不知火に落ち度はない　41（磯風）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

なお、その奇跡の成功のおかげで、磯風の嫁にしたい艦娘ランキング（基地調べ）は急上昇したのだとか。 上位には浜風、浦風、あと神通とか陽炎とか妙高さんとかいるけどな。 陽炎、実は料理いけるほうなんだ。 あんまり作る姿みたことねえけどな。 #不知火に落ち度はない

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なお、ワーストというか票が入らなかったのは、秋雲、北上様あたりである。 まあ、どっちも趣味人っぽいしな。 北上様が料理してるシーンとか想像できねしな。 なお、両名とも自分のための夜食作りはベテランなので、実は料理うまいんだぞ。 #不知火に落ち度はない

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「以上をもって、私は女子力を秘めたそんざいであると、しょうめいする」 「そうな。秘めずにもっと表に出てくれ、その秘めたる力みたいな何か」 すごいな。女子力って女子の中に秘められた力みたいに聞こえる。 聖闘士に秘められたコスモみたいに言うな。 #不知火に落ち度はない

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「だいじょうぶ。磯風が女子であることをしんじろ」 なんだろう。 おじさん少し涙が出てきましたよ。 こいつの一応女子として認められたい願望って結構根深くないか？ お前おっぱいも付いてるし、ちゃんと女子だから。 だから俺を許してくれ。頼む。 #不知火に落ち度はない

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「わあったよ、最後まで付き合うけど子細は聞かせてくれよ」 「まかせろ」 頼って良いという顔で、うなずく磯風。 たぶん工廠課のアホどもなら、理想を抱いて溺死する顔では無かろうか。 あいにく俺は真相知ってるから無理だけど。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

さて、残りはようかんぽい奴と、最中っぽい奴と、栗きんとんみたいな奴。 既製品がある、と言う情報なら、最中っぽいやつでFAなわけだけど。 今の現状だと全て手作り。絵の具を塗ってるなんてことも充分あり得るわけだ。 磯風の自由すぎる発想が恐ろしい。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

その前に本人の証言を取らねば。 おい、磯風。なんでふんにゃり突っ伏して──ってそりゃそうだ。 「お前酒大丈夫だっつってたけど、テキーラ一気はだめだったろやっぱ」 「だいじょうぶ。ちょっぴり眠いだけだ」 ふんにゃりしながら言うな。無理しすぎ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「で、このようかんはどう作った」 「ふつうだ」 信用できねえ。 その普通って、お前の想像上の普通なんだろ？ #不知火に落ち度はない

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「まず、ようかんの作り方をどうぞ」 「寒天をとかす」 「おう」 「砂糖を入れる」 「おう」 「色づけには墨汁を使う」 「はい、これは食べられないっと」 大きくバッテンを入れて、食べられませんコーナーへ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「まて、それはたしかひとくち食べたはずだ！」 「どうだったよ」 「あまかった」 「まあ、甘いな」 「あと、谷風にも食べさせてみた」 「やめてあげてよ！！！」 口んなか真っ黒になってるでしょそれ！ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「イカスミパスタも墨だろう」 「そりゃ墨だけどさ！ 墨は基本食べものじゃねんだって！」 「しかし、谷風はそう言ってたぞ」 「いつだよ」 「ビール５本開けてた時に。半分寝ながら」 谷風、俺はお前を責めない。 お前はもう罰をうけた後だからな。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「ともかくこれは、駄目です」 「いやでもそれ、ちゃんと甘い」 甘いならOKなわけないでしょが。 お前ようかんを侮りすぎてはおりませんか。 「では司令はようかんをどう表現する」 「……。まあ、甘いな」 「つまり私のもようかんだ」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「言われてみれば、う、うん。そう間違っては──」 って、だめだ。こいつ今眠いから適当になってる。 「なわけねーだろ。ようかんにはあんこ、すなわち小豆成分が必要。これは甘い墨です」 「甘ければ女子力はみたされる」 どこのスイーツ♥女子だよ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「これは除いて次、この最中は？」 「すまない」 え、なんでいきなり謝るんですか。 「みえをはった。そのもなかはできあい品だ」 「や。寧ろそれ聞いて安心したから」 「この磯風のてづくりメイン女子力計画のはずなのに」 あ、いじけたぞ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「まあま。素人さんの奴より美味しい時があるならセーフだ」 「じょしりょくー」 そのこだわりは今は捨てようぜ。まず食の安全取ってくれ。 どれ、では一口。 つまんでおくちにぽいっとな。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

まずはぱりっとした最中の感触。 次いで中身からじわっとにじみ出る醤油味。 醤油味？と戸惑う暇無く、甘みが押し寄せてきて。 そしてぬったりとしたぬめりのある磯の風味。 その時点で吐き出した。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「なにこれ」 「こんぶのつくだにに砂糖まぶしていれてみた」 あ、なるほど。聞けば納得。 だが、なぜ入れた。昆布の佃煮をなぜ入れた。 「すきなんだ、つくだに」 「少なくとも最中に入れたりするもんじゃねえかな！？」 #不知火に落ち度はない

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まあ、びっくりしたが、これはまだ食えるジャンルで保留。 すここまででやっとまともに食えるの追加されたぞ。 ただ、さっきの食感と味は限りなくNGに近いが。 「ちなみにたらこもある」 「おにぎりか！！」 「うむ」 おくさん、最中はおにぎりですって。 #不知火に落ち度はない

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そんな最中の歴史を塗り替えるあり得ない発言を絶賛披露中の磯風。 最後のは、唯一味見をしたと言われる、この栗きんとんであるが。 なんかさ。 この栗きんとんちょっと白いんだけどさ。 表面に粉吹いてるのか白いんだけどさ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「ちなみにこの栗きんとんはどう作った」 「それはやり方を知ってた」 「いいから言って」 「栗の甘露煮を買ってきて、つぶす。芋をつぶして混ぜる」 あ、わりと正解ルート入った。 これは期待ができるかもしれない。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「つまりこの粉ふきはデンプンであると仰りたいか」 「……そうなのか？ たぶんそうかな」 突っ伏したままで言う磯風。 いや、えっと。そのさ。 俺サツマイモで粉ふきしてるのみたこと無いけど大丈夫なのかなーって、思うんだよ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「ちなみに味はどうでしたよ」 「くりきんとーん」 おい、面白くなるなそこで。 普段のきりりとしたあれそれさよならしてゆるキャラになるな。 だが、この味が栗きんとんであるというならば信じてみる価値はある。 箸でつまんで、いざ口へ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あ、そういえば」 「ん？」 お、甘いけど──ん？ 複雑な感じのほろ苦さが。 「最近あけたら、しろくなってたきがする」 速攻で俺は吐き出した。 つまりこの白いのは何かっていうと。 これ、カビです。 よく見ると蓋の裏にびっしりついてんの。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

つまり、だ。 このおせち、食べられるものはとっくに一個も無くなってたわけですよ。 以上証明終了。 お前の言う女子力はウミガメ並であることが判明してしまった。 これには、地球を制圧に来たサイヤ人も悲しい顔でお帰りなさるしかない。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

と、いうわけでこのおせち。 磯風の自称女子力が生み出した、バイオハザード的パンドラの箱であることが判明した。 まともに食えるものも一応あったんだけど。 なんで２週間も経過させてこれ作ったしと思ったが。 全ては食品偽装のために費やされたと悟った。 #不知火に落ち度はない