市民参加型社会におけるデザインの拡大——その合意・評価方法とマネジメントの変化

「デザイナーは、従来代理店に依存していたマネジメントの側面について、個人で背負い込むのではなく、適切な専門家の支援を仰ぐかたちで補完する必要が出てきたのではないか」といったKashima Takashi氏の指摘が個人的に興味深かったので、備忘としてまとめました。
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Kashima Takashi @oxyfunk

先日のクリティカルデザインスクール「東京五輪2020エンブレム騒動以後のグラフィックデザイン」はとても楽しかった。参加者の殆どはデザイン関係者でこういう講座の可能性も感じた。会場のBUKATSUDOは造船ドックをリノベーションしたユニークな空間で、もっと知られたらいいのになと。

2016-03-14 20:16:40
BUKATSUDO? 大人の部活が生まれる街のシェアスペース

BUKATSUDOは、横浜・みなとみらいの造船ドック跡地に誕生した、大人のためのシェアスペースです。

Kashima Takashi @oxyfunk

前半はエンブレム問題を時系列で整理し、後半は「どう考えるのか」を13点ほど出した。その多くはすでに公表している見解をまとめたものだが、市民参加型社会におけるデザイン、そのための合意形成の方法、そして評価の仕方、デザインとマネジメントの関係はディスカッションでも盛り上がった。

2016-03-14 20:16:43
Kashima Takashi @oxyfunk

専門家と市民参加は対立的ではなく、ゆるキャラを描くデザイナーがいる一方で、デザイナーに依頼しなくてもなんとかなる社会を面白がったほうがよい。完成度の高さや市民参加の度合いだけではなく、原作者が誰であれ「そこそこ時間をかけないと出来ないデザイン」を褒めていくことが大切なんだと思う。

2016-03-14 20:16:50
Kashima Takashi @oxyfunk

それから、グラフィックデザイナーがなんでもかんでも一人で対応しないようにすることも大事。法務や労務を管理してくれるパートナーに伴走してもらいながら、クライアントごとに戦略を立てていかないと、デザインの適用対象が無限拡大している現状では、流動的な業務に対応するのが難しくなる。

2016-03-14 20:16:58
Kashima Takashi @oxyfunk

いままでグラフィックデザイナーのメインパートナーは広告業界で、アートディレクターやクリエイティブディレクターが管理業務をやってきたのだが、広告に還元されない広範なデザインを業務にしていく場合は、別のマネジメント業務を挟まないと、直観で場当たり的な対応になってしまいかねないよねと。

2016-03-14 20:17:06

【参考】
《レイアウトの企画は、眼に見えるもの(文字・挿画など)をいかにして広告内容にふさわしいよう配置整理して一つの広告をまとめあげてゆくか、というような仕事である。アメリカのアートディレクターの仕事はこれにあたる。…広告表現、経営方針と広告デザイナーとの間の深いギャップをいかにして結ぶか、である。》
今泉武治,1951,「商品広告とレイアウト」『商業デザイン全集(第三巻、商品篇』モーニングイブニング・スター社.

【参考】
《では、実際の仕事内容はというと?大手広告代理店のクリエイティブディレクターとして数々の広告を作り上げてきた九條さんは、「広告表現をコントロールして、それに責任を持つ仕事」と言う。》
クリエイティブディレクター Job Gallery【リクナビNEXT】

Kashima Takashi @oxyfunk

広告代理店に依存しないグラフィックデザインが可能になった分だけ、代理店がやっていた管理業務をデザイナーの側で補完していかないと、クライアントへの文句を言い続けるだけになってしまう。旧エンブレム問題を反復しないためには、デザイナーになんでもかんでもやらせない社会にしたほうがよい。

2016-03-14 20:17:14
Kashima Takashi @oxyfunk

社会学者は経営コンサルタントではないので、事象に対して無理のない選択肢を挙げてみることがお仕事で、その先はみなさまに選んでもらえるとありがたいです。

2016-03-14 20:23:56