- suhn_Akvavit
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「来るなっ!来るなぁあああっ!!」 川内が放った砲撃は、虚しくプライマルアーマーに阻まれる。 三隻の軽巡は怯むこと無く、連携のとれた動きで川内を拘束した。 「うわっ、やっ、離せ!離せよっ!!誰か、誰か助けっ」 #ギガベース日誌
2014-09-23 21:48:19「タスケテアゲルヨ」 軽巡の一隻がそう囁き、川内の背中に主砲を突き付けた。 「いっ、やめっ、許してっ!嫌だっ!助けて!提督っ!神通っ!なかっ……」 「コワクナイヨ」 主砲が放たれ、川内の血肉が宙を舞う。 #ギガベース日誌
2014-09-23 21:52:06「あっ……や……」 砲弾は川内の胸部に大穴を開け、そこから大量の血と燃料が混ざりながら流れ落ちる。 そして、軽巡は黒い心臓のようなものを取り出し、その穴に無理矢理捩じ込んだ。 「キドウ」 #ギガベース日誌
2014-09-23 21:57:02その声と共に、川内は遅れてやって来た激痛に身を反らす。 しかし、川内の心を支配しているのは苦痛ではなく、その光景を見てしまった故の、恐怖だけだった。 「あ……アァ……」 #ギガベース日誌
2014-09-23 22:11:48川内の胸に空いた大穴が埋まり、血と燃料が止まる。 彼女の胸から、だんだんと肌が白く染まり、組み込まれた何かから大量の緑色の光が噴出する。 艤装は割れ、刺々しく変形し、彼女を抱き締めるように優しく包み込んでいく。 #ギガベース日誌
2014-09-23 22:16:00「ミン……ナ……?」 川内の目に赤い光が灯ると同時に、軽巡達は拘束を解除した。 それから、川内『だったもの』はゆっくりと立ち上がり、低く悲しげな声で喋り始める。 #ギガベース日誌
2014-09-23 22:20:03「提督!川内さんが!」 「あーもう、あと何隻残ってる?」 「14隻ですっ!ううっ……」 デューン・薙沢の秘書艦である鳥海は、涙を堪えながら必死にヘリを操縦する。 #ギガベース日誌
2014-09-23 22:27:32「いつまでもメソメソしてんなよ。摩耶ならまた造ってやるから」 「だって……!」 「だっても糞も以前に前見なよ。回り込まれてるよ」 ヘリの前方、三機の新型艦載機がその巨大な口を開け、行く手を阻むようにヘリへと突撃した。 #ギガベース日誌
2014-09-23 22:31:24艦載機はすれ違い様に一斉に機銃を放ち、ヘリのコックピットへ弾丸を叩き込む。 鳥海の血がコックピットのシートを染め、飛び散った脳が後部座席のデューンに降りかかった。 「言わんこっちゃないの。バカが」 #ギガベース日誌
2014-09-23 22:37:16鳥海の死体をドアから蹴落とし、デューンはコックピットに席を移す。 残りのミサイルとフレアを全てばら蒔き、艦載機を退けつつ、ある人物へと通信を繋いだ。 「出てくれよー。でないと僕死んじゃうよー?」 #ギガベース日誌
2014-09-23 22:40:09「はーいおはよう。元気かい?」 ひび割れたモニターに映し出されたのは、財団のロゴマークだった。 「元気だよ。さっき秘書艦に死なれたけど」 「へぇ。あの鳥海、君にしては珍しく随分可愛がってたよね」 #ギガベース日誌
2014-09-23 22:42:43「まー、色々とね。それよりも、コジマばら蒔いてるイカれた深海棲艦に襲われてるんだよ。このままじゃ無駄死にした艦娘の二の舞だ」 「僕にどうにかしろって?無茶言っちゃいけないよ」 「お前の計画とやらに付き合ってあげたじゃないか」 #ギガベース日誌
2014-09-23 22:45:14ヘリの後部にコジマミサイルが着弾。機体が大きく傾き、デューンは操縦幹にしがみついた。 「頼むよ。あんな面倒な依頼を引き受けてやったじゃないか。何でもするからさ。ね?」 「しょうがないなあ」 #ギガベース日誌
2014-09-23 22:48:34財団との通信が切断され、同時にヘリが大きく揺れた。 艦載機の爆撃でプロペラを破壊されたヘリは、真っ逆さまに海面へと落ちていく。 「あ、こりゃまずい」 #ギガベース日誌
2014-09-23 22:54:46「日向、悪い知らせと最悪な知らせと良い知らせ、どっちから聞きたい?」 「順番にっ!頼むっ!」 日向と谷風は追い詰められていた。 ギガベースから無尽蔵に放たれる弾幕。そして、たった一機のネクストを前に。 #ギガベース日誌
2014-09-23 23:15:31「まずな、フレアが切れた。コジミサは自力で避けてね」 「次はっ!」 「まぁ気づいてると思うけど、千歳と千代田が死んだ。あいつが殺りやがった」 「その次はっ!」 「喜びなよ。こっちの勝ちが確定した」 #ギガベース日誌
2014-09-23 23:24:27「不知火。一旦引け」 「……命令ならば。でも、何故?」 「敵の援軍だ。連中、総出でお出ましだぞ」 「全部で何機?」 「9機だ」 #ギガベース日誌
2014-09-23 23:31:327機のネクストが一斉に、オーバードブーストで作戦海域に突入する。 「こちらアドミラル。谷風、状況を報告しろ」 「こちら谷風。千歳と千代田が戦死。ギガベースから記録に無いネクストが出現したよ。それも、尋常じゃなく強いの」 #ギガベース日誌
2014-09-24 00:00:07「了解した。各機に通達。キムラヌート及びツァーカブは後退。それ以外はギガベース鎮守府『R.I.P.Ark/D』及び、不明ネクスト機を撃破せよ」 海上を駈けるネクスト達に、大量のコジマミサイルが降り注ぐ。それに対応し、両端のネクストが同時にフレアを撒いた。 #ギガベース日誌
2014-09-24 00:05:27「千歳達の敵討ちをしなくっちゃね」 「この数なら負けは無い。一方的かつ、迅速に終わらせる」 「へ、へへへ、う、撃つ、撃つよ!撃つよ!見てて飛龍!千歳!千代田!撃って勝つよ!あは、あひっ、へはひゃひゃははは!」 #ギガベース日誌
2014-09-24 00:08:10ギガベース鎮守府の後部には不知火の駆るネクストが待機する。FG部隊は一斉に不知火を捕捉し、散開する。 「何処の誰だか知らないけど、運が悪かったね」 「鳥葬して差し上げます」 「ほう。不知火を鳥葬すると?」 #ギガベース日誌
2014-09-24 00:14:55不知火はオープンチャンネルでFG部隊に語りかける。その口調に一切の焦りは無い。 「通信が漏れてる……?」 「陽炎、今の聞いたか」 「……向こうも私達の同類って訳ね」 不知火は更に続ける。 #ギガベース日誌
2014-09-24 00:18:22「同類?一緒にされたくないものですね。艦娘としてもリンクスとしても。あの二機の実力を見た限りでは」 「こいつ……」 「そっちが鳥葬と言うなれば、こちらはターキーショットでも始めましょうか」 #ギガベース日誌
2014-09-24 00:20:49