イモムシの夢を見ている
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96.適当な電柱にたどり着いてから、フックを掛けて少し眠ろう。 万が一にも落ちたりはしないのを知っている、誰かが来ないか何度もこうして待っていたから。 一眠りしたら、暗くなる前に戻ろう
2016-03-18 23:52:57![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
105.だれか一人でいい、言葉の喋れる人間が欲しい。 必要だ、必須だ。 どんな醜くてもいい、どんな嫌なやつでもいい。 だれか人間がいれば、だれか一人でも、自分を、俺を人間だと言ってくれる人がいれば。
2016-03-18 23:59:17![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
106.「あーーーー!!!!あーーーーーーーーー!!!!!!!!」 叫ぶ・半年ぶりの、いや、デスクトップパソコンを窓の外に放り出した時以来の絶叫に喉が痛む。 音に対して反応が鈍いイモムシ達が集まってくるが、構わない。 どうせここまでは来れない。
2016-03-19 00:01:17![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
107.「ガァーーーーーーーー!!!!ガァァァッッーーーーーー!!!」 意味のある言葉を叫ぶ余裕もなかった、生きている人間は誰もいなくて のろのろと、イモムシだけが足元に集まってくる 誰かいないのか、誰か、生きている人間はいないのかいないのか、そうか それでも諦めきれない、叫ぶ。
2016-03-19 00:03:30![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
110.叫びすぎて、気づかない内に吐きすぎて、内臓が痙攣している。 みっともない、見苦しい、汚らしい有り様で もう消えてしまいたい気分なのに死にたくはない。
2016-03-19 00:10:03![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
111. 「…」 疲れた。 文字通り声も出ない、いっそ懐かしい感覚だ 声を出さないように潜んできたから、蜘蛛のように潜んでいたから 噴き出す、何が蜘蛛だ馬鹿じゃないか?
2016-03-19 00:12:40![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
112.馬鹿じゃないか、じゃない、馬鹿だ こんな往来で、電線にぶら下がって叫ぶなんて 自分はとっくに”おかしくなっている” こんな状況で”叫ばない”なんて人間じゃない、悲鳴を上げて泣き叫んで正解だ。
2016-03-19 00:15:07![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
118.距離をとって、イモムシが焼けていくのを眺める。 火達磨になったイモムシは、意外なくらい燃えながらもがいている。 「あぁそうか、肺で呼吸してないから…」 それでも熱には弱いはずだ、火がつきにくいだけで燃えないわけじゃない。 「それに…」 アレらは熱を追う。
2016-03-19 00:25:14![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
119.ただでさえ嘗て無く集まっていた沿線沿いのイモムシが 火の熱に反応して集まり、燃え上がっていく。 延焼するものも殆ど無い往来のど真ん中に、のたうつ同類と火の熱を求めて アスファルトに摩り下ろされながら這いつくばって集まってくる。 その様は灯蛾の様だと言うよりも
2016-03-19 00:28:14