科学と報道の関係についての対話ー「被曝の森」を例に

NHKスペシャル「被曝の森」を題材にとった,科学と報道の関係についての対話メモです.
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cwt @clear_wt

現時点で影響が無いと断言するのは誤りです.しかし,「明らかな健康への影響がでるとは考えにくい」という基本がある中,まだ根拠が十分で無い現時点で,影響があるのではないかとほのめかすのもおおよそ同じ位置です.

2016-03-13 15:21:10
cwt @clear_wt

報道は大きな力を持っています.良い科学的結果も,悪い科学的結果も(これも価値判断が入っているので科学的表現ではなく,社会的文脈ですが)報道が無ければ広まりません.そういう意味で,科学と良い関係を築いていく必要があると思っています.

2016-03-13 15:21:54
cwt @clear_wt

一方,今回に限らず科学に関する報道で基本的な事項のチェックもできていない現状を見ると,システムを大幅に見直さない限り間違いは続くでしょう. そして,その力の大きさから,報道の間違いが人々に大きな災禍をもたらすことを危惧します. (既にそれは現実になっている様にみえます)

2016-03-13 15:22:34
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt 読ませていただきました。個別のご指摘には基本的に同意しますが、議論の大前提の部分で異論があります。それは、この番組はそもそも原発事故の「人の健康への影響」をテーマにしたものではない、ということです。

2016-03-13 23:17:30
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt 番組の舞台は「人が住めない」とされる帰還困難区域、それも除染が行われずいまだ高い場所では100μSv/hを超える線量を観測している地域です。そして、ここで問題にされているのは(放射線に基本的に関係のない野生動物のテリトリー拡大などを含めた)動植物への影響です。

2016-03-13 23:19:22
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt それが番組の大前提です。個別に検討すれば、特にニホンザルのケースなど人への影響のアナロジーに走り過ぎている部分が確かにあります。それはその「安易さ」を批判すべきですが、番組全体として「高線量区域に生息する動植物への影響」という大枠を崩しているとは思えません。

2016-03-13 23:21:40
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt ぼく自身について言えば、甲状腺がんについては当面判断を保留しますが、それ以外の人の健康への影響は…多少の希望的観測を含めて…今後とも大きくは現れないのではないかと考えている人間です。もちろん、決めつける気はないし、警戒を怠るべきではないとも思いますが。

2016-03-13 23:25:43
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt そう考える理由の一つは、福島の人たちが事故直後(過剰反応の側面もあったにせよ)地元の産物を食べることを控え、その結果、内部被ばくがほとんどなかったことにあります。しかし、もちろん、野生動物がそんな選別をしたはずもなく、かなりの内部被ばくが確認されています。

2016-03-13 23:32:34
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt ゆえに放射線の野生動物をはじめとする自然への影響は、人体への影響とひとまず切り離して、今後とも検証を続けるべきテーマだと考えています。件のNスペは…一部に不適切な表現を含むとはいえ…テーマの提示は誤解のないよう配意されており、ぼくはその範囲で評価しています。

2016-03-13 23:39:03
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt ただし、ここには難しい問題があって、人体への影響と直結して受け取る視聴者もいたであろうということです。経験的に言えば、どれだけ丁寧に説明しても誤解する視聴者は一定数いらっしゃいます。全員が全員、注意深く、画面に食い入るように番組を見ているとは限らないからです。

2016-03-13 23:44:31
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt そこはぼくたち制作者にとって深刻なジレンマであったし、いまもジレンマであり続けています。解決手段はないのかと問われても言葉に詰まるしかありません。

2016-03-13 23:48:07
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt またしても長々しい返答で恐縮ですが、ぼくが提起したいのは、制作者の制作意図がそもそもある種の「印象操作」にあるのか、力不足によって不適切な表現になってしまったのか、制作者の責に負わせるのは酷な視聴者の誤解によるものなのかという見極めが必要だということです。

2016-03-13 23:54:59
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt 最後に、今回のNスペについて言えば、多くの批判を招いた一番大きな原因は「力不足」で、それが三番目に挙げた「誤解」を増幅させたとぼくは判断しています。結果的に「印象操作」と指摘されてもやむをえない表現が一部にありますが、当初の意図ではなかっただろうと思います。

2016-03-14 00:01:16
cwt @clear_wt

まず先に一点,大事な点の確認をお願いします. 「福島の人たちが事故直後(過剰反応の側面もあったにせよ)地元の産物を食べることを控え、その結果、内部被ばくがほとんどなかった」 というのは報道や現地で私が見聞きしたものと違うように思います. @toriiyoshiki

2016-03-14 18:53:13
cwt @clear_wt

生産者の初期の生産自粛,試験作付けと測定による移行低減法の確立,出荷前の検査という安全確保の努力, 消費者の,学んで理性的に判断しながら(人により徐々に)地元のものを食べてきたという結果で,全体として「食べることを控え」たからではないと認識です. @toriiyoshiki

2016-03-14 18:57:19
cwt @clear_wt

(本題)大筋で @toriiyoshiki さんの言われていること,よくわかりましたし,内容についてもうなずけました. 問題意識も共有できていると思いますが,こういう感じ方もあるという差異の部分を記します.

2016-03-14 18:58:43
cwt @clear_wt

番組のテーマ設定,番組単体としての@toriiyoshikiさんの説明や評価にも理があると思います. 一方,toriiyoshikiさんもご指摘の誤解されやすい面について,視聴者の誤解が悪いとせず(どうしようも無い部分は別),やはりより一層の配慮を作り手側に求めたいと思います.

2016-03-14 19:00:06
cwt @clear_wt

制作者の意図は番組毎に直接説明されるわけではなく,放送されたものがすべてです. そして,これもまた釈迦に説法ですが,作り手側の意図よりも,「視聴者にどう受け止められるかこそが重要」であると思います.@toriiyoshiki

2016-03-14 19:02:04
cwt @clear_wt

<被曝の森>というタイトルを見て,<森の動物へ影響だけ>に純粋に関心がある人は多くないと思います.被曝の生物への影響,奇形の発生等に関心がある,それは人への影響への心配が関心の背景にある(そういう人が多く見る)というのは容易に想像がつきます. @toriiyoshiki

2016-03-14 19:03:06
cwt @clear_wt

もしそれを考慮していなければ想像力の欠如であると感じますし,想定されていたのであれば,あの番組の構成は誤解を防ぐ制作上の配慮が不足していた気がします. 見極めが必要とのことでしたが,私にはそのように感じられ,先の指摘になりました. @toriiyoshiki

2016-03-14 19:04:07
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt 字数制限があるとは言いながら大雑把な表現で申し訳ありませんでした。2011年から12年にかけて、ぼくの取材フィールドは南相馬市(原町・鹿島)と、飯舘村から相馬市に避難してきている人たちが中心でした。当時、ほとんどの人たちが地元産のものは食べていませんでした。

2016-03-14 20:07:00
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt 特に子どもに関しては慎重で、両親、あるいは高齢者は自家ないし近隣の畑でとれたものを食べても、子どもには県外産を買ってきて食べさせていました。子どもに地元のものを食べさせていた方とはぼくの記憶では一人もお会いしていません。茸や山菜などは大人も食べませんでした。

2016-03-14 20:12:02
toriiyoshiki @toriiyoshiki

@clear_wt 南相馬市立総合病院でホールボディカウンターによる内部被ばく調査を行なってこられた坪倉正治先生も、内部被ばくがほとんどなかった要因の一つとして、こうした住民の自衛行動をあげておられました。2012年になって放射線検査ができるようなると測って食べる人が現れました。

2016-03-14 20:16:15
toriiyoshiki @toriiyoshiki

ぼくが知っているのは福島全域ではないので、地域によって違う対応もあったかと思います。ただ、福島市でも線量が高かった渡利地区では同様の傾向が強く見られました。

2016-03-14 20:18:35
cwt @clear_wt

なるほど.2012年以前の最初期にはまだWBC以外に,食品の検査体制も十分で無く,自衛行動が効いていた可能性はありますね.また,最近の調査にも表れていますが,地域差もありそうです. @toriiyoshiki

2016-03-15 01:32:40