ASD(アスペルガー、自閉症)の人のコミュニケーション困難についての考察~アナログゲームやヴィゴツキーの知見を交えて~
- gameryouiku
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また、インストの話にもどれば、ゲームの各々のルールやコンポーネントの個々の関係性を体系的に把握していないとないと、たとえ個々のルールやコンポーネントの意味は理解していたとしても、何を説明し何を説明しないで良いのかわからず、まともなインストができなくなってしまう。
2015-12-09 20:13:38このことを活かして、例えば自分がよく知るゲームを、5分・3分・1分でそれぞれインストさせる、というのは概念的思考を発達させる練習になるかもしれない。
2015-12-09 20:14:08@gameryouiku こんばんは。TRPGサークルを主宰している成人発達障害当事者(ASD)です。一連のツイート興味深く拝見しました。 概念的思考について学んだことはありませんが、日頃から感じていることと重なる部分が多くあり、少々長くなりますがツイートさせてください。
2015-12-09 21:42:50TRPGはコミュニケーションのゲームですが、遊戯中だけでなく待ち合わせやどのルールを採用するかという時点からやりとりは始まっています。その中で私が発達障害とされる方(診断書を拝見したわけではないので)数人と接して感じた共通点が二つあります。見通しの鈍さと、本質の捉え損ねです。 1
2015-12-09 21:43:49よく我々は空気が読めないと言われますが、この場合の空気とは実際は状況のことではないかと考えています。コミュニケーションにおいては、こういう言動をしたらこうなる、という見通し、また、相手が何を求めてその言動をしているのかという本質の理解が極端に弱いことがしばしば見受けられます。 2
2015-12-09 21:44:31これは我々が失敗をしたとき特に顕著で、目の前の炎上に注意を奪われてリカバリが難しくなります。トラブルの相手だけでなく、傍観している周囲にも嫌な気持ちを与えていることが把握できません。周囲の感情に訴えかけて同情を集めることもできません(その行為に反感すら抱いています)。 3
2015-12-09 21:44:57「声を上げた相手だけが怒っている」「謝ればいい」という教条的な理解しかしていない側面もあります。その結果「謝ったんだから許さない向こうが悪い」、逆に「何をしても許されないんだから自分がとにかく悪い」という0か100かの結論に至りがちです。これでは問題解決どころではありません。 4
2015-12-09 21:45:15自分がどう振る舞えば希望を通すことができるか、相手がその言動をしている理由は何か、健常者がどのようにそれらを処理しているかはわかりませんが、条件を多数、複雑に設定し現実をそれに当てはめることで対処することは可能です。しかし、この条件が間違っている当事者も多いように思われます。 5
2015-12-09 21:45:32人狼を例に出しますと、私の接した当事者の中には一度の欺きでその後ずっと「AさんがBさんを村人だと言ったということはAさんは偽占の狼に違いない」と結論づけている人が存在し、私もそのうちの一人でした。ゲームであれば本人も違和感に気づけますが、現実の会話の上ではそれが難しいのです。 6
2015-12-09 21:46:08これは「疑う」ということが真の意味では身についていないためかもしれないと思っていましたが、実はここに概念的思考の有無(強度)が関わってくるとしたらどうでしょうか。 もしくは条件付けの網の目が大きすぎるのかもしれません。私に関しては網の目を常に修正することで生き延びていますが。 7
2015-12-09 21:46:18インストにおいても「これはもう言った、これはあれを説明してからのほうがいい」という構築力(伝えたい言葉の「仮置き棚」)、相手の経験や相づちから測れる理解度に応じ説明の順序や強調を変えるという算段を駆使します。ここでまた見通し力や相手の反応から気分を推し量る力が要求されます。 8
2015-12-09 21:46:58自閉ですと、本人がどれだけコミュニケーションを望んでいるかという問題(失敗経験ばかり積み重なって心が折れる、そもそものモチベーションの問題など)もあるでしょう。 条件付けは所詮具象的な手段に過ぎず、抽象を操れない困難さがここにあると思います。 10 (長々とありがとうございました
2015-12-09 21:48:22昨日は、ゲーム会での実感を伴ったご報告ありがとうございました。わたしも成人当事者の方にむけてゲームをする機会は多く、目にするコミュニケーション困難について同じような印象を受けています。@as_wwwit
2015-12-10 12:32:56.@as_wwwit さんのツイートを受けて、相手の気持ちや場の空気が読めないということを概念的思考との関係でどう説明していくかについて考えました。以下続いていきます。
2015-12-10 12:38:04特に私が注目したのはここです。発達障害のある人のコミュニケーションは、相手や場との関係が全く取れないというわけではなく、また関心がないというわけでもありません。関係の結び方が、非常に単純かつ固定的である点に困難さがあると見ています。twitter.com/as_wwwit/statu…
2015-12-10 12:43:05ここで再びヴィゴツキーを引きますが、彼は概念(とその内容を構成する言語)を「意義」と「意味」という2つの種類に分けています。「意義」とは「定義」に近く、誰がみてもどんな場合でも内容が変わらない概念です。 「意味」というのは、使われる場面や相手によってその内容が 変化する概念です。
2015-12-10 12:48:37ここで言及されている「教条的」ということが、マナーという、場面によって解釈が変わる「意味」を、いかなる場合でも内容が変わらない「意義」として受け止めてしまった結果、齟齬が生じた典型的なケースだと思います。twitter.com/as_wwwit/statu…
2015-12-10 12:53:03ASDの人は「暗黙のルール」を理解できないと言いますが、そもそもなぜ「暗黙」なのでしょうか。私が考えるにそれは前後の文脈によって意味内容が変化するため端的に記述不可能なルールだからです。
2015-12-10 12:59:00明示されたルールは、数字に例えれば1,2,3と言った実数であるのに対し、暗黙のルールは、x,y,zと言った代数に当たる。後者は、数字が代入される(前後の文脈が確定する)ことで初めて 機能する。こう考えてみるとどうでしょうか。
2015-12-10 13:03:55明示されたルール(一般にいわれるところのルール)というのは、例えば「時計回りで順番にプレイしていきます。」ということで、どんな状況でも誰に取っても内容が変わらないルールのことです。
2015-12-10 17:34:21他方、暗黙のルール(一般に言うところのマナー)は前後の文脈や適応する相手の立場によってその内容が変化してしまうため、事前にその内容を明確に規定できないルールです。
2015-12-10 17:55:24後者について補足します。ゲームで失敗した人にある人が「お前バッカだなぁ!」と言って肩を叩いたとします。この行為は、同じメンバーが集う何度目かのゲーム会で、年齢が近い同性の人に対して、明るい声のトーンの言ったならば、暗黙のルールに反したことにはなりません。
2015-12-10 17:57:13しかし、初対面同士のゲーム会で、年配の男性が若い女性に対して、苛立たしそうに「バッカだなぁ!」いいながら肩を叩いたらどうでしょう。一発で退場させられるのではないでしょうか。
2015-12-10 18:00:53このように外観としては同じ行為でも、その場の状況や、行為した人と行為を受けた相手の関係、あるいは声のトーンといった行為自体の微妙なニュアンスのちがいにより、意味する内容が全く変わってしまう。これが「暗黙のルール」の本質でしょう。
2015-12-10 18:06:15これを防ぐために、「異性の体を叩いてはならない」というルールを明示しても、本質的な解決にならないことは明らかです。異性の体を叩く以外のトラブルが起こることは目に見えています。
2015-12-10 18:17:12