これから“欲しいもの”がわからない主人公について、三回にわたってつぶやきます。今日はその第一回目です。
2016-03-24 00:03:30ストーリーは1にちも2にも、“欲しいもの”(want/need)です。座学をやっていて、うまく書けていない人のストーリーは“欲しいもの”を捉え切れてないことが原因である場合が多い。これが、よく言う「中盤かうまくいかないときは第1幕に問題がある」の実体です。
2016-03-24 00:04:08で、“欲しいもの”をどうやって検証するかは、前につぶやきました。 togetter.com/li/950333 きょうは続編の“欲しいもの”がわからない主人公についての前・中・後のうちの前編です。
2016-03-24 00:05:09えーっと、ものすごくおおざっぱに言うと、物語というのは以下のABCで構成されていると考えるのが一般的です。
2016-03-24 00:05:54A)主人公が“欲しいもの”(want/need)を求めて旅に出る(第1幕 状況設定) B)しかし、“欲しいもの”はなかなか手に入らない。(第2幕 葛藤) C)しかし、最終的には“欲しいもの”を手に入れて、主人公は旅から戻る(第三幕 解決)
2016-03-24 00:06:26これがいわゆる三幕構成(the Three Act Structure)と呼ばれているものです。
2016-03-24 00:06:44ちょっと補足しておくと、“欲しいもの”は途中で変わっちゃう場合があります。例えば、『レインマン』のトム・クルーズの“欲しいもの”は当初はお金だけれど、最終的には兄との絆を選択する。このような“欲しいもの”の変化は、キャラクターの変化(成長)として観客に受け止められます。
2016-03-24 00:07:24で、“欲しいもの”がわからないキャラが主人公だとどうなるか? これは一般的なシナリオの教科書では扱わない問題です。つまり、物語の構築の仕方が間違っている(第1幕でやるべきことをやっていない)ので「どうなるか」は検証されないのです。
2016-03-24 00:09:14“欲しいもの”がないと、主人公は旅に出ることもない。“欲しいもの”がわからないのだから、葛藤もない。非常に薄く淡い日常が淡々と描かれるということになる。しかし、この手のシナリオはアマチュアの多くが好んで書く。なぜか。 それがリアルだからです!
2016-03-24 00:10:00俺は本当や何がやりたいのだろう、と思っている人はこの世には少なくない。だから、作者がそんな気分で生きていれば、主人公はそうなることは自然なわけです。現代というのは“欲しいもの”がわからない時代であるとも言えます。
2016-03-24 00:12:06とはいえ、この手のシナリオはシナリオ学校では、基本的にこっぴどく叩かれるか、先生によっては「まあ、そんなに書きたいのなら、書けば」と放置プレイ状態に置かれる。これはこれで癪に障るというのなら、対応策を考えねばならないですよね。
2016-03-24 00:12:46端的に言うと、この手のタイプの物語を書く時に、主人公の“欲しいもの”がわからないという、そのわからなさを、単に気分で捉えていると、大抵失敗します。
2016-03-24 00:13:32あと、“欲しいもの”がわからない主人公に、作者が強い共感を抱いている時は、失敗の確率は高くなると覚悟した方がいいと思います。でも、共感するのはかまいません。というか、共感するなと言う方が無理ですね。
2016-03-24 00:15:27で、大事なのは、共感を抱きつつ、“欲しいもの”がわからないという感情を意地悪な視点で捉えることも必要となってくるんです。簡単にいうと、作者は主人公(と自分)に対して冷静でサディスティックな視点を持つ必要がある。ここが実は難しい。
2016-03-24 00:16:19こういう場合は、副主人公とでも言うべき人物、主人公の前に立ちはだかり、主人公に揺さぶりをかけるキャラクター(大抵副主人公)が大事である。この手のキャラを antagonist と言う。
2016-03-24 00:16:53このようなタイプの物語では、このantagonistの方が主人公よりも大切である。主人公が言われたくないことをスバリ言って、主人公を追い詰めるキャラがいるかどうかが、この手のタイプのストーリーの鍵を握る。
2016-03-24 00:17:29リアルな話の場合は、作者が主人公に対して感情移入している度合いが強い。故に、どうしても主人公に甘くなり、本来主人公を追い詰める役割を担うはずの antagonist までが中途半端に主人公を理解してしまう(一方、観客はわからない)のですね。
2016-03-24 00:18:12“欲しいもの”がわからない主人公が、antagonistによって追い詰められる、このことによって、物語が動く。このことは覚えておいても損はないと思います。 以上、前編でした。
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