-忍び寄る風-

真実とは何か。なぜ隠されるのか。真実を知ることは罪なのだろうか
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雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

春雨の後についてきたのは、屈強な大男だ 大井「あら、リカルド提督」 リカルドはドーモ。と軽く挨拶をした 大井「聞いてない、とは?」 リカルド「うちの長官…美濃部サンからの通達だ。雪花に力を貸せ、ってな」

2015-09-26 22:12:20
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リカルドによると、瑠奈花の事情を聞きつけた鹿屋の美濃部長官が門川元帥に頼み込み、リカルドを同行させるように頼んだとのことらしい。なんでも、初動作戦で春雨を無理に旗艦にねじ込んだお詫びに、瑠奈花を補佐しろとのことだそうだ リカルド「ま、そういうことだ」

2015-09-26 22:13:06
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龍驤「それなら早速手伝ってもらおか。まだ重い荷物あんねん」 春雨「任せてください!」 龍驤は春雨を連れ、再び荷造りを始めた リカルド「さて、瑠奈花サンは?」 大井「中にいますよ」

2015-09-26 22:13:56
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〜フライトリバティー・執務室〜 リカルド「…というわけだ。必要な戦力や護衛はこっちから出す」 瑠奈花「了解。それなら比叡達もこっちに残していけそうだ」 リカルドと瑠奈花は簡易執務室で打ち合わせをしていた。雪花と咆哮の合同作戦、互いの意思疎通は欠かせない

2015-09-26 22:15:56
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リカルド「にしても、だ。西方で何があったのやら」 瑠奈花「さあ…なんにしても、咆哮の戦士がいれば心強い。調査もスムーズに済むでしょう。ところで」 リカルド「ん?」 瑠奈花は帽子を深く被り、少し声を抑えて呟いた

2015-09-26 22:17:01
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瑠奈花「…初動作戦で何があったのか、そろそろ教えて頂けませんか」 リカルド「あー…」 今は作戦の真っ只中、瑠奈花もリカルドも十分な戦力を持つ司令部として引っ張りだこであり、初動作戦終了後、ゆっくり話す時間などなかったのだ

2015-09-26 22:17:47
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リカルド「先延ばしにしてるようで悪いが、明日にしてくれねぇか」 瑠奈花「明日?」 リカルド「明日の移動中に話す。多分実際会った方が早い」 瑠奈花「会う?咆哮に新しい艦娘でも加わったんです?」

2015-09-26 22:18:40
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リカルド「何、明日になりゃわかる。約束だ」 瑠奈花「はあ…」 瑠奈花の目は点になった。いずれにせよ、明日にはわかることだ

2015-09-26 22:19:14
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2015-09-26 22:19:23
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〜翌日〜 フライトリバティーは司令基地を離れ、雪花、咆哮の戦士達を乗せて大空へと飛び立った 飛空艇に乗るなど、なかなか経験出来ないことだ。甲板から海を見下ろす者もいれば、組手を始める者もいる 秋津洲「るなか提督!」

2015-09-26 22:20:45
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秋津洲「目的地までは2時間少し程かかるかも!」 瑠奈花「…わかった。多少遅れてもいい、安全運転でな」 秋津洲「了解!」 秋津洲は意気揚々とコックピットへ戻ってゆく

2015-09-26 22:21:42
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瑠奈花「…さて」 大井「提督…」 瑠奈花と大井は小難しい顔で、甲板の様子を見つめていた。一見なんてことのない光景だが、ここには明らかに異質な点がある 大井「何が起こっているのでしょう」 瑠奈花「さあね…」

2015-09-26 22:23:41
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山城「この船…墜ちたりしないわよね…」 若葉「心配ない。秋津洲は信頼できる」 甲板の端では、4人の艦娘が海を見下ろしている。その中の1人が、夢中で身を乗り出している 春雨「そ、そんなに乗り出したら危ないよっ」

2015-09-26 22:24:28
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「だって…すごいぞ、この光景!絶景だぞ」 春雨「それはそうだけど…」 「私は今まで、海に囚われていたから…こういう光景は見たことがないんだ」 春雨と親しげに話す、見慣れぬ姿をした彼女に瓜二つの黒い服の少女

2015-09-26 22:25:12
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おそらくは義足と思われる無機質な脚を持ち合わせていることを除けば、その特徴は… 瑠奈花「…駆逐棲姫。何故ここに?」 大井「随分親しげに見えますが」 瑠奈花「“会えばわかる”とはこのことか…」

2015-09-26 22:25:59
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駆逐棲姫「…うわっ!」 強風に煽られ、不意に飛空艇が揺れた。はしゃいでいた駆逐棲姫は衝撃で転びかける。が、若葉はよろけることなく咄嗟に彼女の腕を掴んだ 若葉「大丈夫か」 駆逐棲姫「えっ…あ、あぁ」

2015-09-26 22:27:18
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若葉は駆逐棲姫を立たせると、無言で踵を返し一服した。彼女は成人である 駆逐棲姫は頬を少し赤らめて、若葉の背中を見つめた。春雨はそんな駆逐棲姫をジト目で見つめている 大井「咆哮の若葉…噂に違わぬイケメンね。あの子堕ちたわ。間違いない」 瑠奈花「なんとも奇妙な光景だ」

2015-09-26 22:28:13
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大井「もっと奇妙なこともありますよ」 大井はリカルドの方を指さす 蒼黒の鎧を身に纏ったリカルドが吹雪の組手を見ている。が… 瑠奈花「吹雪が…」 大井「2人…」 リカルドが見守る中、2人の吹雪が組手を取っている

2015-09-26 22:29:33
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吹雪「い、イヤーッ!」 吹雪は物を振り払うように素早いチョップを繰り出す リカルド「ほう、格闘を身につけたと聞いたが、見たことのない型だな」 フブキ「いずれにせよ、鋭さが足りません。目的が何にしても、それでは敵を討ちそびれます」 吹雪「は、はい!」

2015-09-26 22:31:33
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「い、イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」 大井「うーん、ドッペルゲンガーですかね?」 目の前の光景はにわかには信じ難い 瑠奈花「以前吹雪が、自分と同じ人間について話していたが、こういうことだったのか。なんにせよ、話を聞く必要がある」

2015-09-26 22:32:27
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瑠奈花「というわけで」 リカルド「うむ」 瑠奈花はリカルドを呼び、この奇妙な状況について問い詰めた リカルド「とりあえず駆逐棲姫のことを話そう。吹雪のことは後で本人から聞いてくれ」 瑠奈花「吹雪から?」

2015-09-26 22:34:07
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リカルド「その方が理解しやすいだろ。1つ言えるのは、あの2人は紛れもなく本物の吹雪だってことだ」 瑠奈花「わかりました。そういう認識でいましょう」 リカルド「流石、話が早くて助かる。んで、駆逐棲姫のことだが…」 リカルドは初動作戦での出来事を瑠奈花に話した

2015-09-26 22:34:58
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瑠奈花「では、渾作戦の時から…」 リカルド「見た目からしても、春雨と何かしら繋がりがあると思う。詳しくはわからんが。とにかく、倒したと思った駆逐棲姫と再会し、連れ帰ってきた。これが初動作戦での出来事だ」

2015-09-26 22:35:59
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リカルドの話によれば、駆逐棲姫は瑠奈花が認識している深海棲艦とは些か性質が異なるようだ。邪悪な何かが春雨の姿を写し取ったのか、春雨の暗黒面が具現化したのか 大井(それにしては、浄化されたかのように仲良しになってますけどね)

2015-09-26 22:37:34
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瑠奈花「1つ尋ねたい。駆逐棲姫は…離島棲鬼について何か言ってませんでしたか」 リカルド「離島棲鬼…?」 リカルドも話には聞いたことがあった。かつてピーコック島の戦いで深海軍を指揮する立場にあったという、棲鬼級の一体

2015-09-26 22:38:36