「世界宗教」と「民族宗教」についての短い考察

中村圭志先生のツイートを纏めました。
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Keishi N 中村圭志 @7AChip

宗教について、普遍的な人類救済か、民族的特殊主義かというふうに二分法で考えるのは何かが足りない。だから「世界宗教」VS「民族宗教」という分類が無くなったんだろうと思う(日本の宗教学入門書は今でもこれを使っているけれど)。

2015-11-29 10:45:43
Keishi N 中村圭志 @7AChip

(日本の宗教学入門書における「世界宗教」「民族宗教」の問題を指摘されたのは藤原聖子先生です)

2015-11-29 10:46:30
Keishi N 中村圭志 @7AChip

普遍主義と特殊主義の概念的あいまいさ

2015-11-29 10:47:00
Keishi N 中村圭志 @7AChip

第一に、宗教家が普遍的人類救済を訴えても、その宗教に改宗した人としない人とを区別することになる。伝統的には、改宗しない人に対して迫害や圧力を加えることが多かった。これは場合によっては、自民族しか眼中にない「民族宗教」よりも排他的であり、特殊を普遍といいつくろっての押し付けだった。

2015-11-29 10:47:13
Keishi N 中村圭志 @7AChip

他方、普遍的人類救済を訴えない「民族宗教」の人が、他の「民族」をみな地獄の輩と考えてきたわけではない。自分たちには自分たちのやり方があり、お宅様にはお宅様のやり方があるでしょう、という解釈もありえる。日本には日本教とか神道とかが、アメリカにはアメリカ市民宗教がある、みたいな。

2015-11-29 10:47:31
Keishi N 中村圭志 @7AChip

アメリカの福音主義的な保守的教会などは、かなりアグレッシブな意味での民族宗教の様相を呈している。アメリカ神道を世界に押し付けようとしているのだから。当人たちの建前が「普遍的救済」だとしても、何のことはない、アメリカ流儀が唯一無二だと信じているだけの特殊主義的「民族宗教」だろう。

2015-11-29 10:47:47
Keishi N 中村圭志 @7AChip

以上の問題は、保守的福音主義に限った問題ではない。西洋の普遍性の問題一般に通ずる。

2015-11-29 10:48:17
Keishi N 中村圭志 @7AChip

だから世界宗教か民族宗教かという二分法は( )つきでしか用いることはできない。普遍か特殊かというのは、文脈や条件によって意味が変わる。かなりややこしい留保をつけないと使えない言葉なのだ。

2015-11-29 10:48:32
Keishi N 中村圭志 @7AChip

増澤智子先生はこんなことをおっしゃっていた。『世界宗教の発明』のアイデアの源泉のひとつは、昔のある本に、キリスト教は「ユニークに普遍的だ」と書いてあるのを見てとてもおもしろく思ったのだと。……特殊に普遍的というレトリックが通用してしまう世界とはいったい何なのか?

2015-11-29 10:48:49
Keishi N 中村圭志 @7AChip

増澤智子先生はこんなことをおっしゃっていた。『世界宗教の発明』のアイデアの源泉のひとつは、昔のある本に、キリスト教は「ユニークに普遍的だ」と書いてあるのを見てとてもおもしろく思ったのだと。……特殊に普遍的というレトリックが通用してしまう世界とはいったい何なのか?

2015-11-29 10:48:49
Keishi N 中村圭志 @7AChip

宗教というのは歴史上のさまざまな知恵と悪徳の集合体のようなものですが、だからこそ宗教を学ぶのは大事でしょう。atheistの言うように宗教を廃してしまうと、人類はまたゼロから無数の宗教的悪徳を繰り返すことになる。失敗のアーカイブズとして宗教的蓄積は重要なのだと思います。

2015-11-29 16:54:55
Keishi N 中村圭志 @7AChip

宗教というのは歴史上のさまざまな知恵と悪徳の集合体のようなものですが、だからこそ宗教を学ぶのは大事でしょう。atheistの言うように宗教を廃してしまうと、人類はまたゼロから無数の宗教的悪徳を繰り返すことになる。失敗のアーカイブズとして宗教的蓄積は重要なのだと思います。

2015-11-29 16:54:55