(新連載まとめ4)朝の三分小説〜おかん〜(木崎湖の思い出編)

カメックスシ @agodenderu

おかん主題歌「友情パノラマウェイ」 初めて出逢ったのはアイガー北壁だったね はじめは喧嘩もしたけど 今では(二番目に)最高の友達 困った時はパノラマウェイで駆けつけるよ 誰よりもはやく、疾く 疾きこと風の如く 徐かなること林の如く 侵掠すること火の如く 動かざること山の如し

カメックスシ @agodenderu

おかん三十四 病院から追い出されたおかんが白馬村へ大糸線でたどり着いたのは日も北アルプスの山に沈み始めた頃だ。白馬駅に降り立ったおかんが目にしたのは無数の矢じりの刺さった人骨と足湯であった。ここは未だに内戦の絶えない紛争地帯である。

カメックスシ @agodenderu

おかん三十五 おかんはとりあえず足湯に入浴剤を入れて入ってみた。よく見ると足湯の回りには無数の石膏で出来た人形が立っている。 「ここって天然温泉なのかな」

カメックスシ @agodenderu

おかん三十六 その疑問に答えたのは武者の格好の男である。 「ここは天然温泉ですぞ、そして、その人形は元は人間だったのじゃ」 「そして、俺が元は石だったサーファーのユージさ☆」

カメックスシ @agodenderu

おかん三十七 「なんなんですあなた達」 「わしは民間軍事企業グランドサイバーの山崎美濃じゃ、そして、こっちがサーファーのユージ☆」 「とりあえず君たち村を離れた方がいいよ☆別に石にされた人なんて気にしてないしね☆いや、本当に気にしないんで☆」

カメックスシ @agodenderu

おかん三十八 「わかった立ち去る、それと石になった人はぬるま湯で薄めたお酢で拭けば治るっておばあちゃんが言ってましたよ」 「本当だ、治ったぞ」 それからおかんはめんどくさい事に巻き込まれないように風の様に村を去り、白馬村では伝説の救世主的な扱いを受けるようになる。

カメックスシ @agodenderu

おかん総集編八 おかんは白馬村の一部の人達を救いました。そういえば昨日はルミナリエに行って来ました。今年は例年よりも色鮮やかに見えました。これも電球からLEDに変更になった影響かもしれませんね。そして、一通り写真を撮った後はいつものピザ屋に行ったのでした。

カメックスシ @agodenderu

おかん三十九 白馬を離れたおかんは大糸線でさらに南へ進み、途中から乗車してきた列車強盗、略して列&強を蹴散らして、湖へと差し掛かった。 「ここは……」 おかんが降りたのは信濃木崎駅、なにもない無人駅だが割と思いでの土地であったりする。

カメックスシ @agodenderu

おかん四十話 信濃木崎駅からドラゴンに乗って十五分、おかんが目指したのは車内から見たあの木崎湖であった。 「なんなのここ、自殺でもするの？」 ムーンライトさだみつはソフトクリームを食べながらけん玉をしていた。

カメックスシ @agodenderu

おかん四十ー 「ここはムーンライトさだみつの父さんとおかんが始めて出会った場所なのさ」 ドラゴンがソフトクリームを食べながら答えた。 「僕にも父さんがいたのか、ツイッターで拡散しないと」

カメックスシ @agodenderu

おかん四十二 それはまだおかんが十七歳の夏、年中夏休みのおかんは本当の夏休みを利用して木崎湖に来ていた。 「おお、木崎湖だ。煮込みてぇ」 そんなことを考えながら主食のデラックスセレブのり弁当を食べていた時である。

カメックスシ @agodenderu

おかん四十三 おかんはいつの間にかゾンビ佐藤達に囲まれていた。ゾンビ佐藤とは分かりやすくいえばゾンビになった佐藤である。 「まて、この弁当はあげないぞ、ほらあっちいけ、まて話せばわかる」

カメックスシ @agodenderu

おかん総集編九 先日もし「おかん」がテレビドラマ化した場合、放送出来ないような不適切な表現が見受けられるとの苦情が相継ぎました。よって次回からは適切な「おかん」を連載させていただきます。

カメックスシ @agodenderu

おかん四十四 ゾンビ佐藤は湖の中から現れた泉の女神に機関銃で吹き飛ばされた。 「あぶねぇ所だったなブラザー、このストリートはメープルシロップとゾンビ佐藤の多さじゃカナダ市にも負けねぇぜ」 二人はゾンビ佐藤を天ぷらにした。

カメックスシ @agodenderu

おかん四十五 二人は湖畔でゾンビ佐藤の天ぷら専門店を開き、メープルシロップをかけて食べるそれはやがて木崎湖の名物となった。 そして、数年の月日が立ち、一部上場を果たしたが竹村ピラフ(株)に買収され、外資系企業として武器を売りながら天ぷらを売っていた。

カメックスシ @agodenderu

おかん四十六 順調だった経営はある日崩壊して、おかんは経営者としての決断を迫られる事になる。ゾンビ佐藤が廃盤になり製造は打ち切りになったが、新盤のゾンビ斎藤では今の味を再現することは不可能だった。 「こうなったら製造元に殴り込んでダイナマイトで和解したる」

カメックスシ @agodenderu

おかん四十七 おかんがゾンビ養殖センターに殴り込むとクレーム対応をするのは所長のゾンビ内藤であった。 「既に県内の佐藤はほとんどゾンビにしたけん、うちは県内産の素材を使うって決めとるばい、そいで斎藤に変更したんよ」 おかん怒りの火炎放射(威力15)が炸裂した。

カメックスシ @agodenderu

おかん四十八 おかんは腹いせに豆乳を撒いてから建物に火をつけて帰った。そして、その翌週に運命の人物が湖畔の家を訪ねる。 「お前がおかんか！俺はゾンビ内藤に雇われた十二人の殺し屋の一人、大垣サービスエリアさ。これから毎週末一人ずつ刺客がお前を殺しにくるぞこれは復讐だぞ」

カメックスシ @agodenderu

おかん総集編十 皆殺しにされた第五百二十二回木崎湖将棋大会の参加者の中で唯一生き残ったおかんは囲碁を始めることになった。そして、途中でサナギになったりしたが無事にプロ棋士になったおかんは間違えてオセロ大会に参加してしまい、その内側から溢れるオーラで参加者を皆殺しにしてしまった。

カメックスシ @agodenderu

おかん四十九 サービスエリア大垣の無期限二刀流におかんは追い詰められていた。無期限二刀流とは斬られると発ガン性のある大刀で敵を追い込み、千羽鶴で出来た鞭で敵に地味なダメージを与える流派である。 「駄目だスーパーおかん２でも歯が立たない、こんな時税理士がいてくれたら助かる」

カメックスシ @agodenderu

おかん五十 もう死んで幽霊探偵になるしかないと思った時、泉の女神が大垣サービスエリアを後ろから羽交い締めにした。 「今だぜブラザー、私に構わず殺るんだぜ」 「刺貫広域爆裂波ァ」

カメックスシ @agodenderu

おかん五十ー 大垣サービスエリアと湖の女神は衝撃で吹き飛ばされ木崎湖に落ち、湖の女神はすぐに出てきたがその両手には 「貴女が落としたのは無期限二刀流を極め年老いてなお天下無双の大垣サービスエリア？それとも可能性に満ち溢れた赤ちゃんの大垣サービスエリア？」 「じゃあ赤ちゃんの方で」

カメックスシ @agodenderu

おかん五十二 「そのおかんが引き取った赤ちゃんがムーンライトさだみつという訳さ」 「あっ！？えっ！？」 いまいちドラゴンの話すことが理解出来ないムーンライトさだみつであったが、自分の出生について深く考えてはいけないということだけは理解出来たのであった。 「木崎湖の思い出編」完