不知火に落ち度はない 41(磯風)

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不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

みろよこのウグイス豆。 匠の技で綺麗に塗られて、本当にウグイス豆に見えるんだぜ。 色合い的に言えば相当色調整が要る。 こいつもしかしないでも、芸術家的才能あるんじゃないかな。 伝統工芸作りに行けば、たぶんもてはやされるエースになるぞ。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 21:59:09
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

だが、これを他に誰も口にしなかった事を思えば、俺一人で済んで良かったってことか。 中に入ってる旨そうなブリの刺身や、ローストビーフたちに黙祷。 この作戦で失われた命にも、真摯に祈りを捧げよう。 これ、長門にでも頼み込んで修正しないと将来がヤバいぞ。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:03:04
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「と、いうわけでごちそうさん。なあ、磯風。お前のがんばりは認めるが──」 酒を口にして消毒しながら、俺は言う。 「想像で作った飯はご覧の通り、現実に負けるんだ」 「……。はまかぜも、うらかぜも、笑顔で私を台所から追い出すんだ」 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:04:33
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「谷風に至っては、私を追い出す時にゴキジェットとかをつかうんだ」 「……まあ、それはやり過ぎだと思うわ」 うむ。磯風の冬の時代があったんだな。 大丈夫、長門ならきっと何とかしてくれる。 あいつは、正しいやり方を知ってる。 お前の師匠になってくれるさ。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:14:36
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「なあ、磯風。長門に頼んでみないか」 「……」 「あいつ料理は、できる方なんだ」 「わたしでも、おしえてくれるか」 「きっと大丈夫だ。お前が女子を目指すなら、教えてくれるさ」 「……」 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:17:26
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そう、接着剤も、絵の具も要らないんだ。 お前には食べられる料理を作る手段があるんだ。 この、ちょっとだけカビた栗きんとんとか、お前の手で作られた物なんだし。 女子力をちゃんと持ってるんだ。 そこで冷静になったけど、絵の具と接着剤ってホントねえよな!? #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:19:41
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

まあ、そこらはおいとき。 磯風は顔を上げて、俺の前に立つ。 手を差し出した俺に、あいつは手を伸ばし── 「司令」 「おう」 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:21:46
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

俺の方に手が置かれ。 ──あれ? この手握るのどうなったの? #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:22:11
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「すまない」 「お、おう?」 「吐 く」 ごも、と口からなんか出てた。 それはたぶん酒であり── #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:23:16
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「おぶ……っ おろろろろ……」 じゃばばばばばばばば。 次の瞬間俺の頭にだばだばとテキーラだった物&ブリのかけらが降り注ぐのだった。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:24:36
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

俺は悲鳴を上げる暇無く、もろに酒とお正月のおもちだった物とかを浴びたわけでして。 磯風がグロッキー状態で俺にもたれかかってくるのを、手で必死で支える羽目になったわけで。 そしてその上で、こんな声がかかったのだ。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:26:51
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「兵頭っち。それ何プレイ?」 新年から最高にやなものみたわー っていう顔した北上様が、そこに居たのだった。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:28:10

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「つーわけで、年始からなかなかな地獄を味わったわけなんですよ俺」 「そうだったか。で、飲むか」 そして、その後。 着替えたり、磯風を医務室に運んだり、新年早々ゲロ片付ける羽目になった北上様に平謝りしたりして。 いろいろ済ませて、俺は長門の部屋に居た。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:45:53
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

新年の長門&陸奥ルームは、先ほどまで居た地獄とはまるっきし無縁。 綺麗に整理された部屋に、ふかふかホットカーペット。 さらにはちょこんと飾られた正月飾り&鏡餅まである。 ──磯風よ、これが女子力だ。 そう教えたくなるようなお部屋であった。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:50:30
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「酒もいいけど、実は相談があるって話なんだわ」 「それはもしかして磯風の事かな?」 さすが察しが早い。 あいつはちゃんと『料理』という法則を知らないといかんと思ったわけですよ。 本人の女子力うんぬんは、たぶん本気だろうし。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:54:01
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「そう。あいつに料理も仕込んでやってくんね?」 「ふむ──その行為だが、私の利はどこにある?」 わ、にやにやしながら言ってる。 そりゃそうだよな。料理教室だってタダってわけじゃねえ。 だが、俺は長門の求める『利益』を具体的に提供できない。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 22:58:02
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

それをわかって言ってるんだな、この長門っていう意地悪大好きなの。 面白い答えで無いと、お断りするでござるという姿勢だ。 「……。あーっと」 「じゅーう」 え、カウントダウン付くの!? 年始から厳しくねえか、メスゴリラ。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 23:01:21
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「きゅーう、はーち」 「待てって。話を急ぐなってばさ」 「やだ♥」 ぺろっと舌を出して仰る。 お前時々相当子供っぽくなりますね!? おじさんをつついて楽しいのかって思ったけど、考えてみりゃそういう奴だ。 こうして時々猫成分が出てくる。ライオンか。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 23:03:37
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あーわかったじゃあ、こうだ」 「どうかな?」 考えろ。 考えろ考えろ。 考えろ考えろ考えろ。 考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ。 こいつが年始から楽しいなあ、って思える磯風の答えを。 外したら、磯風の女子力計画は吹っ飛ぶんだからな。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 23:05:41
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「お前によりよく懐くぞ。お前以前から、磯風の事なんとなく妹キャラ認定してるよな」 「ふむ──」 目を細めた。 肉食獣めいた目線である。 「できるお姉ちゃん持ってる妹みたいになるかもしんないな」 「……なるほど」 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 23:08:33
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「兵頭」 「おう」 「磯風は妹に見えるか?」 「それはこれからのお前次第」 その言葉に、長門が口の端を上げる。 #不知火に落ち度はない

2016-01-19 13:28:02
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「わかった」 お。 「引き受けたよ。格闘訓練の後に、少しずつでいいな」 「さんきゅ。素材代は──」 「ああ。わかってる。ステーキ換算しておく」 そのカウントやめて。何枚目になってるの今。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 23:11:45
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「なんなら朝までマラソンでもいいぞ♥」 「わー。それ何日分よー」 「ひーふーみー……」 え、うっそ。 そんなに貸し溜まってる!? いつのまにか長門への借金が雪だるまになってますけど俺。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 23:17:09
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「返してくれるよな、兵頭♥」 「鋭意努力しますってばさ」 「よし、じゃあ酒と行こうか。陸奥、雑煮の具合はどうだ?」 「はいはーい。もうすぐできるから机の上あけてー」 ひょっこり顔を出すむっちゃん。 相変わらずエプロン似合うねむっちゃん。 #不知火に落ち度はない

2016-01-18 23:20:07
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