近侍部屋当直日誌VII
光忠「だからっ、なんで長谷部くんが謝るの……っ、……僕が、……僕が……っ」 長谷「いつも怖がるからな。日に二度も連れ出されたらいやにもなるだろう。これからは無理はさせないからな」 光忠「ちがうのぉぉ……っ」 長谷「なぜまた泣く」 光忠「もういいからほうっといてよっ!!」
2015-10-25 23:26:42長谷「……洗面所に立てこもられましたが…………走って帰ってきて体が冷えていないか心配です、主。洗面所は冷えます。せめて風呂で足だけでも温めていればいいんですが……鍵のかからないあの洗面所の戸が……ハードルが高いです主……」
2015-10-25 23:32:54長谷「光忠」 光忠「(びくっ)」 長谷「……開けるぞ」 光忠「ぅ、……あ、……あ、あ、……」 長谷「……握り飯と味噌汁を作ってきたんだ。体が冷えるだろう。置いていくからちゃんと食べろ。……ひとりでいる時間も必要だろう。いつまででもそこにいていいからな」 光忠「や、……やだ、……」
2015-10-25 23:58:13光忠「やだ……」 長谷「食事は摂れ。気分が落ちていてもだ。でないと余計に……」 光忠「いらないから!!」 長谷「……」 光忠「そんなこと言わないでいいし僕のこと気にしなくていいから! ほっといてよ、長谷部くんは長谷部くんのために生きてよっ!! ほっといて、」 長谷「……そうか」
2015-10-26 00:00:54光忠「お味噌汁、もう冷めちゃったよ長谷部くん。……なんで置いてちゃったの? 暗くて狭いところに僕を置いてくの、好きだもんね。いっつも僕のこと……。信じてたのに。信じてたのに。信じてたのに。信じてたのに」
2015-10-26 00:19:42長谷「……うさぎ」 光忠「(そうか、耳つけたままだった)」 長谷「出てこい、うさぎ。健康診断の時間だ」 光忠「え」 長谷「俺を楽しませるために飼われている分際で岩戸隠れとはなあ」 光忠「……ほっとい、」 長谷「お前がどうしても嫌だというなら二度と声はかけないがな」 光忠「……」
2015-10-26 00:35:14長谷「……お前がもし育つようならと期待して、思春期の子どもとの接し方も調べたんだ」 光忠「う」 長谷「お前を寂しがらせないことに必死だったが、……今のお前には一人になれる場所が必要かもしれないな。……そこにいたければいるといい。自立したっておかしくない大きさだ」 光忠「……」
2015-10-26 00:37:58光忠「……」 長谷「!」 光忠「…………きゅ、きゅぅ……」 長谷「やっと顔を見せたか。目が真っ赤だぞ、うさぎ」 光忠「違うから。ほだされたとかじゃないから。……ただ、うさぎは寂しいと死んじゃうから、」 長谷「その俗説は否定されているがな」 光忠「ギギーバタン」 長谷「待て」
2015-10-26 00:40:22長谷「……光忠。おいで」 光忠「…………ギギ」 長谷「ほら」 光忠「……入ってきていいよ」 長谷「……」 光忠「きゅぅ……」 長谷「邪魔しよう」 光忠「ずかずかと……!」 長谷「お前を早く抱きしめたかった。光忠」 光忠「うさぎだもん……」 長谷「ああそうだな、うさぎだ」
2015-10-26 00:48:03長谷「体が冷えきってるな。お前があたたかくないとだめだ。不安にある。ベッドに行くぞ」 光忠「……あ、あの、おみそしる……」 長谷「……」 光忠「……ごめんなさい」 長谷「温めれば後で食べられる。構わん。……それにうさぎは味噌汁も握り飯も食わん」 光忠「きゅう……」
2015-10-26 00:50:17光忠「耳は偽物なんだってば」 長谷「……(ふにふにふにふに)」 光忠「楽しそうだね……」 長谷「ああ、最高にかわいい自慢のうさぎだからな」 光忠「真面目な顔で言うのやめてよ……」 長谷「なら態度で表すか? ん?」 光忠「そうやって全身撫でたり口づけしたりすり寄る気でしょ。やって」
2015-10-26 00:54:17光忠「ぴょふぴょふ……」 長谷「ああ、そうだな。ぴょふぴょふだ。かわいいぞ」 光忠「……長谷部くんに構ってもらいたくて付けたんだもん」 長谷「いくら撫でても足りん」 光忠「ぎゅーーー」 長谷「ん」 光忠「眠くなるまで構っててよね」
2015-10-26 00:58:56光忠「うーん……」 長谷「体が大きくなるとかわいがり甲斐があるな」 光忠「……眠くなってきた…………」 長谷「ああ」 光忠「うーん(すりすり)」 長谷「耳、外すぞ」 光忠「だめ……」 長谷「寝づらいだろう」 光忠「……。耳外しても可愛がってくれる?」 長谷「お前は十分かわいい」
2015-10-26 01:32:15光忠「離れたくない……ここからいなくなりたくないよ…………」 長谷「……もう寝ろ」 光忠「ねえ長谷部くん。もしもちょきんと生まれ変わって、燭台切光忠が長谷部くんを選ぶ世界線に変われるとしたら、」 長谷「……」 光忠「やってみちゃう?」
2015-10-26 02:30:07光忠「ひまだなあ……。…………だらけちゃだめだよね。って……することもないし。必要な情報はさっき鶴丸さんから聞き出したし。……長谷部くんのために何かして待っていられたら最高なのになあ……。ねえ、君もそう思うよね、ペンギンくん」 光忠「きゅっ、きゅー」 光忠「だよねえ?」
2015-10-26 13:59:06