近侍部屋当直日誌VI

近侍当直部屋 @bury_ido

みつ「……おは……よ」 長谷「消耗したのか」 みつ「ちょっとね。長かったから……その分調整が必要で……」 長谷「顔を上げろ」 みつ「ん？」 長谷「補給が必要だろう」 みつ「……はい」

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みつ「むぐむぐ」 長谷「……焼きたてのほうが美味いんだがな」 みつ「味分かんないし」 長谷「香りも食感も、だ。それにあたたかい料理は基本的に良いものだろう。……最近気がついたことだが」 みつ「ふうん？　でもこーばしー感じのにおいだね？」 長谷「お前の分はごま油で焼いたんだ」

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みつ「早く味が分かるようになりたいなあ」 長谷「……今夜、……外へ出ないか」 みつ「出ないか、って……ぼくに訊かれても知らないし」 長谷「外出許可の話をしているんじゃない。デートに誘っているんだ」 みつ「へう」 長谷「……一緒に月を見に行ってくれますか」 みつ「……ゆるすー」

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@shositu_mitubot みつ「ねもい……」 長谷「外の風に当たれば目が覚めるぞ。最近涼しくなったからな」 みつ「んー……」

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@shositu_mitubot 長谷「……今夜はこの時間でも油断がならないな。ひとの来なさそうなところといえば……」 みつ「藤のところは？」 長谷「見ごろではないとはいえ、庭の花のきれいなほうは危ないな。……ふむ。…………俺は子連れ狼になるぞ」 みつ「は？？？」

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@shositu_mitubot 長谷「……ちゃんと摑まっていろよ。たすきだけで支えられる体重ではないからな、お前はもう」 みつ「う、うう、」 長谷「おい首が絞まってる」 みつ「だって、だっておんぶなんて分かんないもん」 長谷「もう少しで屋根の上だ、がんばってしがみつけ」

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@shositu_mitubot 長谷「ほら、もういいぞ。ゆっくりと足をつけろ。滑らないようにな」 みつ「う、うう……」 長谷「今たすきを解く」 みつ「（ひしっ）」 長谷「おい」 みつ「高いところはこわいよ……」 長谷「たかが平屋の屋根だぞ。……高所恐怖症なのか」

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@shositu_mitubot 長谷「日本号のやつに肩車されたときはｲﾗｯとくるくらいに喜んでいただろう」 みつ「足が地面に繋がってなきゃやだ……。ひとはへーきだけど」 長谷「……なら俺に摑まっていろ。たとえお前が足を滑らせて落ちようと、俺が掴まえる。ないし下になって落ちる」

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@shositu_mitubot 長谷「ほら、膝へ来い。大丈夫だから」 みつ「う、うう……ちゃんとぎゅってしててね」 長谷「ああ。……ほら空を見ろ。月を見に来たんだから」 みつ「……月だ。まんまるの」 長谷「一年でもっとも美しい月だ。……この光の下でしかできないまじないもある」

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@shositu_mitubot 長谷「……下へ戻ったら、表から月見団子をもらってくるから共に食べる」 みつ「食べるの？」 長谷「食べる。……健康にずっといられるようにだ」 みつ「そっかあ」 長谷「……お前の目は表の燭台切より黄色っぽいな。あの月の色に近い」 みつ「……うん」

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@shositu_mitubot みつ「お月さまは黒っぽいとこあるんだね」 長谷「……お前に月の兎の話をしてやろう」 みつ「うさぎ！」 長谷「……そういうわけで、自ら火に飛び込んで身を焼き捧げた兎は、ああして月に」 みつ「zzz」 長谷「おい」

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@shositu_mitubot みつ「……うさぎさん。自分で焼けて死んだんだね」 長谷「だがそれは純真な心からくるもので、」 みつ「暗いお空の赤く焼けた心臓……」 長谷「何の話だ？」 みつ「ううん。……ううん、帰ってぼくのうさぎさんを大事だいじにしてあげなきゃね」

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みつ「いつの間にかはせべくんが買ってくれてた双子のうさぎさん、かわいいよね。君たちはどこから来てどこに行くの？」 長谷「団子を持ってきたぞ」 みつ「夜だけどおかし食べていいの？」 長谷「今日は特別だ」 みつ「特別。特別って好き。好きだよ！」 長谷「俺のことは」 みつ「大好き！」

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みつ「ぴしーんぴしーん」 長谷「おい、すすきを振り回すな粉が散る」 みつ「はせべくんこういうの好きでしょ？」 長谷「するほうはな」 みつ「……ひえぇ」 長谷「貸してみろ」 みつ「ぼくは痛いのいやです」 長谷「……」 みつ「いやです」 長谷「……尊重しよう」

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みつ「ぴょーんぴょん」 長谷「うっ……ぐっ……」 みつ「おとーさ！？！！？？」 長谷「……それは……リーサルウェポンだ……俺たち刀が憧れる響き…々リーサルウェポン……封印しておけ……」 みつ「ぴょ、ぴょん……」

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みつ「……。おとーさんっ」 長谷「ぐ。飛び乗るな」 みつ「あのねえ知ってる？ うさぎさんってねえ……（すりすり）」 長谷「…………降りろ」 みつ「やーーーー」 長谷「降りろ。いや降ろす。どんなにかわいく誘惑しても、お前が小さいうちは手も何も出さんぞ」 みつ「ぎゅぅ……」

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みつ「……すやぁ」 長谷（がばっ）」 みつ「う……うう？？」 長谷「やっとだ。……やっと……いや……今日の誉は大倶利伽羅にとられたが……」 みつ「？？？　……よしよし。おつかれさー」 長谷「もう少し撫でていてくれ」 みつ「なんか嬉しそーだね？？」 長谷「お前と出かけられるからな」

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みつ「へうー……。はせべくん帰ってこない……忙しいそーだったもんね……。でもりょーさいなのでぼくはちゃんと待って……ふあぁ…………zzz」

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みつ「背中だけじゃないね。肩もがりがりしちゃったよね」 長谷「……しばらくは石を投げるにも痛かった」 みつ「おとーさんのせいじゃない？　ちょっとあれはなかったよ……」 長谷「反省していないこともない」 みつ「？？？　えーっと、してることがなくて、それがまたないから、」

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みつ「……傷、ふさがっちゃったね」 長谷「…………」 みつ「またがりがりしてあげる？　ちっちゃい手でできるかな。それとも歯で？」 長谷「ただでさえ生傷が絶えないんだ、これ以上作らんでいい。……そんな必要はない」 みつ「……はあーい」 長谷「寝るぞ。ほら」 みつ「ふっふー乗るー」

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みつ「さむ……」 長谷「……唇から勝手にもっていけ」 みつ「…………うう」 長谷「ほら」 みつ「……いただきま」 長谷「…………いただかれるのはお前だがな」 みつ「！！！！」

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長谷「おはようございます、主。今日はこいつを起こす作法をお知らせしますね。まずは同じ毛布に潜り込みます。俺のほうはすでに着替えているので背徳感があります。次に頰に手のひらを当てると無意識にすり寄ってくるので楽しみます。空いた手で髪を撫でます。足を撫でて体温チェックをします」

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長谷「最後に唇にキスをすると起きるので、これで完了です」 みつ「えうー……ごはん？」 長谷「ああ、顔を洗ってこい」 みつ「おはよーございま」 長谷「おはよう」 みつ「おはようのぎゅー」 長谷「はいはい」

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鶯丸「日曜の午後というのはいいものだな」 みつ「ねー」 鶯丸「縁側で茶でも飲めたら最高だろうな」 みつ「えんがわ？」 鶯丸「表にある」 みつ「それはムズいねー」 鶯丸「（むずむず？）」 みつ「お茶おいしー……ずず」 長谷「俺の膝も空いてるぞ」 みつ「うぐさんがいい」 長谷「……」

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長谷「帰った」 みつ「おかえりなさー。えー早くない？　ごはん？」 長谷「いや、ここ数日帰りが遅かっただろう。その分今日は早く終わらせた。夕飯はなしだ。風呂に入れ」 みつ「へ？？？」 長谷「出かけるぞ」