【ミイラレ!第二十三話:ホクサンのビャッコのこと】(原文のみ)

怪異に好かれる少年と退魔師の少女がなんやかんやするお話。今度攫われたのは主人公。 こちらは原文のみです。実況付きはこちら→ http://togetter.com/li/900965
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

そして不意に成り行きを見守っていた四季へと視線を向ける。「……こちらも趣向を凝らすとしよう。頭領殿、申し訳ないがまた狭いところに入っててもらいます」そう言って、彼女は御笠の側に控えていた曳子を見やった。「寺生まれにはせいぜい苦しんでもらわにゃならんのでして」50 #4215tk

2015-11-19 18:27:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「御主人!」逃走を続けていた充虎に、シケが合流し並走する。「お父上と連絡が取れました!至急こちらに向かわれると!」「ご苦労様」彼女は微笑み、すぐに厳しい表情へと戻った。「サバンッ!」「サバンサバンッ!」さらなる影犬を呼び、後方へけしかける!52 #4215tk

2015-11-19 18:30:16
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

が、すぐにその吠え声は途絶える。充虎は唇を噛み締めた。敵は想像以上に速い。果たして美咲と合流できるか……そこまで思考を進めていた充虎を不意に足を止め、飛び退く。それと同時、進行方向の道路に前触れもなく穴が開いた。「発見!」「報告!」「包囲!」53 #4215tk

2015-11-19 18:33:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

中から飛び出してきた小柄な怪異が、手際よく充虎の周囲を囲む。彼女は舌打ちした。見知った相手。蟻の怪異だったか?思い出す暇もない。鋭い殺気を感じ取った充虎は着地ざまにしゃがみ込む。その頭上を風が薙いだ。「チッ、外した」「ちょっと狙いが甘かったネー」54 #4215tk

2015-11-19 18:36:14
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

追いついてきた怪異たちを見て、充虎は顔を歪める。片方はあの少年を護衛していた修道女姿の怪異、もう片方はチャイナドレスの怪異だ。どちらも片手間であしらえる相手ではない……「随分と愛されてるんだね、あの人間は」ひとりごちた彼女は二人と対峙する。55 #4215tk

2015-11-19 18:39:02
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

……「ひとまず一人は追い詰めた、と。こうすりゃもう一人も釣れるだろうさ」進退窮まった軍服の怪異を屋根の上から見下ろしながら、巡は小さく呟いた。「今回に限ってはあんたに礼を言わなきゃならんね、草江の嬢ちゃん」傍らに立つ退魔師から返事はない。なおも厳しい表情だ。56 #4215tk

2015-11-19 18:42:41
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「成る程、新しい都市伝説が元になってるにしては随分と手強そうだ」彼女の横に立つ退魔師、Tが手に庇を作って怪異を観察する。「なんというか、生まれが違うって感じだな。なんか心当たりでもないのか、御伽さん」「知っててもあんたにゃ教えないよ」巡の態度は素気無い。57 #4215tk

2015-11-19 18:45:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「いいから周りに気を払いな。おんたんとこの若いのがどれだけ役に立ってるかは知らんが、あれの姉とやらが釣れるのにそう時間はかからんだろう」「いや全く。慧眼だな」Tは言う。その視線は軍服の怪異から離れ、遠くへと移っている。「早速おいでなすったぞ」58 #4215tk

2015-11-19 18:48:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

彼の言葉通り、それはやってきた。赤い影が屋根を渡り、風のように接近してくる。「『口裂け女』か。こんな気性の荒いのは久しぶりだな」Tは呟き、笑った。そして「破ァッ!」裂帛の気合いとともに屋根を蹴り、矢のように怪異へと向かっていく!59 #4215tk

2015-11-19 18:51:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

【ミイラレ!第二十三話:ホクサンのビャッコのこと】終わり #4215tk

2015-11-19 18:52:18