! 21

2015-08-24 21:55:46
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「……」吹雪は回避に徹しながらも、冷徹に攻撃を分析していた。KABOOOM!主砲群の砲撃!「イヤーッ!」避ける!すると棺桶が閉じる!(あの棺桶1つから出せるのは、主砲・副砲・魚雷・艦載機のどれか1種類)棺桶が開き、今度は艦載機の群れが現れる!(やはり…!)「イヤーッ!」 22

2015-08-24 21:59:40
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

艦載機の群れが機銃を撃つよりも早く、吹雪は己の高角連装砲を連射する。高射装置による位置予測により、艦載機が次々とスイスチーズめいて穴塗れとなり落ちていく!砲撃は棺桶から這い出る寸前の艦載機にも命中し、次々と誘爆!棺桶を巻き込み爆発四散!「狙い通り!」吹雪は小さく拳を握る。 23

2015-08-24 22:03:26
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」「グワーッ!」だが次の瞬間!吹雪は吹き飛ばされていた!何に?亡霊戦鬼のトビゲリにだ!吹雪はどうにかウケミを取り、亡霊戦鬼を見た。「艤装ヲ壊ストハ驚異的」敵意に満ちた紅い目が吹雪だけを見る。「優先的ニ排除スル」亡霊戦鬼は吹雪に向け駆ける! 24

2015-08-24 22:07:32
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「イヤーッ!」吹雪は迎撃のチョップを放った。「吹雪!」リカルドは吹雪のカバーに入ろうとする。だが、残る5つの棺桶がリカルド達を阻むように弾幕を放つ。吹雪と亡霊戦鬼がカラテ可能距離まで近づく!吹雪のチョップが亡霊戦鬼の体に当たる!「!?」吹雪は驚愕した。何の手応えもないのだ! 25

2015-08-24 22:11:19
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

吹雪のチョップは確かに袈裟懸けに亡霊戦鬼を斬りつけた。だが、そのチョップはまるで霧を斬るかのようにすり抜けてしまったのだ!亡霊戦鬼は何事もなかったかのように吹雪の前に立った!「イヤーッ!」ポン・パンチだ!「グワーッ!」今度は受け身も取れずに吹き飛ぶ! 26

2015-08-24 22:13:13
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「何ですかあれ!?」鳥海は棺桶の一つを蹴り砕きながら驚愕する。彼女は確かに見た。吹雪のチョップが確かに直撃したにもかかわらず、亡霊戦鬼に傷一つないのだ!「物理無効…?それなら!イヤーッ!」鳥海は他の棺桶からの追撃を回避しつつ、20.3cm連装砲で亡霊戦鬼を撃つ! 27

2015-08-24 22:16:11
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

鳥海の選択はある意味で合理的であった。艤装には魔術的な処理が施されており、深海棲艦が艤装による攻撃で沈むのは物理と魔法の両面で大打撃を受けるからだ。如何に物理攻撃を遮断していても、霊力の籠った砲撃ならば効果があるはずであった。だが砲弾は亡霊戦鬼の体を通り過ぎ、虚空に消えた。 28

2015-08-24 22:19:07
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「そんな…!?」鳥海は更に砲撃する!BLAM!BLAM!BLAM!だが、放たれた3発の砲撃は亡霊戦鬼に何の影響も及ぼすことなく通過しただけであった。「物理無効じゃない…何なの!?」高性能UNIXめいた彼女の頭脳がフル回転する。亡霊戦鬼は鳥海を見た。「鬱陶シイ」 29

2015-08-24 22:22:07
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「何なのアレ…オバケ…?いや違う…まるで立体映像を殴ってるみたいな…」鳥海は思考の海に沈みかける。残った4つの棺桶が鳥海に狙いを定めた。棺桶が開け放たれ、中から主砲・副砲・魚雷・艦載機が雲霞の如く現れる!BRTATATATATATATA!「鳥海!」「ンアーッ!」 30

2015-08-24 22:25:50
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

KABOOOM!肉の大地が抉れ爆ぜる!「鳥海ちゃん!?」那珂が叫ぶ。亡霊戦鬼は爆ぜた大地から眼を逸らし、その横の無事な大地を見た。「テメェ!戦場で立ち止まるな!」「も、申し訳ありません!」そこには、寸での所でリカルドによって引き倒された鳥海が居た。 31

2015-08-24 22:28:27
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「……」亡霊戦鬼は追撃せんとした。「イヤーッ!」KRAAASH!だが、那珂がトビゲリで棺桶を1つ粉砕した。反射的に3つの棺桶が那珂に照準を合わせようとする。那珂は素早く地に伏せた。BLAM!BLAM!BLAM!大淀の15.5㎝三連装砲が残る棺桶全てを撃ち落した。 32

2015-08-24 22:32:24
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「計算通りです、那珂さん」大淀は眼鏡の位置を片手で直しながら言った。「もぉ!アイドルにこんな突撃アクションさせるなんて、高くつくよ?」那珂はニヤリと笑いながら立ち上がる。「フム」亡霊戦鬼の背中の肉が、3対6翼の天使の翼めいて盛り上がる。肉は棺桶を形作り、背から離れ浮遊した。 33

2015-08-24 22:37:14
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