ゾンビなんて大っ嫌いだ
75.『諸君、完全な纏めは後でYと相談の上で完成させて発表するが 絶望しないで欲しい、戦わないで欲しい、身を守ってくれ、状況の許す限り籠城を続けてくれ。 私は微力ながら、これから完成させるレポートが 一秒でも早く諸君らを外に出られる状況を作る様に努力する』
2015-09-28 01:37:4776.『生き残ろう』と、彼は 会った事もない外国の医大生、『ハンス』が呼びかける。 それを、見た。 笑ってしまうほど真面目くさった表情で、インテリの青年が ただ真摯にそれを呼びかけるのを、見た。
2015-09-28 01:42:3279.爆発するような文字の羅列がフォーラムを埋め尽くすのを見ながら その向こうで、遠い、会ったこともない人達の歓喜と涙を感じながら 痛む顔面をもみほぐす。
2015-09-28 01:46:3681.>>『Y、改めて手伝って欲しい』 『おーらい』 >>『手心は加える』 『どんだけ働かせるつもりだ』 >>『手心は加える、便利な言葉だ』 『変なことを教えてしまった…』 >>『手心は加える』 『もういいよ』
2015-09-28 01:50:4284.『それで提案なんだが、私の友人の遺品を諸君らに使って欲しい 本来は法的に怪しいモノだが、きっと我々には必要なモノだ』 そして提示される、数十のファイル
2015-09-28 01:58:2585.『ケインが無断で拝借し、運用している 大学のサーバーで遊べる世界中のオンラインゲームだ。ケインというのは…』 提示された学生証、アメリカの大学生。 解剖された『アレらに成ってしまった青年』、その人
2015-09-28 02:01:1187.第六感なんて言うのは、有りはしないと思っている。 霊感なんて、さっきから感じている、この妙な一体感も モザイク越しの写真の細部を想像力が補っているのと同じ様な物なのだと想う。
2015-09-28 02:04:5388.みっともなく、パソコンの前で顔をぐしゃぐしゃに歪めて 『もっと友達と遊んでおけばよかった』と泣いている青年の姿が視える。 素直にソレを吐露できない知性を、投げ棄てることが出来ない青年が視える。
2015-09-28 02:06:5089.思えばさっきから、翻訳ソフトを殆ど使っていない。それでも 『だから、籠城中の娯楽として、コレらソフトを提供する代わりに』 泣き笑う、生きようとする青年の意思は伝わる。
2015-09-28 02:09:5196.『ナンデセウ』 >>『いくらなんでも下手過ぎないだろうか、エイムくらいはきちんとして欲しい』 『自分も初心者だし…もう少し手心というものを…』 >>『遊んでいるのではないのだぞ』 『お前ソッチが素か』 >>『何の事だ!!』
2015-09-28 02:17:2097.すっかりコツを掴んで、どこかのフリージャーナリストじみたゾンビスレイヤーと化したハンスに詰られながら まだ固い顔面をもみほぐす。 いやぁ、コイツほんと面白いわ。
2015-09-28 02:20:00