黄昏のブッシャリオン▲第二章▲

オリジナル徳パンク小説「黄昏のブッシャリオン」第二章です。
2
前へ 1 ・・ 3 4 ・・ 9 次へ
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

◆黄昏のブッシャリオン◆第二章・第十三話へ続く ※本日のブッシャリオンTipsはお休みです

2016-01-18 22:12:06
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

◆原作者補足◆ 運営チームは今回の更新に疑問点があったため、原作者を捕獲して問い詰めました。 原作者「今回の得度兵器は扉をこじ開ける必要があったため徳エネルギー兵器と通常エネルギー兵器を併用しています。字幅の都合でその辺の描写は省略されました」 だそうです。

2016-01-18 22:16:04
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

◆黄昏のブッシャリオン◆第二章・第十三話「共存」

2016-01-19 21:00:23
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

ズズーン……ズズーン…… 大地を震わせながら、巨大仏像型得度兵器タイプ・ミロクMk-Ⅱがガンジーとクーカイに迫る。このままでは、彼等は徳エネルギー兵器によって瞬く間に解脱させられてしまうであろう。 「逃げるぞ!おい!」 ガンジーはクーカイを引き摺るようにして走る。

2016-01-19 21:04:09
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

幸い、得度兵器の移動速度は遅い。 「クーカイ、おいクーカイてめぇ!呆けている場合か!」 「……逃げて、どうする」 だが、クーカイは諦め始めていた。無理も無い。得度兵器という未知の脅威。しかも、それを呼び覚ましたのは彼等自身なのだ。自業自得である。

2016-01-19 21:08:06
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「このまま成仏すれば、お前も家族に会えるかもしれんだろう……」 ガンジーの家族は、彼一人を残して成仏している。 「こン野郎!」 だが、ガンジーはクーカイを張り飛ばした。 「俺はなぁ……生きるって決めたんだよ。非暴力なんざクソ食らえだ。ここで終われねぇんだよ!」

2016-01-19 21:12:14
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「だが……どうする」 クーカイは、切れた口角から流れる血を拭う。 得度兵器の全高はガンジー達の10倍以上。仮に建物に隠れても、先ほどと同じ徳エネルギーバーストで吹き飛ばされるだろう。入滅待ったなしである。 「少しは、目ぇ覚めたみてぇだな」 「ああ……気になることが、できた」

2016-01-19 21:16:02
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「なんだそりゃ」 「人気が無い。これだけ暴れ回っているのに、誰も出てこない」 「……!」 クーカイに言われ、ガンジーは周囲を見回す。 確かに、これだけ境内で騒ぎが起こっているというのに、野次馬ひとつ見当たらない。

2016-01-19 21:20:02
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「もしかすると……この街の人間は、得度兵器のことを知っているのか」 「どういうことだ!?」 クーカイは仮説を組み立てる。得度兵器の目的は、恐らく徳エネルギーの確保である。徳を積みながら生きるこの里は、徳に満ちている。あの住職は……エネルギーを分ける、そう言っていた。

2016-01-19 21:24:02
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「この街は……あの得度兵器と共生、いや、『飼われて』いるのか」 「なんだって!?」 「少しは自分の頭で考えろ!」 二人は走り続ける。だが、機械仕掛けの涅槃はすぐそこまで迫っている。 「どうすりゃいい!」 「住職だ!住職のところへ向かう!」 二人はターンし、寺の方丈を目指す。

2016-01-19 21:28:03
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「おい、住職!起きてるか」 力任せに扉を破り、二人は建物へと転がり込んだ。 「寝てるんじゃねぇか」 「余程の寝付きの良さだな」 「……待て、何か聞こえる」 ガンジーは耳を澄ます。得度兵器の歩行音の合間に……微かに、声が聴こえる。 「念仏だ」

2016-01-19 21:32:04
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「この非常事態に何を」 「こっちだ!」 声を頼りに進んだ先に二人が見たものは……穏やかに経文を唱える、住職の姿であった。 「……何を、されているのですか」 クーカイは、住職に向かって声をかける。経文が止まる。ズズーン……ズズーン……と、得度兵器の足音だけが、夜の静寂の中に響く。

2016-01-19 21:36:05
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「……経を、読んでおりました」 平然と答える住職。 「てめえ……!」 住職に掴みかかろうとするガンジーを、クーカイは手で制した。 「理由を、お聞かせ願えるか」 「……この里の住人は、皆徳を積んでいます」 「解脱するために」 住職は浅く頷く。

2016-01-19 21:40:07
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「ゆえに、救いを齎す得度兵器と、我々は共に生きていくことができる」 「……!」 ガンッ、と鈍い音がする。ガンジーが、拳を思い切り床へ叩き付けた音だ。 「だから、得度兵器をなすがままにしている、と」 「……ええ。今回は、貴方方が起動させた様子ですが」

2016-01-19 21:44:03
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「そんなのは……死んでるのと、同じだ」 ガンジーは絞り出すように言った。 「……拙僧には、わかりませぬ」 住職は、穏やかに言葉を続ける。 「徳を捨てて足掻く貴方方と、解脱のために、徳を積み続ける我々と……どちらが、『生きている』と呼べるのか」

2016-01-19 21:48:06
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「行くぞ、ガンジー」 クーカイは、ガンジーの肩に手をかける。 「ここには、何も無かった」 「……いや。最後に、一つだけ聞かせろ」 ガンジーは感情を押し殺した声で尋ねる。 「『仏舎利』だ。どこにある。ラマ・ミラルパとかいう爺さんに、ここに手掛かりがあるって聞いたぞ」

2016-01-19 21:52:03
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「……仏舎利」 「どこにある」 「我々も、それを持っている訳ではありません。噂こそ聞きますが……何処にあるかまでは」 「……そうか」 「まぁ、持っていれば、全員でとっくに解脱してる筈か……もう行くぞ、ガンジー。得度兵器がここに来る前に」 「……どうか、お気をつけて」

2016-01-19 21:56:02
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

返事を返す暇も惜しみ、二人は駆け出す。 ……二人を見送った徳心住職が、再び経文を唱えようとした直後。その肉体を徳エネルギーのビームが焼き、彼は無事、解脱を遂げた。

2016-01-19 22:00:25
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

◆黄昏のブッシャリオン◆第二章・第十四話へ続く

2016-01-19 22:13:35
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

◆お知らせ◆ Twitterの不調のため、投稿の確認が困難となっています。ツイートの重複や送信失敗が発生している恐れもあるので御容赦ください

2016-01-19 22:16:21
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

ブッシャリオンTips タイプ・ミロク タイプ・ブッダをベースとした拠点防衛型得度兵器。火力と解脱性能はタイプ・ブッダよりも向上しているが移動速度と燃費は低下している。タイプ・ミロクMk-Ⅱは更にそれに手を加え、偽装能力とアイドル時の燃費を向上し長期作戦に対応した試作型である。

2016-01-19 22:19:04
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

◆黄昏のブッシャリオン◆第二章・第十四話「計画」

2016-01-20 21:00:18
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「……あの住職、笑ってやがった」 ガンジーは吐き捨てる。 「徳を積み続けるならば、それは確かに祝うべきことだろうからな」 クーカイは答える。徳に溢れる街は今、人を強制成仏へと導くブッダ・エクス・マキナ、『得度兵器』によって蹂躙され、地獄……否、浄土に最も近い場所と化していた。

2016-01-20 21:04:03
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「で、俺達はどうする?このまま天国にでも行くか?それとも逃げるか?」 まさか、とガンジーは笑う。ここで死ぬ気など、二人には既に欠片も無かった。徳エネルギーを奪い、生き延びる。彼等が、今までずっと、そうしてきたように。 「あの得度兵器(デカブツ)を仕留める」 答えは、決まっていた。

2016-01-20 21:08:05
黄昏のブッシャリオン @tsbsrion

「正気か?」 「死んでも極楽とやらに行けるんだ。悪い賭けじゃない、そうだろ?」 「……はは、それもそうか」 クーカイも釣られて笑う。 「何より、このままじゃあ腹の虫が収まらねぇ」 「尤もだ。で、勝算はあるのか?」 「これから考える」 「ああ、手伝おう」

2016-01-20 21:12:07
前へ 1 ・・ 3 4 ・・ 9 次へ