歴史研究における理論とその脱領域性――学問と人生?
しているかといったら、そうではないと思うのです。おそらく、そこで問題となっているのは、これまで注目されていなかったどういう史料を用いているのか、どういう観点で分析しているのかといった問題だけではなく、さらにはより説得力を持って議論を示すために援用されているナラティブの「型」
2010-03-10 21:40:49だったり、アーギュメントを印象的に導出するための技法だったりを含むと思うのです。具体的に言えばパークが、おそらく「世俗化」ということで済まされてきたものを the shift from wonder-working objects to anatomical evidence
2010-03-10 21:44:31という形でアーギュメントを残すことによって、中世の女性神秘主義者を語る歴史学的言説と近代科学の「証拠」や「実験」について言われてきたものが一つの地平で語られるという興味深いことを主張できていると思うのです。それが「世俗化しました」だけでは、やはり説得力がない。
2010-03-10 21:47:01「史料中心の歴史学の手法」が重要だということは何度も強調した上でも、それでもなお「原始的で職人的なのは自明」とか言われると、「照明も冷暖房もない部屋」に通されて「造りは丈夫だから、地震に耐えれば良いでしょ」みたいな感じで強要されている気が少なくとも私はします。
2010-03-10 21:57:17GJ。 RT @t_ohnuki: @adamtakahashi 自分も含め、フォロワーの方にとっても有益だったのではと思います。すごくうなずかせる内容で勉強になりました。
2010-03-10 22:18:33「史学雑誌」の「回顧と展望」でもベテランの先生方が、実証一辺倒の若手を憂うみたいな記事が出てきますし、上の世代の方にはそういう人が結構いるような気はします。
2010-03-11 00:07:15ただ若手で、実証を軽視する人はほとんどいないと思います。哲学や文学でやっていくならともかく、歴史理論だけの論文は歴史学の査読誌に論文が載らないので、そもそも研究者として生き残れないだろうと思います。そのため、t_ohnukiさんの心配は杞憂なのではないかと思います。
2010-03-11 00:12:03@adamtakahashi 私が「歴史理論」と言うときは、「歴史と理論」が扱う範囲に加えて、歴史現象を説明するとき用いる概念やモデルも含んで使っていたように思います。振り返ると用語の使い方が曖昧であったような気はします。混乱させてしまったようで、申し訳ありません。
2010-03-11 01:04:10理論(と方法)の歴史に関する議論が必要だ、というまとめでいいですか? RT @adamtakahashi: * それだと「理論」というものを、とても強固でかつ邪悪なものに仕立て上げすぎている気が * QT: @nasastar *この二十年はポストモダンや言語論的転回との格闘*
2010-03-11 14:44:41ただ『イギリス哲学研究』とか『社会思想史研究』といった脱領域の学会誌には、もうちょっと史学思想史の論文が掲載されてもいいのではないかと思う。字数制限も比較的多めだし、たっぷり書ける。 RT: @saisenreiha 歴史理論だけの論文は歴史学の査読誌に論文が載らない
2010-03-11 20:58:06『イギリス哲学・思想事典』にはイギリスの史学思想史に関する項目・人名も挙がっているのだけど、執筆者探しには苦労があった模様。脱領域思想史系の学会に、もうちょっと歴史学者も関わってくれるといいのになとときどき思う。報告とか論文が業績にならないってことはないだろうし。
2010-03-11 21:05:06激しく同意(特に元文学部史学科なので)RT @odg1967: 『イギリス哲学・思想事典』にはイギリスの史学思想史に関する項目・人名も挙がっているのだけど、執筆者探しには苦労があった模様。脱領域思想史系の学会に、もうちょっと歴史学者も関わってくれるといいのになとときどき思う。
2010-03-11 21:09:01そういえばカー『歴史とは何か』以後の40年を振り返ったキャナダイン『いま歴史とは何か』 http://bit.ly/a0WlV5 の邦訳も出てましたね。刊行時に話題になったので買ってはあるはずなのですが。
2010-03-11 21:43:07例えば中世に関して言えば「都市の空気は自由にする」という有名なテーゼがあります。中世都市を理解する上で、汎用度も高く一つの枠組みを与えてくれる。例えばこれを「理論」と理解した場合、
2010-03-11 21:54:07ここで言われている「自由」とはいったいどういう意味か、それは何を自由にしてくれるのか、あるいはしてくれないのか。
2010-03-11 21:56:01だからテーゼとか理論とか大くくりにする議論は注意が必要ですよ、と自分も含め歴史プロパーの人は常に自戒しているのではないでしょうか。
2010-03-11 21:59:13@adamtakahashi: @t_ohnuki もうちょっと理論の位置づけを明確にすべきではないかと思います。大きく分けると、一:史料分析(解読)に関する理論、二:事象の因果性や法則性についての理論(仮説)、三:人類の存亡に関わるような大理論。三はとりあえずどうでもいい。
2010-03-11 22:21:55