【夏の旅、誘致書簡・ツワブキ座より】

2015年の夏、旅の記録です ・誘致書簡 ・京都散策 ・ツワブキ座訪問記 ・浦々散策 続きを読む
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【夏の旅、誘致書簡 ・ ツワブキ座より】
綾@新刊BOOTH通販中 @dullchild
大正時代の古民家で私設図書館をはじめました、というお手紙を友達から受け取り、わたしの夏の予定は決まった
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「大正時代の古民家で私設図書館をはじめました」その手紙を受け取ったのは、じめじめとした雨が数日降り続いた梅雨の合間、貴重な晴天の日。今年はじめての蝉の声と入道雲のなりかけのようなもくもくとした雲の広がる青空の日に届いた。そのことを、とてもたいせつなことだからずっとずっと覚えておく

【夏の旅、京都散策】
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源光庵。北山杉の並ぶ門をくぐると、夏の湿った空気にほのかに漂う香の匂い。蝉時雨の響き渡る本堂は、風が絶えず吹き抜けて涼やか。悟りの窓、迷いの窓を障子越しの薄明るい本堂から眺めるとあおあおとした樹々のみどり、夏の精彩が目に染みて痛いほど pic.twitter.com/U6WSFW3lgr
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苔寺。蝉の声は遠く、水音に紛れてほととぎすの声。地面をびっしりと覆う苔のみどりが優しく、頭上にはいろはもみじの薄い葉を透かせて陽光が落ち、光の陽陰の狭間で薄羽蜉蝣が舞う。風が通り抜けるたびに散華する、百日紅の花弁がみどりの地にまばゆい pic.twitter.com/JSiRp8y9dB
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伏見稲荷宵宮 日暮れから夜闇に移り変わる自然の明暗。提灯、灯篭の人工の灯に照らされ落ちる、千本鳥居の無数の影。目がくらくらする程、明暗、陰影のコントラストが鮮烈な祭でした pic.twitter.com/xtU9waEL8w
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三室戸寺で蓮酒、蓮の葉でお酒を飲んできました。蓮の花が盛りだった pic.twitter.com/F6IUaCTQYf
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蓮の葉を杯にして、茎をくわえてストローのように吸って、葉の上の酒を飲みました。蓮の葉が茎と繋がってるところに爪楊枝などで穴をいくつかあけると、蓮の茎は空洞だから息を吸い込むと茎の中を通って、酒が口の中に入ってくる
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鞍馬寺から鞍馬山を越え貴船神社まで約四時間、参道と山道を歩き続ける間、ずっと頭上に木々があった。紅葉、杉、桂、椎、楢、桜。緑樹はすべて綺麗と思ってたけど、人がとりわけ青紅葉と愛でる理由がわかった。紅葉の葉は薄いから日をよく透かす。緑陰の中で明るく儚い緑に輝いて、一等目を引く美しさ
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貴船神社、夏の大祓の支度をしていた pic.twitter.com/Jzu9FX4dfT
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【夏の旅、鈍行列車の見聞録】
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この夏は青春18きっぷでうろちょろできる予定だからうれしい〜田舎の路線で二時間乗り継ぎ電車が来なくて、駅前にポストしかなくて、仕方なく黙々と炎天下の道歩きながら喫茶店を探して途方にくれるのも大好きだ
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列車の向かいの席に男子高校生2人と女子高生1人の3人組が座った。皆で雑談して数駅後に男子高校生の1人が下車する。すると途端に女子高生が顔を覆って声を上げる。まだ車内にいる男子高校生は事情を知るらしく「大丈夫、普通だった」と。「本当!?変じゃなかった」と確認する彼女。恋してるんだな
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「衛星をどうやってではなく、なぜ打ち上げるかなんだ」「物理屋に倫理?」「そう」「どこでの話?」「研究会よりも緩い集まり」「へー」「話したいから聞けよ」「お前には話す価値あるかもだけど、俺には聞く価値なさげ」「価値あるからさ、ゲームやめて聞けよ」 《マクドナルド、早朝、隣席の会話》
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網棚に大きなバックパックが二つ。青春18切符で夏の旅をする男子大学生二人。もう話す話題も数日前に尽きた風情でひたすら無言で二人掛け席に並んで座る。窓側の席に座る彼は文庫本を読み、通路側の席に座る彼は退屈そうに景色を眺めている 列車は唐突に民家沿いの線路を抜けた。車窓に海が広がる
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車窓を眺める彼はiPhoneを取り出しつつ、文庫本を読む彼を小突く。二人で車窓に広がる海を見つめる。船が見えた瞬間にiPhoneで撮影。一枚だけ撮った後はずっと海を眺めていた その間も彼らに会話はなかった。けれど彼らは揺るぎなく二人で海を見ていた 《鈍行列車、十時、隣席の情景》
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鈍行列車は海辺から山へと入っていった。見慣れた緑の車窓に戻った退屈で、通路側の席に座る彼は居眠りを始めた。文庫本を読む彼は隣の彼が寝始めたことに気付き、窓の日よけをそっと下ろしていく。本を読むには眩しすぎたのだ。半分下ろしても陽射しが文庫本の頁を照らすので結局全部日よけを下ろした
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日陰になって読み易くなった彼は頁を軽快に捲る。時折本から顔を上げては、通路側の彼が目覚めていないか確認する。彼が覚醒してまた車窓を見る素振りを示せば、彼はきっと日よけを上まで上げる。そして陽射しが反射して読み難い本を苦心して読み進めるのだろう 《鈍行列車、十時半、隣席の情景》
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列車が主要駅に到着した。乗換待ちで十分間停車すると車内放送。文庫本を読んでいた彼は携帯を取り出し時間を確かめて立ち上がる。居眠りする彼の膝をコツン、と携帯で小突いて引っ込めさせる。一瞬彼は覚醒したが、またすぐに眠りに落ちた。 列車の発車前に彼は戻ってきた。手には少年ジャンプとパン
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彼は文庫本を片付けてパンを食べながらジャンプを読み出す。列車が発車する 隣の彼が少しして覚醒した。パンを羨ましげに見るが分けて貰えない。日よけ越しに見える車窓は緑で退屈。iPhoneで暇潰し。暫く後、彼がジャンプを読み終えると、彼は手を伸べて奪った。パンは奪わないがジャンプは奪う
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