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艦これ✕鋼鉄の咆哮 最終章『限り無き蜃気楼』

シリーズ最終章。
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碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

艦これ✕鋼鉄の咆哮 最終章『限り無き蜃気楼』 #2

2015-09-04 00:46:17
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「……そういう、ことか」鎮守府の一室で、耳を欹てる者あり。いや、欹てるまでもなく、聞こえてしまう。『超兵器』のセンサーは、壁の一枚や二枚を隔てた程度で衰えることはない。 超兵器のオリジナルは、一つではなかった。少なくとも南極にあるものは、『別の』原型だ。1

2015-09-04 00:54:29
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

『プリン、プリンー』『茶が美味い』「寛いでいる場合ではない!」『そうだ。深夜のプリンは太るぞ』『お茶だって、飲み過ぎると眠れなくなるしー』「そこでもない!……聞いていたのだろう。どうするのだ」『どうって?』『どうしようもあるまい(ズズ…』2

2015-09-04 00:59:17
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

『そうそう。私達が出てくと、話がややこしくなりそうだし(ズズ…』「プリンを啜るな!」『プリンシェイクだからセーフ!』『……我々同士が全力で戦うには、この星はいささか柔すぎる』「むぅ……」『それよりも、わかっているだろう。同胞を『敵』とすることの意味を』3

2015-09-04 01:05:26
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「……あれは、本当に『同胞』なのだろうか」『わからん。だが、ニュートリノ通信も弾かれる。提督殿の推測が間違っていなければ。兵器の形を捨てた我々は、敵なのだろう』「その話が正しければ、私とは違う『原型』なのだろう?」『態度は慎重に決める必要はある。一宿一飯の恩義はあるが……』4

2015-09-04 01:13:24
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

『一宿一飯一プリンだよ!』「向かい合えば、敵となる……か」 『そうだ。最悪の場合、未だ目覚めぬ他の同胞全てを敵に回す必要がある』「……どうせ全て消し去るなら、勝率が高い方がいい」『敵の敵は味方。それも一理ある。何より……これは、お前が初めたことだ』5

2015-09-04 01:19:48
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「だから、我の手で終わらせようというのだ」『だがそれは、我々同士の争いに人類を巻き込む、ということになる』『そうなるの?』「そのようなことを言っている場合ではない」『……ヴォルケン殿が居れば、このようなことには』『結局、前の時も反応無かったしねー』6

2015-09-04 01:25:51
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「兎に角、我は先制攻撃を提案する。念のため『本体』を呼び寄せておくべきだ」『途中までは同じだが、私は静観を提案する。ヴィルはどうだ』『うーん……黙って見てるのも、戦う準備をするのも違うような……』『ここは、万一を考えるべきだろう』7

2015-09-04 01:34:02
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

『そもそも、なんで私達はこんな姿になったんだっけ?』「……戯れだ」ヴィルベルヴィントからの問いかけに、『大いなる冬』は言い切った。『なんでそんな気分になったの?』「……覚えていない」『我々は兵器だ。例え人の姿になろうと、その本質は変わらない』『……でも、プリンは美味しかったよ』8

2015-09-04 01:38:25
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

『……ああ、茶も美味い』「……そうだな」詰まるところ。これは、在り方を決める問なのだ。己を兵器と定義し続けるのか否か。或いは、人に与するか否か。兵器を超えた者と銘打っておきながら、超兵器という存在は、あまりにも不確かだ。9

2015-09-04 01:45:40
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

南極の超兵器は対話を拒んでいる。戦えば、同胞を敵に回すこととなる。勝算はあるにせよ、この星の環境を大きく損ねるだろう。だが、己を兵器と定義し続ける限り、その結末は避けられない。「……仮に。彼女達と対話できる可能性があるとすれば。それは我達ではない」『……そうだな』10

2015-09-04 01:51:51
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

『なら、餅は餅屋だね』「……決まりでいいな?」『うむ。我らが邪魔をする訳には行くまい』『勿論だよ』そうして。彼女達は、『戦わない』選択をした。もう一つの極点から始まった可能性は、ここに熟した。 兵器としては、それは歪んだ選択かもしれない。だが……『それ』が、一つの命ならば。11

2015-09-04 02:00:10
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

その選択の答えを得られる日は、遠くはない。12

2015-09-04 02:03:59
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

艦これ✕鋼鉄の咆哮 最終章『限り無き蜃気楼』 - Togetterまとめ togetter.com/li/868736

2015-09-06 01:41:39
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「……つまり、北極の時と同じことをやりたい、と」頭を冷やしたタオルで押さえながら、提督は言う。「だが、問題は山積みだ。まずは指揮権を取り戻して、南極までの足を調達する必要がある」「……その、止めないんですか?」「それこそ今更の話だ」13

2015-09-06 01:49:06
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「南極に核をしこたま撃ち込んで気候を変えるより分のいい賭けがあるなら、なんだってするさ」と提督。超兵器は、動く気配を見せていない。恐らく、戦力を整えているのだろう。だが、南極大陸が割れた影響で海面が既に上昇を始め、深海棲艦の活動も連動して活発化する兆しを見せている。14

2015-09-06 01:54:10
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

昨晩から既に哨戒ラインに大量の深海棲艦が確認され、鎮守府は夜を徹して出撃シフトを敷いていたのだ。だがその行動も、決して組織立った攻勢ではない。まるで、深海から『逃げ出している』かのような。深海棲艦の異常な振る舞いを、私達艦娘は皆、肌で感じていた。15

2015-09-06 02:02:43
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「……『代理』のあいつも、勘が鈍い訳じゃない。そのうち気付かれる」「その……お知り合いなら、説得されては?」「無理だな。あいつとは派閥が違う。それに、真っ当な意味で優秀なタイプだ。博打打ち(ギャンブラー)じゃない」「……」「滑稽な話だ。人間同士ですら、分かり合えんというのに」16

2015-09-06 02:10:37
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「提督……」「いや、分かり合えん訳じゃない。それが非効率だから、避けて通ってきただけだ……時間は有限だ。この歳になれば、嫌でもそれを感じてしまう。言い訳じみているがな」同期の軍人とすら対話できないものが、超兵器と分かり合おうなどと夢を見ている、と提督は自嘲する。17

2015-09-06 02:14:57
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「……『播磨』さん達も、同じようなことを言ってましたよ。南極の超兵器と話そうとしたけど、断られた、って」「そうか……何処も、似たような事情はあるものだな」「きっと、皆が皆、直接仲良く出来る訳じゃないですよ。でも、他の誰かを通してなら」「繋がることができる……か」18

2015-09-06 02:19:40
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

現に、私は知っている。というか見た。大淀が、今の提督代理と親しげにメルアドを交換しているところを。……別に、皆が皆仲良しこよしになる必要はない。ただし、同じ世界に生きて、何処かでは繋がっている。割とそういう風に出来ているのだ。この世の中というものは。19

2015-09-06 02:23:07
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「だから、私達が行くんですよ。……尤も、私は戦闘できませんから。結局、誰かを巻き込むことになるんですけど」結局、話はそこへ戻ってくる。超兵器のパイプが使えない以上、如何にしてそこへ辿り着くのか。ゴールは見え始めた。だが、道程は険しい。20

2015-09-06 02:31:16
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「……南極までの足は、心当たりが無いでもない」「また砕氷船のレンタルですか?」「いや、それでは不足だろう。南半球は今冬だ。砕氷能力に限界があるし……深海棲艦の生息域中央を通り抜ける必要がある」そう。日本から南極へ最短ルートで向かうには、南へ向かうことになる。21

2015-09-06 02:44:13
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