病理医、Dr.ヤンデルはなぜ病理医になったか

天才病理医、ドクターヤンデルの告白をまとめました
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病理医ヤンデル @Dr_yandel

@Mp217K おまたせしました。たまたまもう一人の方もおなじように「なぜ病理医になろうと決めたのか」という質問をくださいました。タイミングがいいのでこの後ツイートしてみます。よろしければご覧ください

2016-01-27 19:56:34
病理医ヤンデル @Dr_yandel

@masa6111 ちょうどこのご質問の直前に、ほかの方からも同じ質問をうけましたので連続ツイートさせていただきます。よろしければそちらをご覧ください。

2016-01-27 19:57:18
病理医ヤンデル @Dr_yandel

とても仕事が終わる気配もなく、へたするとフラジャイルも見逃し配信を見なきゃいけない状況なのですが、そんな中たまたまお二人の方からほぼ同時に「ヤンデルはなぜ病理医になろうと思ったのか」を聞かれましたので、やけくそでこれにお答えしようと思います。以前にも何度か書いたことはあります

2016-01-27 19:58:32
病理医ヤンデル @Dr_yandel

学生時代の組織学実習、病理の顕微鏡実習にはなんの思い出もありません。強いて言えば、当時のわたしは(今のわたしもですが)、サイトメガロウイルス感染細胞の核内封入体をみつけて喜んだり、腎臓の糸球体に沈着する構造物を見て納得したりする意味がわかりませんでした。

2016-01-27 19:59:32
病理医ヤンデル @Dr_yandel

そんな間違い探しのような、「絵合わせ」のようなものにわたしはまったく学問の色を感じていませんでしたし、医学部3年生のころは普通に臨床医になるかなと思っていました

2016-01-27 20:00:04
病理医ヤンデル @Dr_yandel

きっかけは酒と人柄です。よくある話です。病理の基礎講座がしょっちゅう酒盛りをしていると聞き何度か顔を出しました。すると、朝にRobbinsという英語の教科書を読む会をやっているという。英語の勉強がしたいのと、サンドイッチが出るからというのでその勉強会にも参加しました。

2016-01-27 20:00:53
病理医ヤンデル @Dr_yandel

酒やパンの勧誘をもとに寄っただけの基礎講座には、しかし、学問らしきものがあるように感じました。当たり前です。何も知らない医学部の3年生、ただ情報処理能力だけが高くて望んだ学部に入っただけの21歳です。おとなが本気で働いているところに肉薄すれば、それは何かしらの感動があります

2016-01-27 20:01:51
病理医ヤンデル @Dr_yandel

もともと「頭がよいだけがとりえ」の人間です。少なくとも自分は「学問をすべきである」と考えました。「人を助けたいから医学部」というのではないです。「最も成績がよいから医学部」のクチでした。ですから、「基礎研究をしてNatureにばんばん載せる」ことが目標だと思ったのです。

2016-01-27 20:02:44

編注:Nature 小保方が掲載を狙った雑誌。これに論文を載せて引用されると偉くなれる雑誌。当然英語でしかも査読があるのでウソやパクリはアウトである。
http://www.nature.com/nature/index.html

病理医ヤンデル @Dr_yandel

大学4年生の春から病理の基礎講座で研究をはじめました……といえばきこえはいいですが、実際にやっていたのは研究ではなく「実験」です。お手伝いです。PCRやWestern blotをすることが研究ではないのですが、当時のわたしにはとても楽しかった。こ

2016-01-27 20:03:27

PCRポリメラーゼ連鎖反応(ポリメラーゼれんさはんのう、polymerase chain reaction, PCR)DNAを増幅する理論及びその方法

Western Blot
抗体を用いてタンパク質の存在を検出する手法http://www.funakoshi.co.jp/contents/53097

病理医ヤンデル @Dr_yandel

こうして、剣道部とバイトの隙間をぬって大学院の講座に通いました。その際に、生命科学の研究とは別に「病理診断」も学ぶことになりましたが、この段階でもまだ病理診断医という存在にはあまり魅力を感じていませんでした。

2016-01-27 20:04:08
病理医ヤンデル @Dr_yandel

このあたりは以前も別のものに書いたのですっとばしますが、わたしは大学院では「別に頭がよくなかった」ことを知ります。Natureに載せまくるどころか、英文論文も一本も書けませんでした。失意の中、「病理にいたわけだから病理医にでもなれるかな」、そういう気持ちがめばえたのは本当です

2016-01-27 20:05:08
病理医ヤンデル @Dr_yandel

しかしことは実際にはもう少し複雑でした。なんとなくのバイトのつもりでやっていた病理診断は、学生時代の組織実習とは全く違うものだったからです。 臨床医以上の知識と臨床医以上の知恵を、診断・治療・維持のうちの「診断」だけにつぎ込むという猛烈なプロフェッショナルだったのです。

2016-01-27 20:06:23
病理医ヤンデル @Dr_yandel

大学院を逃げるように卒業したぼくは、縁あってとある市中病院に就職します。医局の人事ではありません。単独で入った病院です。ここでまじめに給料を稼ごう、そう思いました。しかしボスが言いました。 「大学院を出た程度の君では、うちの診断は無理だよ。」

2016-01-27 20:07:29
病理医ヤンデル @Dr_yandel

わたしは正直、「病理診断」を基礎研究よりも一歩下に見ていたので、その言葉には打ちのめされました。しかしボスは続けて言いました。「半年だけあげるから東京で勉強しておいで。」 子供が生まれて1週間後、わたしは築地にいました。

2016-01-27 20:08:30
リンク www.ncc.go.jp 国立がん研究センター中央病院 (東京都 築地) 国立がん研究センター中央病院の公式サイトです。
病理医ヤンデル @Dr_yandel

築地での半年は今でも鮮明に思い出せます。学部時代の病理の勉強に不平不満をぶつけていたタイプの、がちがちの体育会系臨床医たちが、「病理を求める臨床医」として猛烈に顕微鏡をのぞいています 「自分の専門分野を極めるために、病理にも強くなるんだ!」 彼らのモチベーションは圧倒的でした

2016-01-27 20:09:50