モーニング編集長・島田英二郎氏「編集者の仕事を一言で言うと」

きのうのツイートのあと、「編集者の仕事って一言で言ったらなんですか」という根源的な質問をもらいました。まあ、簡単に言えば「一言ではとても言えない」なんだけど、だからこそあえて「一言で」って質問がくるんでしょうね。
2011-01-07 18:52:44
確かに私も「編集者の仕事をもっともプリミティブに定義したら」ということをかつてよく考えました。まあ、結局よくわからなかったんだけど、ひとつは文字通り「原稿を集めて編むこと」ではあると思う。
2011-01-07 18:52:54
ある作品をある作品と並べたとき、単独で読んでいたときとはちがった見え方をしてきます。一見共通項のない10本の作品が、ひとつの場に集まるとそこに新たな意味があらわれてくる。
2011-01-07 18:53:02
これが「編集」という作業のひとつの本質ではあると思う。自分で雑誌一冊編集してみるとつくづく体感できる。単純といえば単純な作業だけど、「集めて並べる」ってのは実はそれだけである程度創造的な行為にもなりうるってこと。
2011-01-07 18:53:11
雑誌の編集者の目を持ちつつ、読者の立場からいえば、電子書籍の面白さはこの「編集権」を読者が持てること。簡単にいえば雑誌を構成するコンテンツはバラ売り可能で、そうなればユーザーはそれを再構築し得るってこと。
2011-01-07 18:53:23
出版社の既得権益の話がよく出るけど、流通の話だけじゃなくて「編集権」も既得権益。これから一般読者もいろんな意味で「編集」ができるようになりうる。それを門戸開放したがるとことしたがらないとことが出てくるだろうけど。
2011-01-07 18:53:53
ユーザーもさまざまなレベルでの編集権を持てたほうが、圧倒的に可能性は広がる、と私個人は思ってます。そこで以前にもましてプロの技術が輝くんでなきゃ職業編集者の存在価値はない。でもそれはけっこう大変なことでもある。
2011-01-07 18:54:00
「仮に出版社がなくなったとしても編集という職業はなくならない」という議論があるけど、そんなに単純なもんでもないかもしれない。編集という「作業」はなくならないだろうが「職業」としては成立しなくなる可能性はあるでしょう。
2011-01-07 18:54:13
これから「編集者」をやりたい若い人はそのへんのことまでよく考えてほしい。でも、ほんとに好きなら「職業」になろうがなるまいがやればいい。ほかのことでメシ食いながらやるなんてスタイルも出てくるでしょう。
2011-01-07 18:54:24
それと状況がどうなろうとそれをどうにかしてマネタイズしていく方法はある。一番言いたいのはそのことです。プリミティブな意味での「編集」が成立しなくなってくるなら、「編集」概念そのものをもっと進化させればいいってこと。
2011-01-07 18:54:35
だから今まで以上に「誰も考えつかなかったやりかた」ってのが重要になってくるってわけ。ここまで読んでそれでも編集者になってみたい人はぜひ目指してみてください。そういう人が新しい編集者になっていくのでしょう。
2011-01-07 18:54:44