絵がうまくなりたい話について、ちょっと哲学的な話/まとめなおし

Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

niza.nobody.jp/e.html - 「『絵がうまくなりたい』と思った方への思考試験、概念の明確化、【見描想】のススメ」＞昔から考えてきた「絵の上達法」の話、およそ6～7年前にこれの大本があってそれを改めつつまとめなおした話。よく言われる「とにかく描け」とかの本質。

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まずそもそも【絵がうまい】って言葉自体は一切の具体性の無い漠然とした表現だということを改めて認識しないといけない。その辺りの評価は人によって大きく変わってくる事が多く、技術的な巧妙さよりも『魅力を感じるかどうか』が非常に重要であり、技術はそれを描き出すための手段に過ぎない。

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魅力の面・技術の面総括しても絵の上達の話は「見る・描く・想う」の三原則でまとめられる。絵を描くという行動自体は解剖すれば「ものを見て」「腕でペンを動かして描く」だけでしかないし、想像したものを描くのも工程に「頭の中で考えて」が付け加えられるだけ、やってる事はそれだけでしかない。

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じゃあなんで絵をうまく描くことが万人にできないのかって言えば、そりゃ人体は最初から自由自在に動くようにはできていないし脳も基本的に視覚情報を細密詳細に認識するようにできていないから。「思い通りにペンを動かせるようになるための練習」と「詳細に認識できるよう観察の練習」の必要がある。

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「描くものをしっかり見てないと間違って絵描くし、描いたものを見直さなければ間違えた部分を見直せない。だから描くものを、形を色を全体を細部を、詳細にも漠然にも、とにかく見る意識をつけろ。描いたものも良く見なおせ どこが良いのか、どこだダメなのか、しっかりと認識できるようになれ。」

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「自由自在な思い通りの線や色が描けないなら思い通りの絵を描けるわけがない。人体は最初から思い通りには動かない。歩くことのような多くの人が当然としてできることでも赤子の時は誰もができないように、訓練を重ねなければ腕は思い通りに動かないしペンは思い通りに動かせない。だからよく描け。」

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まあここまでがよくある練習法の基本。もう一つ重要な点として「頭自体を、絵を描くのに適した状態にする」こと、一番良いのは絵を描く事自体を好きになること。そうでなくても好きだと思い込んで楽しむ、絵を描かない理由は考えず何を描きたいのかだけを考え、絵を描くことに意識を向けること。

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「何も考えずに何も意識せずに続けられるわけがない。そもそも何を表現したいのか、何を描いてみたいのか、どう描いてみたいのか。何が好きなのか、何を良いと思うのか、描きたいものをどんどん描いていけ。それらを考えなければ描く理由も描く題材も描く衝動も何も生まれてこない。だから絵を想え。」

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「とにかく描け」みたいな話の中身、意図は大体こんなもん。根本的に、大前提として、【 そうした「見る・描く・想う」をしないでできるわけがないだろ 】って話。色んな話や練習法があるけれどもその中身結局「見る・描く・想う」に集約できるし、それらが足りなければ上達することなんて無い。

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ただソレをしたくないって人はそもそも「絵が描きたいのか？」って話。絵を描く自体は質さえ問わなければ誰でもできる。「難しいこと無しでうまい絵が描きたい」ってのは実際は『自分の好きな絵が見たい』とか『絵がうまいという勲章が欲しい』だけで実際は「絵を描く行為なんてどうでもいい」のよ。

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地道な練習をしたくないのに絵がうまくなりたい人がもしも万が一奇跡かなんかで何でも描ける「ぼくのかんがえたさいきょうの絵描き」になれたとしてもろくな作品を作れないとすら言える。ちゃんとした絵を描くことも結局練習の延長でそれを楽しめない人には【 地獄のようにつまらない作業 】だから。

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「しっかりと作品を作る人は一枚に数日単位～数週間単位で時間をかける。間に休憩を挟んでも描いているときはほぼずっと頭と手を働かせてキャンバスと睨めっこ。そこにはゲームのように分かりやすい勝ち負けやクリアも褒美もサプライズもないし、分かりやすく面白い所も感動する所も用意されてない。＞

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＞ただただキャンバスと自分の感覚に向き合って少しずつ少しずつ描き進めていかなければならない。それも何時間何十時間、あるいは何百時間という単位で。ずーっと向き合い続けている姿はもはや狂人だ。『絵を上手に描けたら楽しいだろうな』は逆で『絵を楽しめなければ上手くなるのが難しい』のだ。」

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奇跡とか魔法とか超常現象とか神秘とかそういうんじゃなく、ただただ現実的な積み重ねの上にのみ【絵】ってのが出来上がる。素晴らしい絵も『気の遠くなるような微細なものの積み重ね』でしかなく、それらを「才能」の一言で片付けようものなら「最低の侮辱」にすら思える。狂気じみているけれども。

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まあ結局描きたいなら好きなように描いていればいいし、描きたくないなら描かなければいい。絵がうまくなりたいってんならまず「絵を描くことをすきになること」から始めないと辛いし、指導者としてなら「絵を描くことを好きにさせないといけない」。 「好き」も一つの努力。

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私が絵がうまくならない理由は、こうして変なことを色々とグチグチと考えて文章にするほうが性に合っていて、絵を描くのが死ぬほど好きというわけではないから。でもどんな御大層な立派な考え方をしたところで、実践が伴わなきゃ上達しようがないし、偉くもなんともない。変なこと考えず絵を描きたい。

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一応技術的な話を。「絵を描く練習」には大きく３つの段階がある。よく言われる「デッサン」や「模写」も能力に応じてその段階ごとの意味がある。まず最初は「線を描けるようにする・ペンを動かせるようにする。物をしっかり見るようにする・描いたものをしっかり見るようにする。」初歩中の初歩。

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ペンを動かすこと・物や絵を見ることを覚えてきたら次「色んな物を見て描いて物の形やその描き方を覚えていく。」基礎の段階。いわゆる「絵の練習」はこの段階を想定していることが多いが、初歩の段階でつまづいている人にはこの段階すら遠すぎる世界だし、それに練習でもこの段階よりさらに上がある。

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見ること描くことに不得手が無くなってきてももう一歩踏み込む。「描画や表現を考えて扱う」応用の段階。ただ「見て描く」だけではなく、何を描くのか・どう描くのか・どうやって描くのかなどを考える世界。初歩の頃から練習できなくもないけれど、基礎を過ぎても練習の必要が依然としてある領域。

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いわゆる絵のうまい人が「絵がうまくなりたい」って言ってるのは大抵この応用段階でさらなる技術を身につけたいという意図。ただそこも結局は「色んな作品を見たりして考えて描いてみて技術を身につけていく」ことになる。 奥は底知れないし幅は果てしない、確固たる正解も無ければ終わりもない。

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ただやっぱり「そもそも思い通りにペンを動かして線を描くことすらままならない・物の形をしっかり見ることもできない・絵を見直すこともしない」なんて初心者は、まず線や色をある程度意図して描くこと・ものや絵をしっかりと見ることを意識して練習しないと何も始まらない。結局「とにかく描け」。