イモムシの夢を見ている

ヤク物さん(@nezikure)の 八月最後の日、大阪でゾンビが出た。 http://togetter.com/li/867990 なんやかやあったが、まだ生きている。 http://togetter.com/li/873574 ゾンビなんて大っ嫌いだ http://togetter.com/li/879954 の続き。 ☆次 http://togetter.com/li/990031
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@nezikure

95.あんなに恐ろしかった電線の高さが、慣れてしまった今ではもうただただ眠い。

2016-03-18 23:50:08
@nezikure

96.適当な電柱にたどり着いてから、フックを掛けて少し眠ろう。 万が一にも落ちたりはしないのを知っている、誰かが来ないか何度もこうして待っていたから。 一眠りしたら、暗くなる前に戻ろう

2016-03-18 23:52:57
@nezikure

97.ここにはもう、なにもない

2016-03-18 23:53:18
@nezikure

101.手繰る、糸を

2016-03-18 23:54:24
@nezikure

102.諦めない、沿線沿いを進んでいく。

2016-03-18 23:55:01
@nezikure

103.徒歩10分の距離を30分かけてすすむ 嘔吐しそうな恐怖を噛み殺して泣きながら進む。

2016-03-18 23:56:46
@nezikure

104.高いところはこわい、ひとりなのはつらい なにもないのはかなしい、だれもこないのはあたまにくる。

2016-03-18 23:57:36
@nezikure

105.だれか一人でいい、言葉の喋れる人間が欲しい。 必要だ、必須だ。 どんな醜くてもいい、どんな嫌なやつでもいい。 だれか人間がいれば、だれか一人でも、自分を、俺を人間だと言ってくれる人がいれば。

2016-03-18 23:59:17
@nezikure

106.「あーーーー!!!!あーーーーーーーーー!!!!!!!!」 叫ぶ・半年ぶりの、いや、デスクトップパソコンを窓の外に放り出した時以来の絶叫に喉が痛む。 音に対して反応が鈍いイモムシ達が集まってくるが、構わない。 どうせここまでは来れない。

2016-03-19 00:01:17
@nezikure

107.「ガァーーーーーーーー!!!!ガァァァッッーーーーーー!!!」 意味のある言葉を叫ぶ余裕もなかった、生きている人間は誰もいなくて のろのろと、イモムシだけが足元に集まってくる 誰かいないのか、誰か、生きている人間はいないのかいないのか、そうか それでも諦めきれない、叫ぶ。

2016-03-19 00:03:30
@nezikure

108.叫んで、叫んで、声が出なくなってもまだ叫んで 喉が裂けて、かすれた声すら出なくなり 口の中が血まみれになってもまだ叫んで

2016-03-19 00:04:57
@nezikure

109.気づけば、夕焼けの頃 まるで世界の終わりみたいな風景 真下には夢で見たよりは幾分マシなだけの、ばかみたいな数のイモムシの群れ

2016-03-19 00:06:36
@nezikure

110.叫びすぎて、気づかない内に吐きすぎて、内臓が痙攣している。 みっともない、見苦しい、汚らしい有り様で もう消えてしまいたい気分なのに死にたくはない。

2016-03-19 00:10:03
@nezikure

111. 「…」 疲れた。 文字通り声も出ない、いっそ懐かしい感覚だ 声を出さないように潜んできたから、蜘蛛のように潜んでいたから 噴き出す、何が蜘蛛だ馬鹿じゃないか?

2016-03-19 00:12:40
@nezikure

112.馬鹿じゃないか、じゃない、馬鹿だ こんな往来で、電線にぶら下がって叫ぶなんて 自分はとっくに”おかしくなっている” こんな状況で”叫ばない”なんて人間じゃない、悲鳴を上げて泣き叫んで正解だ。

2016-03-19 00:15:07
@nezikure

113.腰に下げた帆布の袋から道具を取り出す。

2016-03-19 00:16:34
@nezikure

114.夕日が差し込んで、オレンジ色にキラキラ輝いている。

2016-03-19 00:17:09
@nezikure

115.ソレに、いつか、顔も知らない友人に贈られた銀色の小箱を近づけて

2016-03-19 00:18:29
@nezikure

116.火を付けて、放って投げる。 銀の小箱は小洒落たジッポ・ライター オレンジ色は瓶に注いだガソリン200mlをれを全部で五本投じる。

2016-03-19 00:20:55
@nezikure

117.ずっと、こうしてやりたいと思っていた。 焼けてしまえ、燃えてしまえと思っていた いや、焼いてやる、燃やしてやりたいと思っていた。

2016-03-19 00:22:15
@nezikure

118.距離をとって、イモムシが焼けていくのを眺める。 火達磨になったイモムシは、意外なくらい燃えながらもがいている。 「あぁそうか、肺で呼吸してないから…」 それでも熱には弱いはずだ、火がつきにくいだけで燃えないわけじゃない。 「それに…」 アレらは熱を追う。

2016-03-19 00:25:14
@nezikure

119.ただでさえ嘗て無く集まっていた沿線沿いのイモムシが 火の熱に反応して集まり、燃え上がっていく。 延焼するものも殆ど無い往来のど真ん中に、のたうつ同類と火の熱を求めて アスファルトに摩り下ろされながら這いつくばって集まってくる。 その様は灯蛾の様だと言うよりも

2016-03-19 00:28:14
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