ギガベース日誌 ACT06「SEA OF BLOOD」 03

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すふん @suhn_Akvavit

「提督!提督!あのネクストは何なんだよ?!まさかアンタが乗ってんじゃないだろうな?」 「んなわけねーだろバカ。アレに乗ってるのは不知火だ」 大宮と共に出撃ハッチから艦橋へと向かうDfJは、殺到する味方からの通信の対応に追われていた。 #ギガベース日誌

2014-09-15 22:03:51
すふん @suhn_Akvavit

「提督殿!ミッドウェーを占領していた敵艦隊、ほぼ壊滅状態であります!たった今司令官と思わしき人型深海棲艦の口に大発突っ込んで歯ァガタガタ言わせてるであります!」 「いいぞあきつ丸。敵のネクストは気にしなくていい。加賀達にもそう伝えろ」 #ギガベース日誌

2014-09-15 22:08:33
すふん @suhn_Akvavit

「了解であります!」 あきつ丸との通信を終えると、DfJは廊下の床に倒れ込んだ。全身をコジマ粒子に汚染された彼にとって、ハッチへ突っ込んだ時の衝撃はかなり堪えるものがあった。 「提督!大丈夫ですか!」 #ギガベース日誌

2014-09-15 22:16:41
すふん @suhn_Akvavit

「大丈夫だ……大丈夫。それより、とっとと艦橋に行かねぇと。騒いでる隼鷹をなだめねえとな」 再び立ち上がり、歩き出すDfJ。大宮は彼の肩にしがみついていた。 「あの、提督。私が言うのも何なんですが」 「何だ。言ってみろ」 #ギガベース日誌

2014-09-15 22:21:37
すふん @suhn_Akvavit

「不知火さん、大丈夫なんでしょうか。かつてアスピナに所属していたとは言え、10年近いブランクに加え4対1とは……」 大宮の言う事は最もだった。だが、DfJはまるで心配した様子もなく、怒りと苛立ちのみを顔に浮かべる。 #ギガベース日誌

2014-09-15 22:24:54
すふん @suhn_Akvavit

「大丈夫も何も帰ったらゲンコツだ。あと、不知火を手伝ったトーラスの連中もただじゃおかねぇ。それにだ。もしお前が、不知火が生きて帰ってこれるかって心配してるなら……それは杞憂だ」 「は、はぁ……」 #ギガベース日誌

2014-09-15 22:27:41
すふん @suhn_Akvavit

頭に乗せた氷水が溢れないように押さえながら、提督はエレベーターへ駆け込んだ。 「アスピナで行われた俺と不知火のオーダーマッチ。成績は100戦53勝2分45敗だった」 「なんと」 「それだけじゃない」 #ギガベース日誌

2014-09-15 22:33:04
すふん @suhn_Akvavit

「主任がVRポートを開いてくれたおかげで、俺と不知火はいつでも対戦する事ができた。アスピナから指定された機体じゃない、自分が本当に得意な機体でな」 「主任が……?」 「俺はそこで、一回しか不知火に勝てなかった」 #ギガベース日誌

2014-09-15 22:36:06
すふん @suhn_Akvavit

大宮は驚きを隠せなかった。不知火のヘリ操縦技術が並外れたものだとは知っていたが、DfJの言葉はそんなものは不知火にとって二の次に過ぎないと突きつけるようであった。 「12年前の、あの日からずっとだ。あいつは、ずっと俺より強い」 #ギガベース日誌

2014-09-15 22:39:18
すふん @suhn_Akvavit

ギガベース後方の海上で、不知火は二機のネクストと対峙する。 武器一体型特殊腕を携えた敵ネクストは両機ともに近接戦特化レーダーとスラッグガンを背部に装備している。接近戦特化仕様である事はすぐに見てとれた。 #ギガベース日誌

2014-09-15 22:44:57
すふん @suhn_Akvavit

FCSが、不知火により近かった中量二脚型をロックした。不知火は両手のライフルを構え、射撃を開始する。 「撃ってきたわね。じゃあ、行くわよ。千代田」 「うん、さっさと片付けて、あのデカブツ沈めちゃおう」 #ギガベース日誌

2014-09-15 22:57:32
すふん @suhn_Akvavit

二機のネクスト、千歳のアグゼリュスと千代田のバチカルは一斉に加速する。二段クイックブーストで距離を積め、彼女達の得意とする距離に入った。 敵は依然としてライフルによる射撃を続けているが、致命傷になるようなものでもない。 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:05:50
すふん @suhn_Akvavit

まず千歳が千代田の前に躍り出て、不知火から千歳のロックを外す。すかさずマシンガンとスラッグガンを斉射し、PAを削りにかかった。 「……」 不知火は、慌てる事なく後方へ二段QBを連発。スラッグガンのみを避ける事を意識しながら距離を離す。 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:12:46
すふん @suhn_Akvavit

「千歳お姉。こいつ結構速いよ」 「多分、トーラス製のバックブースターでしょう。あの変態共、ギガベースと協力関係にあるって言うし」 「これが終わったら、本社を焼きに行こうか」 「そうね、提督に進言してみるわ」 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:15:31
すふん @suhn_Akvavit

千代田が不知火からの射撃を受け出したタイミングを狙って、千歳は機体のオーバードブーストを起動。言葉を必要としない、何百回と行ったシミュレーションを下地にした連携だ。 「4機相手に出てきた勇気は誉めてあげる。まずはその鼻っ柱からへし折ってやるとするわ」 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:19:19
すふん @suhn_Akvavit

急加速した千歳は、一気に不知火に追い付く。いくら不知火が馬鹿げた出力のバックブースターで二段QBを繰り返そうが、旧アクアビットの名を高めた超出力オーバードブースターは理不尽な速度で千歳の機体を押し上げる。 だが、不知火は動じない。 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:23:32
すふん @suhn_Akvavit

ネクストがオーバードブーストで加速する予備動作。機体の周囲に循環するコジマ粒子が後方に圧縮されるその一瞬で、不知火は右背部の双発のレーザーキャノンを起動した。自身にスラッグガンとショットガンが放たれると同時に、不知火もレーザーキャノンを放つ。 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:27:51
すふん @suhn_Akvavit

不知火の真横を、千歳の機体が通り過ぎる。レーザーキャノンは虚空を掠め、千歳が放った散弾は不知火のプライマルアーマーを装甲ごと大きく削っていた。 「ECM……」 不知火はクイックターンからQBを連発。被弾硬直を降りきり、二機をどうにか視界に収めた。 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:31:49
すふん @suhn_Akvavit

千歳の機体の肩に装備されたECM発生装置は煌々と輝き、機体の周囲に電子妨害区域を形成する。機体追従型の発生装置は効果は低いが確実性が高い。近距離でレーザーキャノンを発射したことが仇になり、FCSのロックに遅延を発生させた。 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:36:45
すふん @suhn_Akvavit

「千歳お姉。弱いねこいつ」 「そうね。谷風と日向は思いの外手こずってるみたいだし、さっさと壊してあっちの支援に向かいましょう」 千代田は再び前に躍り出る。 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:40:33
すふん @suhn_Akvavit

「……」 不知火は自機のAPを確認する。たった一撃で、30%近くが削り取られていた。 「よう不知火。調子はどうだ」 「提督……」 「Dでいい。それより、案外食らってるじゃないか」 「……大丈夫よ。それに、奴等の底は見えた」 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:45:19
すふん @suhn_Akvavit

「そうか。それより喜べよ。俺がオペレーターになってやる」 「やれるの?」 「昔教わったからな。誰にかは忘れちまったが」 「そう、なら……」 不知火はVTFミサイルのハッチを開き、千代田の機体を捕捉する。 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:49:33
すふん @suhn_Akvavit

「それほど頼もしい助けは無いわ」 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:51:07
すふん @suhn_Akvavit

日向の重量二脚機、ツァーカブの両手に握られたマシンガンが、雨霰のように降り注ぐコジマミサイルをなぎ払うように叩き落とす。 別方向から迫るPMミサイルは、谷風の重四脚機、キムラヌートが放ったフレアに誘導され海中に没した。 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:54:05
すふん @suhn_Akvavit

「化け物め。深海棲艦と72隻の大艦隊と交戦した後だってのに、何発のコジマミサイルを抱えてるんだ」 「フレアが尽きるのが先か味方が来るのが先か……ちくしょーめ」 このペースでコジマミサイルをばら蒔かれては、明らかにフレアが先に尽きる。谷風は悪態をついた。 #ギガベース日誌

2014-09-15 23:59:01