ネット原住生物の逆襲 〜プロローグ〜

夢乃 @iamdreamers

それは、人類の誕生前の遥か昔から存在していた・・・ #twnovels

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人類がそれに最初に気付いたのは、電信技術を発明・発展させていった1800年頃に遡る。電信の信号には、必ずノイズが入った。それは当たり前のことだった。けれど、一部の人はそれに気付いていた。 #twnovels

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電信に乗るノイズの量を調べると、計算値よりも遥かに多いノイズが乗っていることに。それは、誤差と言うにはあまりにも大きかった。このこと は、まだ人間の知らないノイズの発生源があるということを示していた。けれど、いくら探しても、発生源は判らなかった。 #twnovels

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やがて、電話が発明される。そこでも同じ現象が観測された。物理的に結んだ銅線を使用し、無線に比べて品質の良い通信が期待された電話においても、誤差とは言い難いほどの、計算値を遥かに超えるノイズが観測された。 #twnovels

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しかし、このときもノイズの発生源は判らなかった。技術者たちは、線を太くしたりシールドするなどして対処したが、それでも、理論値を超えるノイズは消えなかった。 #twnovels

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それが明らかになったのは、DARPA、米国防高等研究計画局の、通信ネットワーク構築計画の中でようやく明らかになってきた。データ通信を行うとき、そこにはこれまで知られていなかった“生物”が干渉していたのである。 #twnovels

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同時に、地球全土に有史以前から存在する通信ネットワークの存在が明らかになった。地球規模の天然の通信ネットワーク！　それはまさに、DARPAが計画し、欲していたものそのものだった。 #twnovels

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地球上における通信は、有線・無線にかかわらず、この全地球天然ネットワークと相互に干渉していた。理論値以上のノイズは、この全地球ネットワークに棲息する、身体を持たない未知の生物の生命活動によるものだったのだ。 #twnovels

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この事実を知ったDARPAは驚喜した。この、天然ネットワークを利用すれば、改めてネットワーク線を張り巡らせる必要なしに、世界規模のネットワークを手に入れられる。DARPAはこれまでの計画に修正を加え、全地球天然ネットワークの利用を模索しはじめた。 #twnovels

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当然、このことは軍事機密として極秘扱いとされた。他国にこの事実を知られたら、同じようにこのネットワークを利用しようとするだろう。それでは、他国に対する優位性を失ってしまう。よって、この事実を知るのは限られた一部の人間だけだった。 #twnovels

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まず考えられたのは、この全地球ネットワークに棲息する原住生物に情報を持たせ、その行動をコントロールすることによって通信に利用する、という方法だった。けれど、それはうまくいかなかった。 #twnovels

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そもそも、その原住生物が何を食し、どのように生殖を行なっているか、どのよううな反応に対してどのような行動を取るのか、いくら調べてもまったく判らない。それらは、自由気ままにネットワーク上を移動しているだけに見えた。 #twnovels

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原住生物を通信に利用することは早々に諦められ、逆に、原住生物の干渉を受けない通信方法の研究が進められた。その手段は、意外にも、簡単に見つかった。 #twnovels

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ごく短い電磁波を天然ネットワークに通した場合に、原住生物の影響が小さくなることが判明した。ただし、短すぎるとまた影響を受けるようになる。影響を極小にして通信を行うには、波長が100pm〜10nmの電磁波を使えば良いらしいことが判った。 #twnovels

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原住生物の影響を受けないこの波長の電磁波はX線に分類される領域であり、これを通信に使うことは当初不可能と考えられた。しかし、その後の研究により、この問題も解決された。天然ネットワークを利用した通信網の実現である。 #twnovels

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当初は軍事目的にのみ使われていた天然ネットワークも、徐々にその利用範囲を拡大し、今では一般の市民も自由に使えるまでになっている。原住生物からの影響もほとんどなく、理想的な状態と言えた。 #twnovels

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・・・けれど、そうではなかった。 #twnovels

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波長100pm〜10nmの電磁波は、原住生物の影響を受けないわけではなかった。原住生物が、この波長の電磁波を極端に嫌い、この電磁波がネットワークを通過すると、その部分から別の場所へと生物は移動しているに過ぎなかった。 #twnovels

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人類が天然ネットワークの使用領域を広げるに従って、原住生物は住む場所を狭められていった。そして、追いやられた生物の密度は高くなっていった。密度が高くなると交配が進むのか、そのような場所での生物の密度は等比級数的に高まった。 #twnovels

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このことに、人類は気付いていなかった。 原住生物の生存範囲は次第に狭くなり、生存密度はどんどん高まっていた。 そして、その時は迫っていた。 #twnovels