「剣豪」「剣聖」という呼称の誕生について

優れた剣士に対して「剣豪」「剣聖」という呼称がごく当たり前のように使われていますが、ふと思い返してみると、近代以前の武道関連書で、そういう表現は見たことないなーと思ったので、調べてみました。 (※少し追記。今後も新情報がわかったら更新します)
86
神無月久音 @k_hisane

.@mototchen おお、これは確かに!>剣聖@柳生十兵衛旅日記 大正元年になるから、一気に前倒しになりま砂。当方見落としてたようで、ありがたやでアリマス。 pic.twitter.com/bMGWBZM4Af

2015-11-17 22:56:06
拡大
神無月久音 @k_hisane

あと、「柳生十兵衛旅日記(大正1)」に「剣聖」の表記があった件について、気になったので近デジで「柳生旅日記(明治27)」「柳生重兵衛旅日記(明治44)」も調べてみたところ、大体同じ箇所で「剣聖」の表記はなかったので、「剣聖」が造語された時期はこの辺(明治末~大正初期)なのかなと。

2015-11-18 20:00:54
神無月久音 @k_hisane

前にこっち(togetter.com/li/874272 )でも書いた話ですが、講談は、同じ演目でも語り手次第で内容が変わるので、それを本にした場合、特定の語句の有無の違いくらいは普通にありますから、この違いは、その頃、造語された単語が後付で追加されたのであろうなと。

2015-11-18 20:06:43
まとめ 「柳生十兵衛が隻眼、という話の出典がそもそも分からない」という話。 タイトルがすべて。 ええっ!!!!と驚いたんでまとめました。 78851 pv 817 132 users 152
神無月久音 @k_hisane

あと、ちょっと引っ掛かったのが、明治末期から昭和にかけての剣戟映画に絡んで、「(剣戟スタァのうち)嵐寛寿郎、市川右太衛門、大河内傳次郎、片岡千恵蔵、月形龍之介、林長二郎(のちの長谷川一夫)を「七剣聖」と呼んだ」という記述が出てきて、これがいつ頃言われてた呼称かも気になるなあと。

2015-11-17 22:50:06
神無月久音 @k_hisane

昨日伺った昭和2年の「剣豪悲節(日活)」と「天下無双の剣豪(右太プロ)」のうち、後者は七剣聖の一人である市川右太衛門が主演なので、やっぱこの当時の呼称なんじゃろか。あと、これらは流泉小史の連載とほぼ同時期か、下手すりゃそれより前になるので、それ以前に何かあった可能性もありますし喃

2015-11-17 23:14:21
神無月久音 @k_hisane

あと初出ではないですが、昭和18年-22年にやってた歌舞伎の演目でこんなのが。 ・「剣豪安宅郷右衛門」「剣豪荒又」「剣豪三国誌」 ・「剣聖大往生」「剣聖近藤勇」「剣聖秋怨録」 ・「剣侠姫百合」「剣侠六歌撰」 「剣侠」ってのは前二者よりは一般化してませんが、これもいつから出たのやら

2015-11-17 23:20:30

現状のまとめ

神無月久音 @k_hisane

とりあえず、現状をまとめると 「剣豪」:昭和元年前後に連載が開始された「剣豪秘話(流泉小史)」が初出? 「剣聖」:大正元年の「柳生十兵衛旅日記)」が今回確認できたうちでは最古? それ以前は「名人」「上手」「達者」「達人」等が優れた剣士への呼称として使われていたというとこですね

2015-11-17 23:58:02
みんみんぜみ @inuchochin

@k_hisane 剣聖、剣豪がいつ頃から使われたからというのは興味深いですね。この手の界隈の言葉も歴史が短いものがあるというか、変化がかなりあるのものですね。

2015-11-17 23:13:42
神無月久音 @k_hisane

.@inuchochin 今じゃすっかり定着してしまいましたしね>剣豪&剣聖 探ってみた感じ、まだいくらかは遡れるかもですが、それでも近代以降に生み出された造語であろうなと。大体100年そこらってとこですね

2015-11-17 23:16:51
みんみんぜみ @inuchochin

@k_hisane 今まで考えた事も無かったです。たしかに伝書や剣術関連の記録で剣豪とか剣聖とか見た事ないですね。天

2015-11-17 23:19:18
神無月久音 @k_hisane

.@inuchochin ですね。ふと気になって調べてみたら、存外面白かったなーと。この辺を踏まえると、この先、何かしら新たな呼称が生み出されて、いつの間にか定着することもあるかもしれませんね。

2015-11-17 23:24:05
神無月久音 @k_hisane

尤も、その新たな呼称として「ソードマスター」が定着することはなさそうだなーと、しみじみ思ったり。 pic.twitter.com/WgU5tiRQYt

2015-11-17 23:28:08
拡大

余談

資料を調べたついでに出てきた小ネタになります。
あまり本題と関係ありませんがご容赦をば。

神無月久音 @k_hisane

あと、ついでに夢酔独言も読み返してたら、勝小吉の18歳の頃の記述で、ばくち打ちの音吉という者の刀を自分の差料にしたとあったのだが、それが池田鬼神丸国重だったそうで、ほうほうと。鬼神丸国重といえば斎藤一の刀とされてるけど、おそらく創作と思われるのに対し、こっちは本人の記述ですし喃。

2015-11-17 22:00:54
神無月久音 @k_hisane

つか、この鬼神丸国重、二尺九寸五分あるとありますが、かなり長いで砂。まあ、勝小吉は平山行蔵の弟子ですから、さもありなんという感じですが、これ、音吉が持ってた時はこれを脇差と称してたようで、二本差しでさえなければ、この辺、割と融通効いてたのかなーと。

2015-11-17 22:04:22

追記

神無月久音 @k_hisane

【「剣豪」「剣聖」という呼称の誕生について - Togetterまとめ】togetter.com/li/901510 昨日のまとめ、コメント欄を見てるとF.SS.率というかカイエン率が高くてうーんこのpic.twitter.com/aQGmfyZVW6

2015-11-18 19:55:47
拡大
神無月久音 @k_hisane

しかし、創作でも「剣豪」「剣聖」は人気がありますが、他にざっと調べても「剣王」「剣皇」「剣帝」「剣神」「剣仙」「剣魔」とか出てきますし、他にも色々あるんでしょうな。 pic.twitter.com/kQnQFwLdFx

2015-11-18 21:40:12
拡大
拡大
拡大
拡大
神無月久音 @k_hisane

なお、「剣竜」だとベクトルが全然別の模様。そして「剣龍」にすると別方向にカッ飛び、「ケンリュウ」だとロム兄さんが高いところから説教かましてきそうな趣に。あとひっくり返しても別のネタが。 pic.twitter.com/hSoE3OQkYO

2015-11-18 21:46:06
拡大
拡大
拡大
拡大
高嶋ぽんず@有識者 @ponzz

剣鬼とか。この辺りは、汲めども尽きぬ泉かな、といった感じです。 twitter.com/k_hisane/statu…

2015-11-18 21:43:01
神無月久音 @k_hisane

@ponzz おー、そういや「剣鬼」が抜けてましたな。というか、いくらでも出てくるなあと。

2015-11-18 21:46:56