展覧会における音環境の問題

メディアアートや映像など、音を扱った作品を美術館で複数展示する際に生じる音環境の問題について。作曲家ヲノサトル@wonosatoruさんのツイートを中心にまとめました。 【追記】石田康二@kjishiさんによる建築音響的な視点からの提言を追加しました。 【追記】まずは作家と企画側の双方がこうした問題の存在を認識すること、そして解決策を持ちうる音響の専門家が美術界の外にいるのを知っておくことが大切だと思います。 【追記】建築家の佐藤慎也@satohshinyaさんからの提言を追加しました。
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佐藤慎也 @satohshinya

ぼくがZKMで働いているときにもよく問題となったのが音とプロジェクタに対する光。昨年4年ぶりにZKMへ行ったが、光の問題はプロジェクタの輝度が上がったことでかなり解消したようだった。 @hachiya @wonosatoru @vomoder

2011-02-01 06:36:01
佐藤慎也 @satohshinya

しかし音については、美術館では床はフローリング、壁は作品が掛けられるようにボードを使用している。つまり、いずれも堅い材料のために音を跳ね返す。吸音できる面がまったくない。 @hachiya @wonosatoru @vomoder

2011-02-01 06:38:25
佐藤慎也 @satohshinya

対応策としてはカーペットを敷く、壁を吸音するものとする、カーテンを掛ける、扉を付けるなどあるが、これらはすべて通常の展示空間として使うときに問題となってしまう。そうなると、あとはヘッドホンを使うことになってしまう。 @hachiya @wonosatoru @vomoder

2011-02-01 06:40:34
佐藤慎也 @satohshinya

そうなると映像作品は、典型的なホワイトキューブの展示室ではなく、防音が整った独立した部屋に展示することになる。ICCのような特化したところはともかく、通常の美術館でそのような施設をもっているところはほとんどない。 @hachiya @wonosatoru @vomoder

2011-02-01 06:42:57
佐藤慎也 @satohshinya

という辺りが問題なんだと思います。この折り合いをどのようにつけるのか? 3331も同様に、視覚的には真っ白なホワイトキューブですが、音に関しては吸音する部分がないためにとても響くだろうと思います。 @hachiya @wonosatoru @vomoder

2011-02-01 06:44:43
佐藤慎也 @satohshinya

視覚的に抽象度の高いホワイトキューブをつくることはそれほど難しくないが、音響面で作品だけに集中できる空間をつくるためには、吸音や遮音の面からコストの掛かる建築的な仕上げを要する。ハード面で考えると、それらを同時に満たす建築的な解答は今のところないように思う。

2011-02-01 07:43:18
佐藤慎也 @satohshinya

ZKMのテクニカルチーフのマーティンと話したときも、指向性の強いスピーカを用いて作品同士の音が混ざらないようにするとか、結局はデバイスによって解決するというアプローチしか方法がないかも、ということだった。美術館の展示室計画において、音に対する配慮はほとんど行われていないと思う。

2011-02-01 07:50:44
minoru hatanaka @m_hatanaka

David Toopは、サウンド・アーティストは、展示において音の干渉というものがどうしても避けられないということを知っている(あきらめている?)ので、そこでどう協調するのかを考える、と言ってた。

2011-02-01 01:33:50
ヲノサトル @wonosatoru

それはむしろとても誠実な態度だと思います。RT @m_hatanaka David Toopは、サウンド・アーティストは、展示において音の干渉というものがどうしても避けられないということを知っている(あきらめている?)ので、そこでどう協調するのかを考える、と言ってた。

2011-02-01 01:37:07
Shiho Fukuhara 福原志保 (HAE) @vitronique_ja

「Sonic Boom」展はまさにそんな感じでした。RT @m_hatanaka: David Toopは、サウンド・アーティストは、展示において音の干渉というものがどうしても避けられないということを知っている(あきらめている?)ので、そこでどう協調するのかを考える、と言ってた。

2011-02-01 02:07:32
minoru hatanaka @m_hatanaka

あれこそ、文句の嵐でもおかしくない展覧会でしたね。 でも見る側は結構それでも楽しんでしまうのですが。 RT @vitronique_ja: 「Sonic Boom」展はまさにそんな感じでした。

2011-02-01 02:10:18
Shiho Fukuhara 福原志保 (HAE) @vitronique_ja

@m_hatanaka あれほど大規模のサウンドアート展を見たのが初めてだったので、他の作品との音の干渉も計算してる!サウンドアーティストってすごー!と感動しました。Fine Artistは自分の作品に干渉されたらキレまくる人が多いのに、みんな仲がいいな、と勝手に思ってました。

2011-02-01 02:21:36
Shiho Fukuhara 福原志保 (HAE) @vitronique_ja

@m_hatanaka あの展示会場の環境の悪さを思うと実際は難しい企画だったろうな、と思います。音が干渉しあう事自体が展覧会のテーマだったような。作家達がそれを理解して展示していると印象がありました。それをヘイワードでやった、ということが強烈でしたね。

2011-02-01 02:44:36
minoru hatanaka @m_hatanaka

結構ここらへん重要なんじゃないか。。 RT @vitronique_ja: Fine Artistは自分の作品に干渉されたらキレまくる人が多いのに、みんな仲がいいな、と勝手に思ってました。

2011-02-01 02:28:36
minoru hatanaka @m_hatanaka

というか、サイト・オリエンテッドな作品かそうでないか、ということで、そうでないなら、どこか完璧な環境を用意できるところで展示すればよい。

2011-02-01 03:25:20
Shiho Fukuhara 福原志保 (HAE) @vitronique_ja

うん。展示場所を選ぶのも作家の責任。RT @1000b: 正論 “@m_hatanaka: というか、サイト・オリエンテッドな作品かそうでないか、ということで、そうでないなら、どこか完璧な環境を用意できるところで展示すればよい。”

2011-02-01 03:57:06
ヲノサトル @wonosatoru

というわけで昨夜の「美術館展示における音」の話は、誰もが気づいていながらなかなか変わらない、変えにくい、という事でこれからも問題意識を持ち続けていきたいと思います。

2011-02-01 09:58:30
ヲノサトル @wonosatoru

大抵の美術館がそもそも音が鳴る状態を前提にしていない、というハードの問題は当然ある。ICCが他の施設と違うのは、そもそもの母体がNTTという電話会社=まさに音がメインの事業にあった事と無縁ではあるまい。

2011-02-01 10:05:00
ヲノサトル @wonosatoru

もちろんサウンドに造詣深いキュレータの存在も大きいが… ニヤリ

2011-02-01 10:08:29
石田康二 @kjishi

昨日TL追えなかったのでこの纏めありがたいです。私も建築音響的な視点で、この後コメントさせていだきます。 RT @pseudotaro ヲノさん( @wonosatoru )の展覧会における音環境~時系列を若干編集しています。 http://bit.ly/h8aM0l

2011-02-01 18:29:55
石田康二 @kjishi

空間的に繋がった場所を共有して視聴覚展示を行う場合。 1.アーティストが実現したい表現が可能となる音場づくり(特に響きの制御:主に吸音) 2.他の展示との音干渉の低減(遮音,吸音、遮蔽) 3.場の暗騒音の低減(空調,電気関係(照明、アンプなどのノイズ))。その他:(続)

2011-02-01 18:31:31
石田康二 @kjishi

(続)空間的に繋がった場所を共有して視聴覚展示を行う場合。 その他:2と3の関係でマスキングノイズ利用の検討。 超指向性SPの利用の検討。http://ow.ly/3NUOq など。 昨日、ヲノさんが指摘されたように運営側・施設側にこの分野の見識が求められていいはずですね。

2011-02-01 18:35:49
石田康二 @kjishi

音の干渉を考慮したレイアウトを検討。技術的(遮音/吸音やSP位置、指向性など)対処。最終的には運営的(時間帯)な対応も。現場の制約の中でも室内・電気・材料音響の知見を総動員すれば、できることは結構あります。 RT @pseudotaro: http://ow.ly/3Oajd

2011-02-02 01:17:25
石田康二 @kjishi

結局は施設運営側が、音に対してどれだけの感覚をもって場を提供するかということと、起こりうる問題を利用側と事前に共有して、その問題を最小限に留める上記のような対処を専門家に委ねることだと思います。

2011-02-02 01:20:16
佐藤慎也 @satohshinya

展覧会における音環境問題 http://togetter.com/li/95457 に関する続き。映像作品についてはもう1点、プロジェクションに関する問題もあると思う。ZKMで展示構成をやっていたときには、プロジェクションのサイズが指定されている作品とない作品があった。

2011-02-04 06:07:38