認知症関連で損害賠償請求された場合の最高裁判決についても弁護士の考察

とりあえず目にした範囲の弁護士の考察をまとめました。
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とりとく @tkbei

成年後見人であるか否か,家族であるか否かにかかわらず,深く本人の介護に関わるほど「第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情」が認められやすくなる懸念あり

2016-03-01 20:04:15
とりとく @tkbei

成年後見人が監督義務者でないとすれば,一連の法改正の中で民法714条の趣旨が没却されることになるのではないか(成年後見人を同条の監督義務者とすべし)との大谷意見に留意しておく必要あり。

2016-03-01 20:10:08
とりとく @tkbei

今回の最高裁判決は,一見,家族や成年後見人に責任を問われることはないような印象を与えるかもしれないが,「監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情」という規範の当てはめ方によっては(事例によっては)結論がどちらにも転び得るという点にも,着目しておく必要がある。

2016-03-01 20:15:02
とりとく @tkbei

その意味で,岡部意見と大谷意見が,結論としては責任を認めなかったものの,認知症本人の長男Y2を民法714条1項の法定監督義務者に準ずる者だとしているのは,少しも奇異なことではない。

2016-03-01 20:19:45
紫苑@療養中 @shionygr

一読した限り、奥さんも相当なお婆ちゃんだったことが決定打になっていて、介護する側にとってそんなに喜べる判決ではないような…。

2016-03-01 19:28:33
紫苑@療養中 @shionygr

監督者にすら当たらないから、義務履行違反を判断するまでもなく棄却、という風に読むべきか?そうすると、お婆ちゃんとか別居の息子じゃなくても、介護内容によって棄却の道を作れる。そうすると、法廷意見が最も家族寄りになる、か?

2016-03-01 19:58:39
紫苑@療養中 @shionygr

そうすると、第二ラウンドとして、元気で同居している家族がいる場合の、義務違反の有無、というのが出てくるな。今回の判決では、そこについては何も判断せず、といったところか?

2016-03-01 20:05:10
紫苑@療養中 @shionygr

そうすると、本当に社会に大きな影響を与えるのは、第二ラウンドということになるかも。

2016-03-01 20:14:42
やぎ @ora3298

別にこっちの要件で切ったとしても、別のケースでは「怠らなかったとき」でも切れるんだからそれはそれでいいじゃんな

2016-03-01 19:52:46
やぎ @ora3298

問題はむしろ713条の方なんだろうな。 落とし所としては、行為者本人がその財産の限りで損害賠償の責任を負うというところが一番良いのではないかと思うんだが(相続すれば相続人が責任を負い、放棄すればその財産限りの責任となる)、現行規定では713条のせいで本人に帰責できない

2016-03-01 19:59:12
やぎ @ora3298

まあ、社会全体のリスクとして国が負担するのが一番なんだろうな

2016-03-01 20:01:14
やぎ @ora3298

横領したら特段の事情にならなくてすみますか

2016-03-01 20:05:57
やぎ @ora3298

それがどのようなシステムかを客観的な証拠をもとに立証できない(少なくとも開示しない)のにもかかわらず、その存在を前提とした証言を立証に使うというのは、極めて不公平だと思うんだが

2016-03-01 20:12:56
むにょ @blaustern823

そもそも、認知症や知的障害など、行動制御に障害のある人に対し、不慮の事故を防ぐという内容の「監督責任」なんか観念しうるのか?→RT

2016-03-01 20:12:06
むにょ @blaustern823

ていうか、まだ判決読めてない…(´・_・`)

2016-03-01 20:21:06
やっしー @yassi___

請求棄却でした。 (理由付けについては思い切った判断だなぁと。。)

2016-03-01 20:36:28
たろう teacher @tomo_law_

今後、国は、国策として「ちょっとやそっとの認知症で施設には入れると思うなよ」という方針です。そして、「家族だけではなく、地域の人間でご老人の面倒を見るのですよ」という方針。 そこに名古屋地裁の判例かぶせたら、どんな世界になるんですかね。

2016-03-01 16:48:34
たろう teacher @tomo_law_

ようやく今日の最高裁判例を読むことができた。 まだ精読てないが、 (1)成年後見人が直ちに法定監督義務者にならないことを明示 (2)民法752条は監督義務を基礎づけない (3)加害防止も含めた監督義務の引き受けがある場合は、「法定の監督義務者」に準じる

2016-03-01 19:05:15
たろう teacher @tomo_law_

実務への影響としては、714条1項の監督義務者と成年後見人の関係が一番影響すると思う。 はっきりと「成年後見人は現実の介護や行動の監督を求めるものとは解すことはできない」と明示した。

2016-03-01 19:07:46
たろう teacher @tomo_law_

先の成年後見人との関係は、おそらく本件結論とは直結しない、いわば傍論になる。 他方、「監督義務者に準じるか」の判断要素について『諸般の事情を総合考慮し、そのものが・・・現に監督しているか、・・・監督することが可能かつ容易であるなどの衡平の見地から』という規範を立てている

2016-03-01 19:11:00
たろう teacher @tomo_law_

判決書10頁に書いてある、判断基準とその要素が非常に重要と思う。 このような規範が別の判例で言及していなければ(僕は勉強しない子なので、そこらへんわからない)、新判断として価値があると思う。

2016-03-01 19:13:48
たろう teacher @tomo_law_

判断要素として重要なのは (1)親族関係の有無・濃淡 (2)日常的な接触の程度 (3)財産管理への関与の情きゅお (4)本人の問題行動の有無、内容 (5)これに対応する監護・介護の実態や内容 というもの。 このような事情を抽出したのも非常に重要だと思う。

2016-03-01 19:15:42
たろう teacher @tomo_law_

結論が自分の感覚ともなじむ、というのもあるが、今回の判決はさすが最高裁、というべきロジックだなと。 そして意外と短い(実質判断部分は4ページ程度)。 今後出てくるであろう、介護の問題について、「何を判断要素と考えるのか」という一番大事なところをしっかりと明示している。

2016-03-01 19:20:00
たろう teacher @tomo_law_

あくまで実体法に依拠しつつ、かつての判例との関係もはっきりさせ、「かわいそう」「被害者が個人だったら?」という裸の利益衡量も排し、これまで若干粗雑だった不法行為論をブラッシュアップしつつ、「過剰な規範にはしない」という。 今回の最高裁判事の解釈の技術はちょっとあこがれて痺れる

2016-03-01 19:23:11
たろう teacher @tomo_law_

気になって、我妻先生の不法行為(日本評論社)や我妻・有泉のコンメを読んでみると、こっちは「監督義務者の問題は被害者救済の面から」とか「ゲルマン法の団体責任」といった感じで、歴史を感じる。

2016-03-01 19:40:01