研究不正を告発した教授らを岡山大学が解雇処分に

いろいろ要素があってややこしい問題ですが、とりあえず概要は把握できると思います。 なお論文不正の部分については、別のまとめを作りました。 「岡山大学の論文不正問題についての整理」(http://togetter.com/li/928767)
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専業主夫_M @M_shufood

岡山大学の件だが,不正を見つけて告白した人がなぜか解雇された,という理解でいいのかな。

2016-01-09 22:35:16
大' @satodainu

岡山大学の件、ドラマとかで出てきたら「いやいや、ないからそれ」って突っ込むくらいひどい話だけど、報道もほとんど無ければ関連ツイートも少ない。 捏造論文を信じて発表しちゃった!なんて話とは比べ物にならないほど悪質で異常な状況なのに、どうしてこんなに静かなのか不思議だ。

2016-01-09 22:39:48
ゑぶ@🇰🇷福島風評対策 @webroomy

岡山大学の研究不正の件、外野で騒いでいる人たちの論理も分からんでもないけど、そんなんで大学が命運をかけるかね。外野からだと見えないことは多い。もし例えば、内部告発されたから解雇したのではなくて、逆に、解雇しようとしたら内部告発をでっち上げられたとしたら…。

2016-01-10 00:04:34
片瀬久美子🍀 @kumikokatase

ちょっとだけデータを誤魔化したくらいの些細なものを、森山教授らが大げさに告発したのではないんです。。。

2016-01-10 00:58:02
片瀬久美子🍀 @kumikokatase

ヒントは論文9: 告発者を無理やり解雇してまで、大学が何を守りたいのかを考えてみて下さい。キーワードはREIC

2016-01-10 01:05:27
HAL @hal_hal8999a

岡山大学の一件は多分大事になるだろう。 結局、何かやらかした側が早々に「すいません」と撤収すればいいものを権力使ったりして罪を認めないからこうなる。 「自分の責任を認めると死んでしまう症候群」の方たちとか多いよね。 結局自分がやりたいことを反故にするのになあ、と哀れに思うが。

2016-01-10 01:16:09
FUKUSIMA,Yukihiro @archivist_kyoto

“解雇の事実、その理由等が一切示されていない(「岡山大学の決定として…両教授がご退職された」という異様な表現らしい)” / “岡山大学による報告「研究活動に係る不正行為に関する調査結果について」に関する意見” htn.to/n12zwg #大学 #岡山

2016-01-10 05:56:49
あさまど|個人ゲーム制作 @asamado_tw

岡山大学だけが異常なのか、全国の大学がそうなっちゃってるのか、そこが気になる。

2016-01-10 08:44:01
hiroharu.minami @hiroharu_minami

岡山大学の件、社会部がおかしな取り上げ方をするより先に、科学記者が調査・報道を行える様であって欲しいけどなあ。

2016-01-10 09:04:09
石田一裕 @lokottara

岡山大学での一連の騒動、その末の教授解雇は深刻だ。 ズルしてお薬の効果があるという結果を出したみたいだが… 論文の結果が間違ってたら一番被害被るのは患者なのではなかろうか。 そしたら問題として学内でおさまらないなぁ。

2016-01-10 09:16:26
uhea @uhea

岡山大学の問題、STAP問題より悪質なのは研究の内側にいる(いた)人には明らかなんだが、外側の人にはわかりにくいのかなあ。

2016-01-10 09:47:09
discoder_x @discoder_x

岡山大学での「研究不正告発」-「報復的解雇」問題について、門外漢にとってよく分からないのは、告発された「不正」がどういう態様、レベルのもので、それがどの程度異例なものなのかという点。それによって事件全体の印象はずいぶん違ってくる。

2016-01-10 10:12:21
Ninja DAO | CryptoNinja @CryptoNlnjaNFT

岡山大学の教員懲戒免職の話は、部外者にはほとんど実態がわからない。通常であれば「あり得ない」ことだから、何か特殊な事情でもあったのだろうか。

2016-01-10 10:16:31
公開 @listacle

岡山大学で、研究不正を内部告発した人が解雇された事件、第三者が介入しないと解決しない。文部科学省も日本学術振興会も動こうとしないとのこと。これだともう国内では解決できない。関係書類を英訳して、海外のジャーナリズムに訴えるしかないと思う。

2016-01-10 10:46:57

『森山教授の陳述書』テキスト版

冒頭の説明で紹介した森山教授の陳述書は元情報が15ページのPDFだが、以下にテキスト化した物を掲載する。


陳述書

平成27年12月8日

国立大学法人岡山大学教育研究評議会 御中

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授

森山芳則 印

国立大学法人岡山大学教育研究評議会(以下「評議会」という。)の平成27年10月
26日付け審査説明書記載の判断に対し、事実関係の記載を中心に、次のとおり陳述す
る。

第1 結論

評議会は、森山に対する解雇との判断を再考の上撤回すべきである。

第2 主張の概要

  1. 解雇理由は事実誤認であり、解雇理由とはなりえないこと

審査説明書記載の事実関係(1)乃至(9)は、事実誤認であり、解雇理由とはなりえ
ない。特に、評議会は、解雇理由(1)、(4)、(5)及び(7)については告訴状を岡
山地方検察庁に提出していないのであるから、明らかに事実誤認であり、国立大学法人
の評議会の判断としては、到底許されるものではない。詳細は、第3において述べる。

  1. 審査結果は、解雇権の濫用であり無効であること

(1)結論

森山に対する解雇は、1記載のとおり解雇理由に誤りがあることに加え、以下の事情に
より、客観的な合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないことから、
解雇権の濫用に該当し、無効であることは明らかである。

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(2) 違法な自宅待機命令を前提とする普通解雇であること

国立大学法人岡山大学(以下「大学」という)は、平成27年 5 月20日付け自宅待
機通知書において「国立大学法人岡山大学職員就業規則(平成16年岡大規則第10号)
第68条の2の規定に基づき、平成27年5月26日から当該懲戒処分が決定するまで
の間、自宅待機を命ずる。」と記載し、森山に対して、「当該懲戒処分が決定するまでの
間」の期間に限定して、懲戒処分を前提とした自宅待機命令を行った。同就業規則68
条2においては、「学長は、職員が懲戒処分に該当する行為を行った場合は、当該懲戒
処分が決定するまでの間、当該職員に自宅待機を命じることができる」と規定しており、
自宅待機命令は、あくまで懲戒処分に該当する行為を行った場合に限定して認められる
措置であることから、懲戒処分を前提とせずに自宅待機命令を出すことは、同就業規則
に反して違法である。

しかしながら、大学は、本通知書発行日から 6 か月以上経過しているにも関わらず、未
だ懲戒処分を行っていないこと、及び、懲戒解雇ではなく普通解雇を行おうとしている
ことから明らかなように、「懲戒処分に該当する行為」は存在せず、就業規則に違反す
る行為を行っていることを自ら認めている。また、このような状況で、正式な懲戒処分
を行わず、実質的な懲戒処分である普通解雇を大学が選択することは、自ら犯した違法
行為を隠蔽する行為に他ならず、社会通念上著しく相当性を欠く行為である。

したがって、かかる状況の下、普通解雇を行うことは、解雇権の濫用に該当し無効であ
る。

(3) 先行の懲戒処分時に明確に認識していた事情を解雇理由としていること

懲戒処分が連続する場合、先行する懲戒処分の処分時に明確に認識していた解雇理由を、
後続の懲戒処分における解雇理由とすることは、懲戒権の濫用として、解雇は無効とす
べきである。この趣旨は、後続の処分が(本件のように)懲戒処分を前提とした自宅待
機命令が先行し、懲戒処分が出ていない場合に、普通解雇を行う場合にも同様に当ては
まる。したがって、懲戒処分を前提とした自宅待機命令が先行し懲戒処分が出ていない
場合に普通解雇を行う場合、先行する懲戒処分の処分時に明確に認識していた処分事由
を、後続の普通解雇理由とすることはできず、これに反する解雇は解雇権の濫用として
違法である。

しかるに、解雇理由(1)乃至(7)は、平成26年9月25日付け停職処分時に、大
学が明確に認識していた事情である。したがって、評議会がかかる理由をもって、解雇

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理由とすることは、いずれも解雇権の濫用として許されない。

(4)報復としてなされた解雇であること

普通解雇においても、報復として解雇することは、解雇権の濫用として無効である。大
学は、以下の通り、森山の大学に対する要求に対する報復として、普通解雇を行うとし
ていることは明らかである。

すなわち、森山は、博士課程在籍中の大学院生の博士論文の不正行為、他人の修士論文
を剽窃し己の博士論文とし博士号を取得した二名の製薬企業社員がなした不正行為、そ
れらの不正行為を指導した元教授の不正行為、並びに、理事が多数著者に含まれる論文
の不正行為を大学に内部告発したところ、平成26年9月25日付けに別件で停職処分
を受けている。こうした中、平成26年9月26日臨時薬学部教員会議において、学長
は、「私を刑事告訴するということはどれだけ大きな社会的な非違行為かであるかとい
うことです。・・中略・・私が辞めるかそちらが辞めるかの戦いになります」また、「私
自身の処罰もありえると私は思っています。これから処罰がありえると思っております」
と発言している。以降、大学は、一環として、根拠ない自宅待機処分に続く、本件の普
通解雇とする結論を出しており、本件の普通解雇が、大学の報復に基づくことは明らか
である。

第3 事実関係に対する反論

1.解雇理由(1)について

同研究科●●●●教授及び○○○○教授(以下、それぞれ「●●教授」「○○教授」と
いう。)とともに、平成26年1月17日ころ、XXX 学長及び XXX 理事(以下、それぞ
れ「XX 学長」「X 理事」という。)が、被審査者らが行った告発を隠蔽するために、被
審査者らをパワーハラスメントの加害者であるとして、被審査者らの役職解任を画策し
たことは公務員職権濫用罪(刑法193条)に当たるなどとして、岡山地方検察庁に告
訴状を提出した。

(1)認否 否認する。

(2)反論
森山は、岡山地方検察庁(以下、「岡山地検」という。)に対し、解雇理由(1)の告訴
状を提出しておらず、評議会の判断は事実誤認である。

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大学は、平成27年4月24日付け調査質問書において「平成26年1月18日に貴殿らが学長
らを刑事告訴したと報道がなされました。資料第1-1-1、1-1-2がその新聞記
事です。」として、新聞記事のみを証拠として、解雇理由を認定している(したい)よ
うである。しかしながら、森山が当該記者会見で指摘したのは、森山が1月16日に容
疑者不詳のまま岡山地検に名誉棄損容疑で告訴した件についてであり、解雇理由(1)
の記載の告訴状を地検に提出した事実はないのであるから、岡山地検に提出したなどと
は一切言及していない。当該報道がいかなる根拠に基づいて行われたのかは不明である
が、評議会が普通解雇という重大な人権侵害を行おうとしているにもかかわらず、本人
も否定している何の確証もない報道のみをもって事実認定を行うことは、著しく不合理
である。

以上より、解雇理由(1)については、明らかな事実誤認があり、また、当該事実を前
提とした判断に誤りがあるのであるから、解雇理由とはなることはありえない。

2.解雇理由(2)について
●●教授及び○○教授とともに、平成26年1月17日午前8時40分ころから午後2
時15分ころまでの間に、岡山大学薬学部中講義室において、上記(1)の刑事告訴に
ついて記者会見を行った。

(1) 認否
平成26年1月17日午前8時40分ころから午後2時15分ころまでの間に、岡山大
学薬学部中講義室において、●●教授及び○○教授とともに、記者会見を行ったことは
認める。

当該記者会見が「上記(1)の刑事告訴について」という点については否認する。

(2) 反論

1で記載したように、そもそも森山は、上記(1)について刑事告訴をしていないので
あるから、森山が提出したとされる「上記(1)の刑事告訴について記者会見」を森山
が行うことは不可能であり、評議会の判断は、著しい事実誤認がある。

森山が記者会見の席で述べた内容は、森山を誹謗中傷する怪文書が平成25年12月に
新聞各社に配送され、当時学部長であった森山の名誉を著しく毀損した内容であるとし
て、被疑者不詳のまま名誉毀損により岡山地検に告訴(平成26年1月16日付)した

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ことについてであり、「上記(1)の刑事告訴」とは、全く関係がない。

加えて、評議会は、「被審査者の上記(2)の行為は、専ら公益を図るものであったと
は認められず、しかも、正当ではない刑事告訴を行い・・・きわめて問題があるといわ
ざるを得ない」(7頁2行乃至18行)と判断しているが、そもそも上記(2)の前提
に誤りがあるから、当該判断に誤りがあることは論を待たない。

以上のように、解雇理由(2)については、明らかな事実誤認があり、また、当該事実
を前提とした判断に誤りがあるのであるから、解雇理由とはなることはありえない。

  1. 解雇理由(3)について
    ●●教授とともに、フリーライター□□□□氏に対して、大学院生の博士論文の不正を
    学長に訴えたところ、学長が「この件については騒がないで欲しい」「こんなこと(不
    正の暴露)をやったら、ウチの大学はたいへんなことになる」と話し、数値の操作や細
    胞映像の使い回しなど改竄された研究データを基とした論文が28本存在するなどと
    する情報提供を行った。

(1) 認否

森山が、□□□□氏と面談した事実は認めるが、それ以外の事実関係は概ね誤りである。

(2) 反論

森山は、□□氏に対し、「大学院生の博士論文の不正を学長に訴えたところ、学長が『こ
の件については騒がないで欲しい』『こんなこと(不正の暴露)をやったら、ウチの大
学はたいへんなことになる』」と話したか否かは、知らない。そもそも、この情報は、
その真偽はともかくとして、森山以外にも大学関係者なら誰でも(推測に基づき)提供
しうる情報であり、森山しか知りえない情報でもない。□□記者は、森山以外にも大学
関係者など、複数の関係者に対して独自の取材を行い、そのような記事を週刊誌に執筆
したと思われ、このこと自体、一般的に行われており、不自然なことではない。したが
って、かかる文言を捉え、解雇事由にすることは、明らかに誤っている。

また、「数値の操作や細胞映像の使い回しなど改竄された研究データを基とした論文が
28本存在する」との情報提供も一切行っていない。そもそも、週刊ポストの記事(平
成26年2月10日号、3月3日発売号)には、森山がかかる情報を提供したと記載し
てはおらず、評議会がどの文言を根拠として、かかる事実認定しているのか不可解であ

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る。

以上に加え、森山は、当該週刊ポストの発売前に□□記者から記事原稿の確認も求めら
れておらず、本記事内容は森山が承認したものではない。かかる状況のもとで、解雇事
由記載の情報を森山が□□記者に情報提供を行ったと事実認定することは、極めて正義
に反する。

従って、解雇理由(3)については、評議会が記事の記載のみをもって森山が情報提供
をしたと断定しており、著しい事実誤認があり、この事実を前提として解雇理由とする
ことは許されるものではない。

  1. 解雇理由(4)について
    ●●教授及び○○教授とともに、平成26年3月3日ころ、同研究科●●●●准教授に
    関し、①同准教授が岡山大学に採用時に提出した薬剤師実務経験や経歴に、詐称、虚偽
    記載があること、②同准教授が平成22年4月28日開催の岡山大学薬学系会議に提出
    した准教授再任審査書類に虚偽記載があること、③これら繰り返される虚偽記載により
    岡山大学薬学部及び岡山大学の名誉が毀損されたことを理由として、同准教授の行為に
    つき詐欺罪(刑法246条)及び名誉毀損罪(刑法230条)に当たるものとして、岡
    山地方検察庁に告訴状を提出した。

(1) 認否

否認する。

(2) 反論

森山は、岡山地検に対し、解雇理由(4)の告訴状を提出しておらず、評議会の判断は
事実誤認である。

確かに、森山は、①②及び③について、教授会に資料が提出され、また、資料とともに
●●教授より説明を受けていた。しかしながら、刑事告訴については、当該告訴状を岡
山地検に提出した事実はないし、作成に関与もしていない。

大学は、平成27年4月24日付け調査質問書において「●●教授の副研究科長の地位
確認訴訟の証拠」として提出された「●●准教授に対する告訴状」をもって、上記事実
を認定しているようであるが、そもそも森山は当該告訴状の作成に関与していない。大

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学は、「この告訴状の告訴人に貴殿の名前がありますが、貴殿が告訴したことは間違い
ないですか。」(7頁13行乃至14行)と質問していることからわかるように、そもそ
も森山が作成したか否か、告訴したか否かも確証がない。また、当該証拠には、森山の
署名もない。かかる状況の下で、大学が、「岡山地方検察庁に告訴状を提出した」と事
実認定することは、極めて不合理である。

以上より、解雇理由(4)については、明らかな事実誤認があり、また、当該事実を前
提とした判断に誤りがあり、さらには公益通報者保護法にも反するのであるから、解雇
理由とはなることはありえない。

  1. 解雇理由(5)について
    ●●教授及び○○教授とともに、平成26年3月26日ごろ、同研究科△△△△△准教
    授が薬学部学生。薬学系大学院生に対するアカデミックハラスメントを繰り返しており、
    これが傷害罪(刑法204条)と名誉毀損罪(刑法230条)に当たるとして、岡山地
    方検察庁に告訴状を提出した。

(1) 認否

否認する。

(2) 反論

森山は、岡山地検に対し、解雇理由(5)の告訴状を提出しておらず、評議会の判断は
事実誤認である。

評議会は、平成 27 年 4 月 24 日付け調査質問書において「●●教授の副研究科長の地
位確認訴訟の証拠として、告訴状が提出されています」(10 頁 1 行)と指摘してきてお
り、当該地位確認訴訟の証拠を唯一の根拠としているようであるが、そもそも森山は、
告訴状の作成には一切関与していない。 そもそも大学が指摘する告訴状には、森山の
署名がないばかりか、押印もない。かかる事情の下に、普通解雇という重大な人権侵害
を課すための解雇理由として、「岡山地方検察庁に告訴状を提出した」と事実認定する
ことは、明白に誤りである。

以上より、解雇理由(5)については、明らかな事実誤認があり、また、当該事実を前
提とした判断に誤りがあり、解雇理由とはなることはありえない。

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6.解雇理由(6)について
平成26年4月26日、岡山大学薬学部長室において、記者会見を開催し、平成24年
1月ころ、博士論文に不正があると岡山大学に告発したところ、X 理事から叱責を受け、
告発書の取り下げを要求され、被審査者が要求を拒否すると精神的苦痛を受けたとして、
X 理事を相手取り、訴訟を提起したことを内容とする発表を行った。

(1) 認否

事実関係については、概ね認める。

(2) 反論

裁判を受ける権利は、国民の権利として、憲法上明確に保障されており、森山が X 理
事を相手取り、訴訟を提起すること自体は、何ら問題はない。そして、森山が憲法上保
障された行為を記者会見等を開き第三者に開示する行為については、何ら守秘義務等を
課されておらず、また、当該情報は、記者会見を開かずとも、第三者は容易に知り得る
情報である。したがって、評議会が、かかる事由を普通解雇の理由とすることには、客
観的な合理的理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められず、解雇権の濫用に他な
らない。

この点について、評議会は、「被審査者の上記(6)の行為は、専ら公益を図る目的で
なされたものとは認められず、しかも、ハラスメントと主張する言動が認められないに
もかかわらず、ハラスメントが行われたとする主張を岡山大学の施設を私的に利用した
記者会見で発表した」(9頁1行乃至5行)と指摘している。

しかしながら、解雇理由となっている「平成24年1月ころ、博士論文に不正があると
岡山大学に告発したところ、X 理事から叱責を受け、告発書の取り下げを要求され、被
審査者が要求を拒否すると精神的苦痛を受けた」との事実は、森山が原告、大学を被告
とする、岡山地方裁判所において係属中の損害賠償請求訴訟(平成26年(ワ)451
号)における主要な争点となっている。今後、裁判所により、いかなる判断がなされる
かは不明であり、森山はもとより、評議会が、裁判所の判断を踏まえることなく、訴訟
における一方当事者にすぎない大学の主張を、独断で「ハラスメントと主張する言動が
認められない」と判断を行うことは、到底許されるものではない。

また、「発表した内容は、平成26年4月26日の毎日新聞朝刊、産経新聞朝刊及び産
経新聞朝刊等に掲載され、広く一般に認識されるに至ったものであり、岡山大学の名誉

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及び信用は著しく傷つけられている。」(9頁8行乃至11行)と指摘している点も明ら
かに不当である。そもそも単に記者会見を開いたとしても当然に新聞に掲載されるわけ
ではなく、掲載の可否は、各新聞社の独自の取材や価値判断に基づき決定されるもので
ある。本件では、各新聞社が、記者会見の内容を踏まえ、掲載する価値があると判断し
たから報道されたに過ぎない。評議会の判断は、報道されたことによる不利益を、全て
森山に押し付け、解雇理由とするものであり、著しく不当である。

以上より、解雇理由(6)については、事実関係自体は概ね認められるものの、当該事
実を前提とした判断に明白な誤りがあるのであるから、当該理由を根拠として、普通解
雇を行うことは明らかに違法である。

  1. 解雇理由(7)について
    ● ●教授及び○○教授とともに、平成26年6月24日ごろ、①X 理事は、同研
    究科△△△△准教授と共謀し、同研究科▲▲教授、△△准教授、▽▽准教授、●●准教
    授、●●●准教授、XX 元教授にハラスメント申し立てを行わせることを共謀し、②X
    理事は、△△准教授と策謀し、上記ハラスメント申し立てについて、ハラスメント防止
    委員会の審議を経ないままハラスメント調査委員会に調査を命じ、XX 学長は、それら
    の行為を追認し、③XX 学長及び X 理事は、被審査者らが行ってきた多数の不正、不適
    格事象の是正問題や不正改善のための告発を不当に遺棄、放置、隠蔽するため、被審査
    者をあたかもハラスメントの常習者と称して、一方的に処断し、それぞれの有する役職
    を解任するか、または解任しようと画策しているなどとし、XX 学長、X 理事および△
    △准教授の行為が公務員職権濫用罪(刑法193条)に当たるとして、また④XX 学長
    及び X 理事は、平成25年7月上旬、被審査者らに対するハラスメント調査委員会の事
    情聴取が近々開催され、ハラスメント申し立ては懲戒対象になるという風評を大学院医
    歯薬学総合研究科及び大学院自然科学研究科の複数教員に流布したとし、XX 学長及び X
    理事の行為が国立大学法人法第18条違反に当たるとして、岡山地方検察庁に告訴状を
    提出した。

(1) 認否

否認する。

(2) 反論

森山は、岡山地検に対し、解雇理由(7)の告訴状を提出しておらず、評議会の判断は
事実誤認である。

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告訴状を提出していない理由は、上記5−(2)の説明と同じである。

以上より、解雇理由(7)については、明らかな事実誤認があり、また、当該事実を前
提とした判断に誤りがあるのであるから、解雇理由とはなることはありえない。

  1. 解雇理由(8)について
    停職処分期間中で学内施設利用や学生に対する研究指導、科学研究費の使用が禁止され
    ていたにも関わらず、①平成27年1月29日、薬学系教職員に対して、自身らに科せ
    られた停職処分が博士論文不正、医学系の論文不正、医歯薬学総合研究科研究新棟(融
    合棟)の医学部独占使用に対して異議を唱えたことに端を発しているなどと記載した文
    書をメールで送信し、同メールにおいて、この文書の学生への配信、薬学部ホームペー
    ジへの掲載を要請し、②平成27年1月30日、薬学系教職員に対し、学部内に立ち入
    り、学生に対する研究教育指導を行う旨のメールを送信し、③平成27年1月30日、
    薬学部長、大学院医歯薬学総合研究科長、薬学系事務室事務長等に対して、科学研究費
    を使用するつもりであり、この使用を拒絶する場合には停職処分が違法であることを文
    部科学省に通告する旨のメールを送信した。

(1) 認否

事実関係については、認める。しかしながら、いずれも解雇理由には、なりえない。

(2)反論

①②のメール送信について
① 及び②のメール送信の経緯は以下の通りである。平成27年1月21日、岡
山地裁は、停職処分無効の仮処分(平成26年(ヨ)第84号)の決定において、「停
職処分は重きに失し違法と言わざるを得ない」と、大学の森山に対する停職処分が違法
であると判断した。大学は、かかる裁判所の判断に対して、1月21日、「その処分内
容の一部が認められなかったことは遺憾であるが、本学の主張は大筋認められたと考え
る。」とのコメントを大学のウェブサイトに掲載したが、関係者から事実が異なるとの
指摘があったようであり、1 月23日、ウェブサイトのコメントを、「その処分の相当
性が認められなかったのは遺憾である。」と訂正し、「大学の主張が大筋認められたと考
える。」との指摘を削除した。このような経緯を踏まえ、森山は、大学のコメントによ
り多数の関係者が誤解を受けたと考え、裁判所の判断を正確に伝え、学生を含む大学関
係者の誤解及び不安を少しでも解消するために、①及び②のメールを配信したにすぎな

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い。特に、1月30日、森山は、XX 総務担当理事より「停職期間中に、本学学生に対
して、接触してはならない。」等の警告を受け、「警告に違反した場合、懲戒処分等の対
象になりますので、ご留意下さい。」との警告を受領しており、大学としては、①及び
②のメールが解雇理由とならないことを前提にしていることは明らかである。

かかる事実を前提とすれば、評議会が、①及び②のメールの送信について、「岡山大学
の懲戒処分・・・の取扱いに従わない旨を、薬学系職員、大学院医歯薬学総合研究科長
に送付し、同人らを困惑させ、部局の運営に支障を生じさせるものである。」(9頁19
行乃至10頁2行)との恣意的な判断を行い、解雇理由とすることは著しく不当である。

③のメール送信について
評議会は、③のメールについて、「科学研究費の取扱いに従わない旨を、薬学系職員、
大学院医歯薬学総合研究科長に送付し、同人らを困惑させ、部局の運営に支障を生じさ
せるものである。」(9頁19行乃至10頁2行)と指摘して、また、「職務命令に従わ
ない姿勢が顕著であって、改善を期待することはできず、岡山大学教授としての適切な
職務遂行は困難であると言わざるを得ない」して、解雇理由と認定しているが、著しく
不当である。そもそも、平成27年10月26日のNHKの報道からも明らかなように、
大学側の科研費の取扱いについては疑義があり、職務命令自体に違法性の疑いがある。
また、岡山地裁の仮処分において「停職処分が違法である」との決定が出たことは事実
であり、かかる事実を文科省に通告することには、何ら違法性がない。

以上より、解雇理由(8)については、事実関係自体は概ね認められるものの、また、
当該事実を前提とした判断に明白な誤りがあるのであるから、当該理由を根拠として、
普通解雇を行うことは明らかに違法である。

  1. 解雇理由(9)について
    平成27年4月2日、同月9日に発された、懲戒等審査委員会の下におかれた調査委員
    会への出席命令に違反し、同委員会からの書面での質問に対する回答を実質的に拒否し
    た。また、同年10月15日に発された人事審査委員会への出席命令に違反した。

(1) 認否 否認する。

(2) 反論

まず、森山は、平成27年4月2日、同月9日に発された、懲戒等審査委員会の下にお
かれた調査委員会への出席命令に違反していない。大学は、(上記出席命令を行った後

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の)平成27年 4 月24日付け「ご連絡」と題する書面において、XX 学長及び教員懲
戒等審査委員会調査委員会委員長 XXXX 氏名義で、「本件調査は、懲戒処分に発展しう
る重要な意味を持つものであり、直接、調査対象者ご本人への面談により行うべきであ
ると考えておりますが、面談での調査に応じていただけないのであれば、書面での調査
もやむを得ないものと考えております。」と記載し、出席する必要はなく、書面での回
答を正式に承認している。したがって、当該調査委員会への出席命令に違反していない

さらに、森山は、同委員会からの書面での質問に対する回答を実質的に拒否していない。
森山は、同委員会からの書面での質問に対する回答については、平成27年 5 月13
日付け回答書により、正式に回答しており、実質的にも拒否していない。そもそも、同
委員会からの書面での質問内容の大部分は、係属中の訴訟(平成27年(ワ)第82号
平成26年(ワ)第451号)における主張・立証内容に密接に関連するものであるこ
とから、当該主張・立証内容に抵触する質問について回答できないのは当然のことであ
る。さらに、解雇理由(9)は、「回答を拒否した」との文言ではなく、「回答を実質的
に拒否した」と極めて不明確な文言を使用している。普通解雇という重大な人権侵害を
基礎付ける解雇理由として、かかる文言を使用することは、被審査者たる森山の防御権
を不当に侵害するものであり、到底許されるものではない。

加えて、同年10月15日に発された人事審査委員会への出席命令についても、係属中
の訴訟(同上)における主張・立証内容に密接に関連するものであることから、出席で
きないのは当然である。

また、評議会は、「被審査者の上記(9)の行為は、岡山大学の市職員として当然に甘
受すべき調査、職務命令に違反するもの」であると指摘しているが、そもそも第2、2
(2)で指摘したように、本年5月以降、違法な自宅待機処分を継続し、最終的には普
通解雇により、自身の違法性を隠蔽することを企図する大学側からの命令に対し、評議
会に一切の法的根拠なく「当然に甘受すべき」と指摘されるいわれはない。

以上より、解雇理由(9)については、評議会の判断に明白な誤りがあるのであるから、
当該理由を根拠として、普通解雇を行うことは明らかに違法である。

以上

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人事審査説明書に記載された、解雇理由(1)乃至(9)(上記)に対する国立大学法人岡
山大学教育研究評議会による説明

被審査者(森山)の上記(1)の行為は、自らのハラスメントに対する懲戒処分への対
抗措置として、XX 学長及び X 理事が職権を濫用した事実が認められないにもかかわらず、
岡山大学代表者である学長、役員である理事に対し刑事告訴という相当性を欠く手段に及
んだものであって、本刑事告訴は内部告発としての正当性を有しない不当なものである。

被審査者(森山)の上記(2)の行為は、専ら公益を図るものであったとは認められず、
しかも、正当ではない刑事告訴を行い、それを岡山大学の施設を私的に利用した記者会見
で公表したというもので、岡山大学の学長及び理事が不正な行為を行っているかのような
印象を外部に与え、岡山大学の社会的評価を下げるものである。また、発表した内容は、
平成26年1月18日の毎日新聞朝刊、同日の読売新聞朝刊及び同日22日の朝日新聞朝
刊等に掲載され、広く一般に認識されるに至っており、岡山大学の名誉及び信用は著しく
傷つけられている。そして、この行為を行ったのは、大学入試センター試験の前日であり、
岡山大学職員だけでなく、受験生にも重大な影響を及ぼしかねない行為であった。まして
や、被審査者は試験場責任者として、試験場の設営、管理等への責任を負っていたのであ
るから、試験場内で記者会見を行うことは、極めて問題があるといわざるを得ない。

被審査者(森山)の上記(3)の行為は、XX 学長の発言部分については事実と認められ
ず、当該論文の不正の有無を調査中であったにもかかわらず、あたかも真実であるかのよ
うに情報提供を行い、学長及び岡山大学医学部を貶め、岡山大学の社会的評価を低下させ
たものである。また、情報提供された内容は、週刊ポスト平成26年2月21日号、同年
3月14日号及び同年10月31日号等に記載され、広く一般に認識されるに至ったもの
であり、岡山大学の名誉及び信用は著しく傷つけられている。

被審査者(森山)の上記(4)の行為は、詐欺罪及び名誉毀損罪に該当する事実が認め
られないにもかかわらず、自らのハラスメントに対する懲戒処分への対抗措置として、刑
事告発という相当性を欠く手段に及んだもので、内部告発としての正当性を有しない不当
なものである。

被審査者(森山)の上記(5)の行為は、△△△△△准教授が学生に対し傷害罪及び名
誉毀損罪に該当するアカデミックハラスメントに対する懲戒処分への対抗措置として、刑
事告発という相当性を欠く手段に及んでおり、内部告発としての正当性を有しない不当な

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ものである。

被審査者(森山)の上記(6)の行為は、専ら公益を図る目的でなされたものとは認め
られず、しかも、ハラスメントと主張する言動が認められないにもかかわらず、ハラスメ
ントが行われたとする主張を岡山大学の施設を私的に使用した記者会見で発表したという
もので、岡山大学の執行部が不正な行為をしているかのような印象を外部に与えて岡山大
学の社会的評価を下げるものである。また、発表した内容は、平成26年4月26日の毎
日新聞朝刊、産經新聞朝刊及び山陽新聞朝刊等に掲載され、広く一般に認識されるに至っ
たものであり、岡山大学の名誉及び信用は著しく傷つけられている。

被審査者(森山)の上記(7)の行為は、自らのハラスメントに対する懲戒処分への対
抗措置としてなされたものであり、XX 学長、X 理事、▽▽▽▽准教授が職権を濫用した事
実や、XX 学長や X 理事が風評を流布した事実が認められないにもかかわらず、刑事告訴と
いう相当性を欠く手段に及んだものであって、内部告発としての正当性を有しない不当な
ものである。

被審査者(森山)の上記(8)の行為は、岡山大学の懲戒処分及び科学研究費の取り扱
いに従わない旨を、薬学系教職員、大学院医歯薬学総合研究科長に送付し、同人らを困惑
させ、部局の運営に支障を生じさせるものである。

被審査者(森山)の上記(9)の行為は、岡山大学の職員として当然に甘受すべき調査、
職務命令に違反するものであって、複数回にわたって拒絶していることからしても、その
態度は頑なであり、岡山大学が有する懲戒権の公使を著しく困難にするものである。

被審査者(森山)の(1)、(4)、(5)、(7)の刑事告訴及び刑事告発は、目的として
の正当性を有しておらず、内部告発として正当化されるものではない。これらの刑事告訴
及び刑事告発は、犯罪に該当する事実が認められないにもかかわらず、岡山大学執行部及
び被審査者所属部局の教員を対象としてなされたものであり、行為当時、薬学部長として
学部の管理運営、教育研究評議会の評議員として岡山大学の運営に携わる地位にありなが
ら、刑事告訴及び刑事告発を濫発したことは、岡山大学との信頼関係を大きく毀損する行
為である。

また(2)、(3)、(6)の記者会見、情報提供行為は、岡山大学の対外的名誉、信用を
著しく低下させるものであり、その目的にも正当性は認められない。当時、被審査者が薬
学部長であったことから、その影響力は非常に大きいものであった。岡山大学の名誉、信
用を保持することは、岡山大学の教職員ましてや学部長、評議員という地位にある者とし

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て当然に要求される義務であり、これらの行為はその義務に反するばかりか、懲戒事由(国
立大学法人岡山大学職員就業規則第67条第6号、第9号(同第35条第一項第二号違反)
に該当する重大な行為である。

上記(1)から(7)の行為には、岡山大学に対する強い害意が窺われ、既に岡山大学
との信頼関係は回復困難な程度まで毀損されている。また(8)(9)で表れているように
職務命令に従わない姿勢が顕著であって、改善を期待することはできず、岡山大学教授と
しての適切な職務遂行は困難であると言わざるを得ない。以上の行為からは大学教授たる
にふさわしい人格見識(国立大学法人岡山大学教員の選考に関する規則第3条)が欠如し
ていると判断せざるを得ず、岡山大学教授に必要な適格性を欠くと明らかに認められる。

以上より、岡山大学教授に必要な適正を欠くと認められるため。上記のとおり、解雇と
する。

国立大学法人岡山大学職員人事規則(以下「規程」という。)第10条第一項に基づき、
上記の通り、審査した。
よって、規程第10条第2項の準用する第9条第2項第1号の規定により、この審査説
明書を交付する。

国立大学法人岡山大学教員研究評議会 (公印)

(決定日時)平成27年10月26日
(交付日時)本審査説明書配達日
(教示)規程第10条第2項の準用する第9条第2項題2号の規程により、この審査説明
書が配達された日から14日以内に国立大学法人岡山大学教育研究評議会に対して請求し
た場合、口頭又は書面で陳述する機会が与えられます。

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