大屋雄裕教授(名古屋大学法学部)による安保法制のあれこれ

違憲の疑義がある行政行為、立法についてと、集団的自衛権と個別的自衛権は憲法上区別出来るかについて 前者関連部分を青、後者関連部分を赤で強調していますがあくまで強調部分の選択は主観です
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Takehiro OHYA @takehiroohya

ども。第一に、集団的自衛権と個別的自衛権のあいだに憲法上境界線を設定することは非常に困難だと思っています。論理的に整合するのは、ともにアウトとするか(自衛隊違憲論)、どちらもあり得るとするかでしょう。 twitter.com/discharge1980/…

2015-09-12 22:55:02
State Control @discharge1980

@takehiroohya 初めまして。いつも先生のツイート楽しく拝見させて頂いております。 集団的自衛権が違憲とする説への疑問なのですが、自衛隊は合憲・個別的自衛権も合憲、なのに集団的自衛権だけが違憲って可笑しくないですか? そこに線引きできるだけの論理的整合性はない気が…

2015-09-12 22:51:58
Takehiro OHYA @takehiroohya

その意味で、私は自衛隊違憲論を維持する論者を肯定的に評価しています。現状と憲法が両立不能incompatibleだというのは学問的な主張であり、そこでどうするかは政治的な問題だ、という切り分けには十分な根拠があると思うからです。 twitter.com/takehiroohya/s…

2015-09-12 22:57:13
Takehiro OHYA @takehiroohya

そして我が国の憲法体制は、①憲法適合性の最終的な審判者は最高裁だが、②裁判所は具体的な争訟(典型的には被害が生じたあとの損害賠償請求)しか判断しないので、③それまでは最高裁の判断を予期して行政が行動するしかない、という構造です。 twitter.com/discharge1980/…

2015-09-12 22:59:47
State Control @discharge1980

@takehiroohya 間違っていたら申し訳ないのですが、これまでの解釈変更は(少なくとも最高裁から違憲判決が出ていない点で)我が国の手続的正義に則ったものですよね。にも関わらず、((続

2015-09-12 22:52:39
Takehiro OHYA @takehiroohya

なので「裁判所が明確に違憲と言ったことを行政が再度やるのはおかしい」とは一応言えるのですが、そうでない限り行政には賭けてみる権利がある、と思われるところです。その正当性は選挙を通じて民主的に付託されていると。 twitter.com/discharge1980/…

2015-09-12 23:01:32
Takehiro OHYA @takehiroohya

私自身は内閣法制局の権威を尊重する方ですが、しかし所詮は行政庁なのであって、憲法上の権限を有する最高裁にも・人民の付託を受けた国会にも劣後するというのが正しい理解ではないか、とは思うところです。 twitter.com/discharge1980/…

2015-09-12 23:04:13
Takehiro OHYA @takehiroohya

(なお安全保障問題と直接の関係はありませんが、立法の品質保証という観点から議会と内閣法制局の関係については昨年の日本法哲学会で論じており、10月刊予定の「法哲学年報」にその内容が載ります。【全面広告】)

2015-09-12 23:06:13
Takehiro OHYA @takehiroohya

ある時期までのスイスの方針がそれに近くて国連加盟も拒否していたのですが、日本の場合は当初から・憲法上も国際協調にはコミットしているのでねえ、という。 twitter.com/Mahal/status/6…

2015-09-12 23:08:22
シバの殿下 @Mahal

単純に「日米安保条約や国連平和維持活動含むあらゆる他国との防衛連携を排除する」ってのが多分法的に最も明確に「個別的自衛権」を設定することかと思いつつ、そんなのが物理的に可能なのか問題、なども。 twitter.com/takehiroohya/s…

2015-09-12 23:02:08
Takehiro OHYA @takehiroohya

なお②のために具体的な被害者が出ないような国政問題に対しては憲法訴訟が極めて行ないにくいという問題があるのは事実で(防衛問題が典型)、ドイツ型の抽象的違憲審査を導入すべきだという意見はそれなりに妥当だと思っています(それで誰がひどい目に遭うかと思うと正面からは言いにくいけど)。

2015-09-12 23:11:58
Takehiro OHYA @takehiroohya

このタイミングでリプライしますけど、「当初より違憲」説の人は尊敬してますよ。残念ながら現実と完全に相容れねえなとは思ってますけど(しかし現実と相容れないのが悪いなら法哲学者の存在意義はないのであって)。 twitter.com/kaibarakenei/s…

2015-09-12 23:20:07
Kareem Abdul-Ken👊RJ Barrett👊 @KenYurufuwaNBA

つまり浦部先生こそ神であるということですね。@inotake77 @takehiroohya

2015-09-08 11:31:27
Takehiro OHYA @takehiroohya

その通り、現在・過去・未来の日本国民が憲法の厳格な解釈に合意するのであれば現行憲法(厳格な平和主義バージョン)は整合的だがなあ、と思うところです。 まあ合意せんよねえという話は『逞しきリベラリストとその批判者たち』で。【全面広告】 twitter.com/oohiko2000/sta…

2015-09-12 23:46:04
Takehiro OHYA @takehiroohya

私自身は「最終的には民意が肯定するかだよ」派なので論理的には整合していると思うのですが、挙げられた二つのどちらにも実例がいるので(しかも民科内部で)「まず左派が統一してきてくれよ」という要求にもそれなりの根拠があるよねとは。 twitter.com/kaibarakenei/s…

2015-09-12 23:55:58
Takehiro OHYA @takehiroohya

ちなみにその、まだ集団的自衛権が問題化する前に「憲法改正の限界とか革命が起きたら消し飛ぶよねえ」という論文を『法の理論』という雑誌に書いたのですが、某憲法学者によるリプライと私のコメントが次の号に載るらしくてですね(この程度は言ってもよかろう)。

2015-09-12 23:59:15
Takehiro OHYA @takehiroohya

ん〜ちょっとリバタリアニズム問題と似ていてですね、相互にinconsistentな議論に依拠して「おかしい」と主張されても反論のしようがねえんだよな、というところが。 twitter.com/kaibarakenei/s…

2015-09-13 00:03:36
Takehiro OHYA @takehiroohya

その観点は「現在の代表たち/人民自身はどう考えるか」という話に帰着すると思うところ、そうではなく長期的な思考が大事である、「現在の人民がどう考えていようが譲れない一線がある」というのが立憲主義の基礎だというのが難しいところなのです。 twitter.com/keikiriyuuhi/s…

2015-09-13 00:18:10
Takehiro OHYA @takehiroohya

私自身は憲法改正を明示的にするべきだという立場ですが、まあそうしたからといって条文の解釈をめぐる紛争が終わるわけではなく、納得できない人は何らかの理由を付けて抵抗を続けるでしょう。このあたりの議論は拙著『法解釈の言語哲学』で【広告】 twitter.com/mititdoll/stat…

2015-09-13 00:20:31
Takehiro OHYA @takehiroohya

あえて言うとですね、当初から違憲説の人たちと当初から合憲説の人たちのあいだに、どのあたりに境界線が設定できるだろうかと理論と現実のバランスを設定しようとしている人たちはいるわけです。表で発言しないしマスメディアには注目されませんが。 twitter.com/kaibarakenei/s…

2015-09-13 00:23:58
Takehiro OHYA @takehiroohya

>RTs ここが難儀で「違憲判断されることをわかっていて行動する権利はない」と言いたいところ「合憲性は違憲訴訟が退けられることによって初めて判明する」のも事実なわけですよ。なので行政としては賭けるしかないというのが端的な事実(だって合憲確認訴訟できないもんね)

2015-09-13 00:28:22
Takehiro OHYA @takehiroohya

「違憲の疑義があるのに行政が行為するのはおかしい」と言いたい人は多いんだろうけど、《現在の制度を前提にする限り》合憲性の確認ができないのですべての行政行為は「合憲だと思うんだけどなあ」でやるしかない。その根拠の濃淡とか、そもそも現行法制でいいのか、というのは別の話なわけですよ。

2015-09-13 00:33:12
Takehiro OHYA @takehiroohya

ここでならこう言うことが許されるのではないか。 つ大屋雄裕『自由か、さもなくば幸福か?:21世紀の〈あり得べき社会〉を問う』(筑摩選書、2014)。 【全面広告】 twitter.com/keikiriyuuhi/s…

2015-09-13 00:36:40
Takehiro OHYA @takehiroohya

最終的にはそうですよね。個人的にはどちらの問題についても「もうちょっと法的整合性とかの話をちゃんと詰めといてくれやあ」と思っていますが、そういう整合性にこだわるタイプが有権者のどの程度の割合を占めるかと正面から聞かれると。 twitter.com/kozawa/status/…

2015-09-13 00:55:07
Charlotte Elizabeth @kozawa

@takehiroohya 今回の安保法制と同程度の手続きの正統性が保たれていれば、珍妙な論理で「国家予算から真正面に神社に布施」を政府与党がやっても、それはそれでどうしようもない現実の中でやってくのを含めて法であり政治である、とお考えと言ってよいですか。

2015-09-13 00:52:48
Takehiro OHYA @takehiroohya

私個人としては「そういうのは良くない」という意見です。しかしそれは結局「そういうのがまかり通る社会を作ると皆が不自由するはずである」という話であり、当の人民が「いや俺らそれでええわ」と明確に言ったら黙るしかねえなとも思っています。 twitter.com/kantanjun/stat…

2015-09-13 00:57:43
環単純 @kantanjun

@takehiroohya 米国の憲政史では連邦最高裁が違憲であると以前判決したのと類似する行政行為・立法であっても積極的に行政府・立法府が行う場合が見られます。日本で(さらに一般論として)このようなことをすることの是非につき大屋先生の見解についてお聞かせ願います。

2015-09-13 00:54:16
Takehiro OHYA @takehiroohya

昨晩の補足。個別的自衛権と集団的自衛権は「憲法上」区別できないというのがポイントで、概念的には一応区別できるし、たとえば個別のみを認めるよう明示的な定めを置くことは立法論としては十分あり得る。しかし現行憲法に区別の基礎になる明文はなく、従って区別は不能だという見解でした。

2015-09-13 23:10:41
Takehiro OHYA @takehiroohya

元tweetを確認してほしいのですが、当該発言は「連邦最高裁が違憲であると以前判決したのと類似する行政行為・立法であっても積極的に行政府・立法府が行う場合」の話で、私は(その前の文脈からも)行政行為を念頭に置いていました。→ twitter.com/koli_san/statu…

2015-09-14 00:07:18
こりさん @koli_san

@takehiroohya しかし今回問題となっている「事案」とは、法律の設定であり、法令というのは変えない限り将来に向かって永続し、また設定時から直ちに将来に向かって常に変更の圧力に晒されるわけで、いかに短期的であれ「黙る」という規範と事実が成立するとはどうも納得がつきかねます

2015-09-13 23:59:41
Takehiro OHYA @takehiroohya

→立法の場合でも、私自身が不服であり違憲であると考える法令が成立したとして、当該法令の妥当性を否定できるわけではありませんし、遵法責務を肯定するなら当該法令を遵守する義務も発生するでしょう。その意味で受忍の必要は生じると考えます。 twitter.com/koli_san/statu…

2015-09-14 00:09:40
Takehiro OHYA @takehiroohya

それで結構です。 なお言明の意味が根元的に不確定であるために批判の可能性が閉ざされることはないという主張を大屋雄裕『法解釈の言語哲学』でしておりますので、お暇なときにでもちょっと見ていただければ。【広告】 twitter.com/koli_san/statu…

2015-09-14 00:29:07
こりさん @koli_san

@takehiroohya なるほど、つまり一応の結果の存在の承認としての「短期的に黙るしかない」と、将来に向かって政治的な意味のみを持つ批判の自由があるはずだという「長期的な批判の自由」の区分と見れば良いのでしょうか。

2015-09-14 00:17:57