後藤武著『ファーンズワース邸/ミース・ファン・デル・ローエ』(読書メモ)

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未発育都市 @mihatsuikutoshi

18世紀半ばに空想された「原始の小屋」などのいわゆる「起源」については20世紀に入ってから、例えば人類学者のクロード・レヴィ=ストロースによってより詳細な実証研究がされている。未開社会はロージエが空想したものとはかなり違う。

2015-11-13 18:44:39
未発育都市 @mihatsuikutoshi

もちろん、レヴィ=ストロースは名著『悲しき熱帯』 amazon.co.jp/dp/412160007X で「ルソーは、哲学者のうちで最も民族学者だった。…文献資料に基づく彼の知識は、その時代の人間にとって可能であった最も完全なもの」であった、と述べている。

2015-11-13 18:50:01
未発育都市 @mihatsuikutoshi

また、建築家の原広司はミースの「均質空間」を批判していたが、原広司はレヴィ=ストロースと同様に集落を調査した人である。原広司が世界各地で見たリアルの集落はロージエが空想した「原始の小屋」とは違っていたわけだし、また、原広司は自身の調査から「様相」というキーワードを引き出している。

2015-11-13 19:01:06
未発育都市 @mihatsuikutoshi

というか、「ファーンズワース邸」から僕のアイコン建築論 twitter.com/mihatsuikutosh… へと全く接続できないな、と思えるので、途方に暮れている。(←

2015-11-13 19:05:13
未発育都市 @mihatsuikutoshi

【これからの建築】拙稿「形態はアイコンに従う(Form follows icon)――情報化時代に適合する新しい建築をめざして」 d.hatena.ne.jp/baby_theory/20… pic.twitter.com/huDqO6k4cY

2015-11-12 19:17:57
未発育都市 @mihatsuikutoshi

いずれにせよ、改めて感じるのは、同じ「モダニズム」であっても、アドルフ・ロースやル・コルビュジエとミースとでは全然違うんだな、ということ。まぁ、それは当然と言えば当然なのだが、「モダニズムとは~」と一括りでは言えにくくなるデメリットもある(どんなだ

2015-11-13 19:10:23
未発育都市 @mihatsuikutoshi

まぁ、『ファーンズワース邸/ミース・ファン・デル・ローエ』 amazon.co.jp/dp/4487800986 はぼちぼち読む。今、僕がツイートしたことはこの本の後半に書かれているかも知れない。

2015-11-13 19:11:59
未発育都市 @mihatsuikutoshi

ただ、この本は、例えば、僕がかつて愛読していたSD選書のディヴィッド・スペース著『ミース・ファン・デル・ローエ』 amazon.co.jp/dp/4306052044 などとは書かれていることが全然違うので、どこまでおススメできるかは分からない。筆者はミースに関する膨大な資料を(続く

2015-11-13 19:18:46
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)読み込んだうえで、そこから既存のミースに関する言説を解体して「新しい線を引く」ということをやっている。それは並大抵のことではない。良書であるのは間違いない。

2015-11-13 19:21:56

庭のパララックス

未発育都市 @mihatsuikutoshi

後藤武著『ファーンズワース邸/ミース・ファン・デル・ローエ』 amazon.co.jp/dp/4487800986 の第1章の「庭のパララックス」を読んだ。まず庭について「ピクチャレスク」の解説から始まる。これは「17世紀風景画を範として、絵の主題としてふさわしい風景を指す用語」(続く

2015-11-14 00:06:15
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)として使われ始めたが、やがて「風景画に描かれる対象そのものを新たに造形化、現実化しようとする庭園制作のブーム」に発展したとのこと。まぁ、例えば、イギリスのピクチャレスクの庭園はまるで絵の中にいるような世界!だけど、実際に絵の中の世界を現実化した庭園なのだ、ということです。w

2015-11-14 00:08:07
未発育都市 @mihatsuikutoshi

そして、ピクチャレスクの理論家は「風景が人間にもたらす喜びは、多様性と複雑さである」「一気に全体が与えられるのではなく、常に隠された部分があることによって好奇心を刺激する」と論じ、やがて「観察者の移動によって絶え間なく変化する不規則さを生み出す」風景式庭園の技法が確立されていく。

2015-11-14 00:12:11
未発育都市 @mihatsuikutoshi

次に「パララックス」について。これは昨夜ツイートしたように「観察者の位置の変化にともなって、対象物が見えがかり上移動して見えること」の意で、これは18世紀半ばの古代ギリシャ・ローマの遺跡の発掘によって発見された、とのことです。この視覚効果が古代建築では頻繁に用いられていたのです。

2015-11-14 00:14:50
未発育都市 @mihatsuikutoshi

そして、やがて庭とパララックスの統合、即ち、「ピクチャレスクな視覚体験と古典主義の形式性の統合」が行われていくことになる。ここまでは18世紀の話。19世紀に入ると、ドイツの新古典主義の建築家のシンケルがこれらの統合を更に追求し、そのシンケルの後継者がミースなのである、という流れ。

2015-11-14 00:18:10
未発育都市 @mihatsuikutoshi

例えば、ミースが設計した「バルセロナ・パヴィリオン」(1929年)について筆者は「ほとんどランドスケープ・デザインだと言ってもいい」と述べている。また、ミースが1930年代に集中的に発表した一連の「コートハウス計画」でもミースは「庭の中に住むかのような空間を作り出しています」と。

2015-11-14 00:21:50
未発育都市 @mihatsuikutoshi

というわけで、次の第1章の「時間の建築術」へと続く。今日は終わり。寝る。まぁ、この先は前述の「コートハウス計画」を更に徹底・純化・還元化したのが「ファーンズワース邸」(1951年)なのである、という流れになるのだと思います。

2015-11-14 00:23:25
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)実際、「ファーンズワース邸」(画像)は建物はガラス張りで周りは樹木に囲まれているので、まるで「庭の中に住むかのような空間」になっています。(画像はこの本の表紙より。 amazon.co.jp/dp/4487800986pic.twitter.com/rGhCRDykF2

2015-11-14 00:32:04
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未発育都市 @mihatsuikutoshi

まぁ、要するに、ミースが設計した「ファーンズワース邸」は当時の最先端技術であった鉄とガラスを用いているけど、その一方では、とても歴史(西欧建築史)的である、ということなのだと思います。それは決して「ユニヴァーサル・スペース」でも「均質空間」でもないよ、というわけです。

2015-11-14 00:33:55
未発育都市 @mihatsuikutoshi

言い換えると、建築家はそれほど交通整理された状況のなかで建築をつくっているわけではない、ということなのかも知れません。

2015-11-14 00:34:54

時間の建築術

未発育都市 @mihatsuikutoshi

後藤武著『ファーンズワース邸/ミース・ファン・デル・ローエ』 amazon.co.jp/dp/4487800986 の第1章の「時間の建築術」を読んだ。面白かった。少し引用すると、「ミースは20世紀の初めに近代建築を考えるに際して、近代にふさわしい「原始の小屋」を構想しようとしました」

2015-11-14 23:56:04
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)「ミースはファーンズワース邸の建築の意図として、自然と建築との、より高次な関係を生み出そうとしたと語っています」「住宅は周辺の自然の変化を刻々と反映していきます。自然とともに生きることを目指した住宅が、ファーンズワース邸なのです」など。

2015-11-14 23:56:54
未発育都市 @mihatsuikutoshi

また、ファーンズワース邸は中央のコアの回りをぐるっと一周することができるシンプルな平面計画なのだけど、「実際に空間に身を置くと、キッチンにいるときは他のスペースは見えない」「動かなければ個室とほぼ同じ」「動き始めると、他の部屋が現れてくる」「想像されるほどオープンではない」(続く

2015-11-15 00:02:46
未発育都市 @mihatsuikutoshi

続き)「絶妙なプランニング」「厳密に場所を作って、そこに個性を与えている。そしてその場合性につねに自然の時間が作用している」などなど。つまり、ファーンズワース邸はこれらのような絶妙な「時間の建築術」の連鎖によって作られている、というわけです。決して「均質空間」などではないのです。

2015-11-15 00:04:03
未発育都市 @mihatsuikutoshi

というわけで、今日は終わり。まぁ、この本の峠は越えたかなという感はある。次は同じく第1章の「事態と偏在」です。第1章の最後の節です。ぼちぼち読む。(ぼちぼち

2015-11-15 00:07:33