黄昏町(九板)三十四日目

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@hiiragi_r_t_d

【三十四日目】 【魂9/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) #hollytk

2015-11-30 00:31:14
@hiiragi_r_t_d

「はぁー……」 わたしは大きくため息をついて、軽く身をよじった。体をきつく縛り上げている縄が軋んで、周りを歩いていた男達が振り向く。 そして、広場の中央に立てられた柱に縛り付けられたわたしにジロジロと無遠慮な目線を向けた後……飽きたように歩き去って行った。 01 #hollytk

2015-11-30 00:32:18
@hiiragi_r_t_d

諦めて脱力するわたしの前を、数人の少女達が通り過ぎていく。 ここは人間たちの居住地らしい。目覚めた時には、すでにここに運ばれていた。 「はぁー……カッコつかないですね」 昨日、あれだけ大口を叩いておいて早速これだ。全く、自分の間抜けっぷりに笑えてくる。 02 #hollytk

2015-11-30 00:34:31
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わたしはうなだれたフリをしながら、周囲の様子を窺う。 黒光りする銃を持った男が三人。銃には詳しくないわたしでも、あの形をした銃が無数の散弾をばらまく事は容易に想像出来た。 そして建物の屋上に、ボウガンを持った男が二人。 わたしは溜息をついて、空を眺めた。 03 #hollytk

2015-11-30 00:36:10
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合計五人。わたし一人のために、これほどの人数を動員するとは考えにくい。 つまり、ここは捕まえたバケモノを集める場所なのだ。集めてどうするのかは、あまり考えたくない。 「はぁー……」 銃殺、石打ち、火炙り、水責め? 「できるだけ、辛くないのがいいですね……」 04 #hollytk

2015-11-30 00:43:13
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夕焼け空を見上げるわたしの耳に、言い争いの喧騒が飛び込んできた。 「さっさと歩けバケモノ!この銃が見えねえのか!」「急いで欲しけりゃぁ足の縄ほどきやがれ」 銃を突きつけられているのはひょろりとした男。右目の上に開いた口と長く鋭い鉤爪が特徴的だ。 05 #hollytk

2015-11-30 00:45:58
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男は緩く羽織った鉄色の着流しの上から、両腕を荒縄できつく縛られている。相当暴れたのだろう、鉤爪は返り血でてらてらと輝いていた。 「まあまあ、隣どうぞ」 「おっ、ありがとよ嬢ちゃん。できれば椅子かなんかあると、おいちゃん嬉しいなぁ。腰が痛くってよぉ」 06 #hollytk

2015-11-30 00:47:14
@hiiragi_r_t_d

男達は男の愚痴に構わず、わたしの縛られている柱の隣に男を手早く縛り付けて去っていった。 「あぁー、ついてねえな、おいちゃんも嬢ちゃんも」 「ええ、そうですね。本当にツイてない」 07 #hollytk

2015-11-30 00:49:10
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去っていく男達を横目で見ながら、男がぼそりと呟く。 「おいちゃん死にたくないなぁ。でもおいちゃん一人じゃあ、この数は無理だなぁ。二人斬っても、一人に撃たれちまうもんなぁ」 「あーあ、わたし一人じゃあ無理ですねー。狙撃手はなんとかできるんですけどねー」 08 #hollytk

2015-11-30 00:51:08
@hiiragi_r_t_d

わたしの「誰に言うわけでもない独り言」を「たまたま聞いた」男はにやりと笑い、わたしに目配せした。 「どうだい嬢ちゃん。君がやるなら、手伝うよぉ」 「あれ、聞こえてました?じゃあ、右の二人はお願いしますね」 「おうともさ。それじゃあ、行くぜ?」 09 #hollytk

2015-11-30 00:53:12
@hiiragi_r_t_d

「四」 男の手から鈍い音が鳴り、するりと拘束を抜け出した。 「三」 もう一度鈍い音が鳴り、男が指をゴキゴキと鳴らす。 「二」 わたしも尾を縄から引き抜く。 「一」 男の鉤爪とわたしの尾が閃き、縄が切り刻まれて地面に落ちた。 10 #hollytk

2015-11-30 00:55:13
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「ゼロっ!」 わたしと男は弾かれたように真逆の方向へ飛び出した。男が二人の首に手を振りかざすのを横目に、わたしも前方の敵を見る。 「なっ、このっ」 銃を構える警備の男に目を合わせ、額の眼を見開く。男の身体が強張り、引き金にかけた指は動かなくなった。 11 #hollytk

2015-11-30 00:57:10
@hiiragi_r_t_d

「さようなら」 尾が霞み、銃を構える男の首が宙を舞った。左を向き、飛来する矢を尾で叩き落とす。 「あなたも、さようなら」 屋根の上でスコープを覗き込んでいた狙撃手がビクリと震える。額の眼に力を込めると、男は痙攣して動かなくなった。 12 #hollytk

2015-11-30 00:59:24
@hiiragi_r_t_d

不意に後ろで破砕音が響く。振り返ると、男が高く跳び上がり、わたしを狙う矢を空中で叩き壊していた。すかさず尾を振るい、ボウガンを構える狙撃手の首をはね飛ばす。 「ありがとうございます」 「なぁに、礼なんていいよ。おいちゃんも助かったしねぇ」 13 #hollytk

2015-11-30 01:01:21
@hiiragi_r_t_d

しゅた、と軽やかに着地した男が、わたしに名前を尋ねる。 「九板です。あなたは?」 「あー、おいちゃんはねぇ、か」 男の答えを遮るように銃声が響き、路面に無数の弾痕が刻まれる。 「おっとっと、こりゃのんびりしていられねえな。嬢ちゃん、じゃあな!」 14 #hollytk

2015-11-30 01:03:20
@hiiragi_r_t_d

「あっ、名前を」 わたしが手を伸ばした時には、既に男の姿は消えていました。 「はぁー……」 溜め息をついたわたしの鼻の先を、銃弾がかすめていった。 「……逃げますか」 痛いのは、嫌ですし。 15 #hollytk

2015-11-30 01:05:07
@hiiragi_r_t_d

「止まれ!止まらないと」「えいっ」 「ぐあぁっ!」 銃をつきつける若い男の首を斬って黙らせてから、わたしは踵を返した。尾を振るい、適当に建物の壁を切り刻んで侵入したように見せかけた後……逆方向の路地に逃げ込む。 「時間稼ぎに、なるといいのですけれど」 16 #hollytk

2015-11-30 01:07:23
@hiiragi_r_t_d

路地には不思議な静寂が満ちている。 わたしは足音を殺しながら、ゆっくりと逃げることにした。 17 #hollytk

2015-11-30 01:09:42
@hiiragi_r_t_d

──────── 【三十四日目】 【生存】 【魂-1】 【魂8/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) 18 #hollytk

2015-11-30 01:10:23
@hiiragi_r_t_d

[町]「君がやるなら、手伝うよ」君と同じく住人に引っ立てられた異形姿の男が、目配せをする。《男と協力し住人を戮すなら【魂-1】大人しく処刑されるなら焼死【魂-2/『火玉(火耐性、探索+1)』入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547 #hollytk

2015-11-30 01:10:51