@tometis_story 琴羽】さしだされたアイスクリームに、夢見心地のような動きで手をのばす。「……昼には、いないから。」ありがとうも言わずにそう答えて、しゃがんだまま、見上げるように相手を見る。その顔は、この位置からは覗けるだろうか。レントゲンでも撮るような目を向ける。
2015-08-06 16:40:13@AKR_KTH チョーク】アイスクリームは、棒形のバニラ味だ。「昼にはっていったって、この暑さだぜ。夕方だって、結構なもんだろうに」。しゃがんだまま相手を見下ろしていたら、じっと見てくる少女に向けて、じっと見返してみよう。
2015-08-06 16:41:20@tometis_story 琴羽】「…夏、だもの」言って、まばたきをする。薄手の黒いストールを、バニラのアイスを持たないほうの指でひっかけて少しずり下ろす。隠れていた口元が覗く。「……あなたは、」見おろしてくる目の、眼球に周囲の照明が映り込むような、妙に鮮やかなきらめきを見る。
2015-08-06 16:46:16@AKR_KTH チョーク】じーーーーーっと、相手を見つめている。指ストールがずり落ちるのを見つつ。疑問を投げかけられた男は但し何も答えずに、相手の黒と金の間にある蒼にも似たその瞳を見続けているのだ。
2015-08-06 16:48:06@tometis_story 琴羽】あなたは、なに、というふうに言葉を続けようとして、けれどそれは、気になるような、けれどまだ訊くのは早いような。質問を中途にとどめたまま、「………、」しばらくじっと、黙って見上げ、見つめる。
2015-08-06 16:50:07@tometis_story 琴羽】日暮れの外気で溶けかけたコンビニの棒アイスが、クリーム色の汗をかいて親指の先に垂れかかる。ぽと、とアスファルトにひとしずく落ちる。
2015-08-06 16:52:35@AKR_KTH @AKR_KTH チョーク】ふと、フードの奥の瞳が揺れ動けば、男は木を取り戻したように、Ha,と嗤った。「ああ、いや、すまん。昔の女にあんたが、似ていたもんでね」そして、自分のフードの袖や裾を見てみた後。
2015-08-06 16:54:06@AKR_KTH 「俺?この服?あるファッションデザイナーいわく、好きな服は多少我慢してでも着るべき、だそうだぜ」そして、再び、笑ってみせよう。影の奥で。
2015-08-06 16:54:33@tometis_story 琴羽】「・・・、……」似ているという言葉は無言で、続く言葉には僅かに首を傾げ、やはり無言で。しかし後者の言葉には、やや同意するような気配が感じられるかもしれない。こちらがしようとした質問とは違って捉えられているが、訂正もしない。笑わずに見返している。
2015-08-06 16:58:08@AKR_KTH チョーク】「はじめまして、お嬢さん。俺の名前は、チョーク。好きに読んでくれて構わない。まあ、何者かって言うのを説明しろっていうのなら」夕暮れ時のビル街。その街路の端っこで、男は影のように嗤ってみせる。「エンターテイナーだ」
2015-08-06 17:00:25琴羽】(……舞台、…ドラマ、・・・、……、)口に運ばないアイスクリームを、夏の空気がゆっくりと食べてゆく。自分の求めているものは、ドラマだ。だけれどこの相手が、いまひとつ、見えない…。求めるそれの、近しい場所に在るようで、
2015-08-06 17:00:31@tometis_story 琴羽】「……エンターテイナー…、」ぽつり、芒洋と、与えられた言葉を繰り返す。じっと、覗き込んで放射線で骨を暴こうとするような視線を向けながら。
2015-08-06 17:02:45@tometis_story 琴羽】「・・・、…エンターテイナー…、」もういちど繰り返し。「……あなたは、ドラマを、もっている…、……?」訝しいような気持ちで睫毛をしばたいて、きゅ、とちいさく瞳を細める。
2015-08-06 17:05:32@AKR_KTH チョーク】「残念ながら、今抱えているものはなくてね。前回のやつは、てんでダメだったので、手ぶら、手空きなのさ」ひらひらと両手をぶら下げてから、男は一歩前に出よう。「オファーが取れないので、フリーで困ってるってわけだ。ちなみに俺自身は大した男じゃあ、ないぜ」
2015-08-06 17:07:13@tometis_story 琴羽】「……そう。」しゃがんでいた姿勢から、やはり夢遊病者のような動きで立ち上がる。アイスクリームをひとくち舐めてから、だらりと手を下げ、アイスクリームの先を地面に向ける。「……エンターテイナー、」不思議とその響きが気に入って、繰り返す。
2015-08-06 17:10:53@tometis_story 琴羽】チョーク、という答えより、激しい哄笑に、正面から、強くはなくとも何かの圧が吹きかかってきたように睫毛をしばたかせる。立ち上がれば165ある身長は、目線をそこまで変わらないほどに近づける。後方にたたらを踏むことなくそのまま立って、首を傾げる。
2015-08-06 17:20:15@AKR_KTH チョーク】陰が嗤う。影が、嗤う。蔭が、嗤う。翳が、嗤う。陰りを帯びて、夕暮れ時の中、男のフードをハジメとして、前進の輪郭がぼんやりとなるような、そんな雰囲気を纏った中、フードの奥にある陰が、相手にずいっと、近づこう。
2015-08-06 17:24:09