黄昏町(九板)三十五日目

柊 @hiiragi_r_t_d

【三十五日目】 【魂8/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) #hollytk

柊 @hiiragi_r_t_d

「……撒けたようですね」 一人、裏路地を歩くわたしは呟く。建物の間で目覚めてから、足音一つ聞いていない。 「名前、聞きそびれてしまいました」 昨日会った、着流しの男。鉤爪と見事な体術で瞬く間に二人を殺し、飛来する矢を掴み取った。 01 #hollytk

柊 @hiiragi_r_t_d

しゅぱっ、しゅぱっ。軽くジャブを打つ。 「……遅い」 あの男には遠く及ばない。やはり、彼の力は異形だけではないのだろう。 「練習……したら、筋肉つくんでしょうか？」 死んだ時にリセットされるかもしれないし、鍛えるよりも異形に慣れた方が速そうだ。 02 #hollytk

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そんな事を考えながら歩いていると、爪先が何かに当たった。 「……？」 マンホールの蓋が、わずかにずれている。 その奥で、ギラリと二つの目が光った。 「ひっ……ッ！」 慌てて飛び退ると、マンホールの中から何かがずるずると這い上がってきた。 03 #hollytk

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「はぁ、はぁ……き、君、うん、大丈夫か。人間じゃないし、ヒトだ」 何か……ではなく、ヒトだ。異常に手足の長い、ボロボロで泥だらけの。 若い男の声で、泥だらけのなにかが話す。 「すまない、少し、頼まれては、くれないかな……殺されて、ほしいんだ」 04 #hollytk

柊 @hiiragi_r_t_d

……何を言っているのでしょう。とりあえず、練習も兼ねて殴ってみましょう。 「えいっ」「ぐぼぁっ」 地面に転がった男は、わたしの足にすがり付く。 「魂が残りあと1つなんだ、頼む、頼むよ…」 「大抵は一つでしょう」 額の眼に映る魂は、いつも一人につき一つだ。 05 #hollytk

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「僕はずっと死に続けているんだ……後がないんだよ……」 「ははあ……？」 よく分からないが、死んでばかりで心を病んでしまったのだろうか？そういえば、彼の魂は頼りなく揺れている。 「名案を思いつきましたよ」 わたしはそう言って、顔を上げた男の目を覗き込んだ。 06 #hollytk

柊 @hiiragi_r_t_d

男がビクリと身体を震わせ、目を逸らそうとするがもう遅い。非力な彼では、指一本たりとも動かせないだろう。 「わたしの眼を分けてあげますよ。これなら戦いの苦手な貴方でも、それなりに殺せます。ただし、金色の目をした人には通用しないから気を付けてくださいね」 07 #hollytk

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「あ、だかっ、らっ、がっ、ひゅ」 何かを言おうとしているが、呼吸が止まっていては何も話せない。 「それでは、おやすみなさい。強くなれるといいですね」 男の手から力が抜け、地に落ちた。 08 #hollytk

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──────── 【三十五日目】 【生存】 【魂+1】 【魂9/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) 09 #hollytk