チェルノブイリ事故後のベラルーシの甲状腺癌データを読み直す

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nao @parasite2006

(続き)さらに、この図pic.twitter.com/3xe2EDcTpY で2001年のベラルーシで15-18歳の子供に83例の甲状腺癌が診断され、その結果人口10万人あたりの発生率が18.3。この時のベラルーシの5-18歳の子供の数は10万人x83/18.3=45.3万人

2015-12-12 00:43:52
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5-18歳→15-18歳

nao @parasite2006

ちなみに1993年、1996年、2001年のベラルーシの総人口はそれぞれ10,21600人、10,126,000人、9,891,000人。世界の人口ピラミッドbit.ly/QwDSI4 というサイトで日本語表示(ja)を選び、国名リストをクリックした後年を指定

2015-12-12 00:49:33

サイト「世界の人口ピラミッド」によれば、ベラルーシの総人口は1990年(旧ソ連崩壊の前の年)の10,231,000人を頂点として緩やかに減少し続けています。1995年からベラルーシにお住まいの日本人の方のブログ「ベラルーシの部屋」の記事「ベラルーシの人口(2009年度)」http://bit.ly/1IaVyb4 によれば、人口が増えない理由はいろいろあるようです。主なものをあげますと
医療水準の低さ
経済状況がよくないので少子化傾向、国外への出稼ぎ
旧ソ連崩壊後ユダヤ系、ロシア系の住民が国外に流出
政治的経済的亡命(旧ソ連崩壊前から親ソ独裁政権が継続)

nao @parasite2006

ここでチェルノブイリ事故後のベラルーシでの甲状腺スクリーニングでどのくらいの人数を調べたか見てみましょうpic.twitter.com/l8cILRyDcX たとえば笹川プロジェクトは事故時0-10歳の子供をゴメリで13868人、モギリョフで19790人、合計33658人調べましたが、

2015-12-12 01:11:08
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nao @parasite2006

一方1996年=第1次笹川プロジェクト最終年のゴメリ州の14歳以下の子供の数の推定値は35.7万人twitter.com/parasite2006/s… 10歳以下の子供の数をこの10/14=5/7とすると約25万人

2015-12-12 01:20:53
nao @parasite2006

(続き)同じく、この図pic.twitter.com/3xe2EDcTpY で1996年のゴメリ州で14歳以下の子供に45例の甲状腺癌が診断され、その結果人口10万人あたりの発生率が12.6。この時のゴメリ州の14歳以下の子供の数は10万人x45/12.6=35.7万人(続く)

2015-12-12 00:40:34
nao @parasite2006

まあざっと概算しただけでも、チェルノブイリ事故後のベラルーシの甲状腺スクリーニングの受診率が福島の甲状腺検査の1巡目の受診率(平成23-25年度の平均値81.7%)bit.ly/1RzoSs3 とは比べ物になりそうもないことはわかりました。

2015-12-12 01:37:58

以上の計算をやってみて、少なくとも20世紀中に関する限り、甲状腺スクリーニングを受けることができたベラルーシの子供の数は該当する年齢のその地域(州、郡、町)の子供全体の数の1桁下が関の山ではないかという感じを受けました(21世紀に入ってからは現在に至るまで、移動検診車に超音波検査装置を積んで細胞診まで現場でやってしまう巡回検診が行われているようではありますが)。スクリーニングの受診率の違いを棚に上げて「福島の子供の甲状腺癌の発生率はチェルノブイリよりひどい」と言ってもねえ・・・

@aizujin_k さんも検討して下さいました

T.K. fukushimaタグ付けよう @aizujin_k

チェルノブイリ事故後生まれに甲状腺ガンが少ないことを根拠にするけれど、もしベラルーシやウクライナで事故後出生の未成年者対象に福島県と同精度の甲状腺検査をして、同じような結果がでてしまったら、今度はセシウムがストロンチウムが、が、が、と騒ぐだろうと想像がついてしまうところがなんとも

2015-12-11 09:16:50
T.K. fukushimaタグ付けよう @aizujin_k

事故後生まれの甲状腺ガン頻度は以前に戻ったから事故の影響であると、始めは素直に信じていたのだけれど、根拠とされる1998-2000の調査結果photozou.jp/photo/photo_on…を良くみると、素人ながら眉に唾つけたくなる点もある。

2015-12-11 09:52:15

この表は下の論文に出ています(残念ながら有料)。
Y. Shibata, S. Yamashita, V. B. Masyakin, G. D. Panasyuk, and S. Nagataki, "15 years after Chernobyl: new evidence of thyroid cancer," Lancet 358 (2001) 1965
http://www.lancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(01)06971-9/abstract

確かにこの論文だけだと1998-2000年、すなわち事故から12年後-14年後の3年間しか観察していませんから、この情報だけから「事故後生まれの子供からは甲状腺癌は発生していない」と結論するのはちょっと時期尚早だったと言えます。また事故の26年後の2012年まで追跡調査した結果、確かに事故後生まれの世代では子供の甲状腺癌の発生件数は減っているものの自然発生分があるためゼロにはなっていないことがわかります。
そもそも3つのグループのうち追跡した2年間に甲状腺癌の発生がゼロだった1987年1月-1989年12月31日生まれの子供のグループは、男4826名、女4646名、合計9472名しかいません。ベラルーシの14歳以下の子供の甲状腺癌発生率は1995年のピーク時ですら10万人あたり4人程度、ゴメリ州の最大値といっても1996年の10万人あたり12.6人なのに、1万人に届かない人数を調べたところで1人も患者が検出されないのは道理です。

上の論文以外にも、チェルノブイリ事故後に生まれたベラルーシの子供の甲状腺癌発生率を調べた論文がもう1件あります。
Demidchik YE, Saenko VA, Yamashita S. Childhood thyroid cancer in Belarus, Russia, and Ukraine after Chernobyl and at present. Arq Bras Endocrinol Metabol. 2007 Jul;51(5):748-62.
http://www.scielo.br/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S0004-27302007000500012&lng=en&nrm=iso&tlng=en

こちらは必ずしも事故後生まれとは限らない子供の超音波検診結果です。
Ito M, Yamashita S, Ashizawa K, Namba H, Hoshi M, Shibata Y, Sekine I, Nagataki S, Shigematsu I.. Childhood thyroid diseases around Chernobyl evaluated by ultrasound examination and fine needle aspiration cytology. Thyroid. 1995 Oct;5(5):365-8.
http://online.liebertpub.com/doi/abs/10.1089/thy.1995.5.365

調べた子供の数はDimidchikら(2002年、最も汚染がひどかったゴメリ州での調査。検査時年齢14歳以下すなわち1987年以降生まれ)が25445名、Itoら(1993-1994年、ゴメリ州の北隣のモギリョフ州での調査。調査時年齢7-18歳、笹川プロジェクトによる超音波検診)が12285名でどちらも10万人あたり4名の発生を検出するには十分な数ではありません。
なお、2002年のベラルーシの癌統計による年齢14歳以下の甲状腺癌の新規発生は全国レベルでもわずか9件(目分量)まで下がっています。

T.K. fukushimaタグ付けよう @aizujin_k

もちろん、ゴメリ州の場合子供でも福島県とは桁違いの大量被曝をした一部地域があることは確実でそこにまで甲状腺ガンの発生との相関が無かったと強弁するつもりは無い。だけど1988-2000の調査対象は事故後の子供の場合13歳まで。一方事故以前出生の子供は12歳以上になっているわけで

2015-12-11 09:57:28
T.K. fukushimaタグ付けよう @aizujin_k

訂正:1988-2000⇒1998-2000の誤りでした。m(- -)m

2015-12-11 10:42:48
酋長仮免厨 @kazooooya

@aizujin_k 眉唾の部分が何を指してるのかよく分からないけど、naoさんがツイートしてますよ。

2015-12-11 13:56:00
T.K. fukushimaタグ付けよう @aizujin_k

@kazooooya naoさんが具体的に指摘されているようなことです。あと、事故後しばらくして生まれた世代を対象とした検査が、規模や精度、検査の継続など、事故世代のそれと同程度なのか?とかなり勘繰ってます。そちらももう成人ですから、そこまで継続した結果なら信用しますが。

2015-12-11 16:03:45
T.K. fukushimaタグ付けよう @aizujin_k

@kazooooya もっとも、ベラルーシの若い人にだって余計な検査をするもんじゃないと思いますし。

2015-12-11 16:04:39
酋長仮免厨 @kazooooya

@aizujin_k う~ん、もっと分からんくなった…(>_<) このツイ(twitter.com/aizujin_k/stat…)で言ってる論文は山下俊一氏らが調査したものなんだけど、同じ検査時年齢で比較しなくちゃ、という意味なら分かる。調査機関が3年ではなくもっと長ければ比較可能だね

2015-12-11 17:20:32

検査機関→検査期間

T.K. fukushimaタグ付けよう @aizujin_k

@kazooooya すみませんm(- -)m. 事故後世代の子供→思春期→成人までの検査結果の推移があれば比較の意味はあるだろうと思ったのです。1998-2000の調査はどちら世代にも同質で行われたでしょうけれど、その後事故後世代の受診率がキープできていたのかもわかりませんし。

2015-12-11 18:32:21
T.K. fukushimaタグ付けよう @aizujin_k

あとは、@kazooooya さんが指摘されたように、事故世代の検診もエコーの導入、大規模調査の開始、移動検診車による穿刺吸引細胞診といった条件の推移に結果は左右されているように見えますが、事故後世代にも穿刺吸引細胞診とか積極的にやったんでしょうかね。疑り深いおばさんなんで。

2015-12-11 18:38:10
酋長仮免厨 @kazooooya

@aizujin_k このまとめ(togetter.com/li/894151)と講演動画は観てると思うけど、ブレスト州のある村では集団受診率も高いし積極的に掘り起こしている可能性が高いから、ゴメル州など汚染度合が高い他の州との違いが無くなってきていると思いますね。(続

2015-12-11 21:36:31
まとめ ベラルーシ、ブレスト州の甲状腺癌調査をめぐって 忘備録としてまとめました。 ブレスト州はベラルーシの南西部で、ウクライナの北隣にあり、ベラルーシとウクライナの国境添いに東西に広がるチェルノブイリ事故後の汚染が最も激しい地域の西の端にあたります。ここはベラルーシ国内でこどもの甲状腺癌の発生が2番目に高かった所です。 4442 pv 29 1 user
酋長仮免厨 @kazooooya

@aizujin_k バイアスを排除するために様々な条件を揃えて長期的な大規模調査を実施するのは県民健康調査が初めてなんじゃないのかな?その傾向は、最近公開されたこの甲状腺検査間隔の統一でもみてとれると思う。→ j.mp/1lvSBrL

2015-12-11 21:40:44

(↑福島県の甲状腺検査の場合、25歳の検査までは検査間隔が5年以上空くことが絶対ないよう、すなわち25歳になるまでに最後に受ける検査時の年齢がどの年に生まれた人も21-23歳になるように検査スケジュールが組まれているのです↓)

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