「公立高の受験問題は教科書の内容以外からは決して出ない」ことを周知しよう・・・座学漬け社会から脱却しよう

ほとんどの子どもが塾通いするようになった社会。そのために座学漬けになり、座学以外の能力を磨く機会を逸するようになっている。受験への不安を和らげ、状況を改善するために、現状の分析を試みた。
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shinshinohara @ShinShinohara

もう一つ、残念なことは「公立高校の入試テストは教科書で習った内容からしか問題を作らない」ことを、ゆとり教育以後の親子たちが気づかなかったことだ。授業で円周率を約3と習ったならば、入試問題でも約3としか出ない。だからゆとり教育の教科書だけ勉強すれば受験はクリアできたのだ。

2016-04-14 20:00:23
shinshinohara @ShinShinohara

しかしなぜか当時の親たちは「学校では円周率を約3としか教えないが受験では3.14を知らないと克服できないに違いない」と思い込んだ人が多かった。その結果、塾通いが増えた。その不安に便乗するかのように、塾はゆとり以前の内容で勉強を教えた。これが学校の授業を変質させた。

2016-04-14 20:01:59
shinshinohara @ShinShinohara

塾通いの子がクラスの大半になり、露骨に退屈そうな態度になり、親たちもゆとり教育批判の波に乗って「授業のレベルを上げてください」と抗議の声を上げるようになった。学校はこのため、ゆとり教育の授業と、要望に応える形の授業というダブルスタンダードで進めざるを得なくなった。

2016-04-14 20:03:32
shinshinohara @ShinShinohara

多くの公立中学で、教科書とは別にプリントを大量に配布するようになった。塾通いの生徒でも退屈しないよう、難しい問題も含めたプリントを用意したのだ。その分、ゆとり教育の教科書に準じた授業をする時間が失われた。塾通いの子どもたちはそれでよかったが、そうでない子たちが困った。

2016-04-14 20:05:21
shinshinohara @ShinShinohara

塾に通わない子は、学校の授業が初めて習う内容。ゆとり教育の教科書は平易で内容も少なめ。一方、授業で大量に配られるプリントは、ゆとり以前のレベルと変わらない、難解で内容豊富。二つの間には「理解の谷」があり、授業で初めて内容を聞く子供たちは、とてもプリントをこなせない。

2016-04-14 20:08:11
shinshinohara @ShinShinohara

本当は、公立高校であればトップ校でさえゆとり教育の教科書を逸脱するような入試問題を出さないのだから、ゆとり教育の教科書の内容をみっちり仕上げれば合格可能。しかし授業では、教科書からは理解できない難解なプリントが配られる。授業でしか習わない、塾に行っていない子は混乱してしまった。

2016-04-14 20:10:05
shinshinohara @ShinShinohara

「フタコブラクダ」はこうして生まれた。塾に通う生徒たちによる「70点強の」ピークと、塾に通わない生徒たちにより「40(30)点以下の」ピーク。 私の世代は、60点をピークとして、比較的きれいな正規分布を描いていたのに、成績が二極化してしまった。

2016-04-14 20:11:47
shinshinohara @ShinShinohara

残念なのは、塾に通わない子にとって学校の授業は「わけわかんない」状態になったことだ。ゆとり教育の教科書はわずかな時間しか利用されないか、場合によっては授業はすべてプリントで進行されるようになった。分かるレベルから少しずつ積み上げていく昔の授業スタイルが崩壊してしまった。

2016-04-14 20:13:29
shinshinohara @ShinShinohara

教師によっては、塾ですでに習ったものとして授業を進めるようになった。塾通いの子がクラスの大半になったゆとり世代では、ある意味大勢に従った形ではあるが、塾に通えない貧しい家庭の子弟は、「公平な教育機会」を奪われる結果となった。

2016-04-14 20:15:03
shinshinohara @ShinShinohara

「勝ち組負け組」という言葉もこの状況に拍車をかけたように感じる。塾に通わすだけの投資をしたのだから、学歴を手に入れられるのは当然、塾に通わす投資をしなかった親子と同じ結果になる方が不平等、という考え方を、比較的平然と口にする人が増えた。バブル以前にはとても吐けなかったセリフ。

2016-04-14 20:17:05
shinshinohara @ShinShinohara

公教育の使命は「公平な教育機会を子供たちに提供する」ことにあると私は考える。だとすれば、塾通いかどうかで学習レベルに決定的に差がついてしまう現状は、どうしても改善すべきである。しかし状況がこじれてしまっており、問題はそう容易には解決しない。

2016-04-14 20:19:06
shinshinohara @ShinShinohara

子供たちを座学漬けにし、座学以外の能力を損なってしまう現状の極端な塾通いの状況は、改善されるべきだろう。日本経済が低迷し、多くの家庭で教育へのコスト負担が難しくなってきた現状を考えても、「学校の授業だけで勉学ができる」状況を取り戻すことはとても大切なことのように思う。

2016-04-14 20:22:06
shinshinohara @ShinShinohara

今後は「子供に学習意欲さえあれば学校の授業だけで勉学することができる」という状況を取り戻していくべきだろう。しかしそのためには、こじれてしまっているこの状況を少しずつ解きほぐしていく必要がある。ほぐし方を間違えると問題がさらに絡まるだろう。

2016-04-14 20:23:54
shinshinohara @ShinShinohara

まず大原則は「公立高校の入試問題は教科書の内容だけで作られる」ということを周知することだろう。この点を誤解しているために、多くの親が不安に思い、もっと高いレベルの学習内容を塾や学校に求め、学校の授業がゆがんでしまった原因となっている。焦らなくても教科書の内容だけで十分なのだ。

2016-04-14 20:25:36
shinshinohara @ShinShinohara

このことが周知されれば、親も教科書回帰が重要だし、基本中の基本なのだと気づくだろう。そうなれば塾の講義内容も学校の教科書を基本としたものに徐々に落ち着き、塾と学校とで教える内容のレベルに差がある、ということがなくなっていくものと期待される。

2016-04-14 20:27:11
shinshinohara @ShinShinohara

そうなれば、学校は無理して難しいプリントを配布し、それをもとに授業をするという無理、無駄をしなくて済む。教科書をたたき台にし、生徒たちの理解を基礎から少しずつ積み上げていく、という本来の授業に立ち戻ることができるようになる。

2016-04-14 20:28:18
shinshinohara @ShinShinohara

そうなれば、塾に通わなくても学習意欲さえあれば授業についていけるようになり、トップ校に合格することも可能になる。塾通いすれば有利は有利だが、塾に通わなくても本人の頑張り次第では塾に行かなくてもなんとかできる、という道が残される。これは教育機会の公平でとても重要なこと。

2016-04-14 20:29:38
shinshinohara @ShinShinohara

塾はゆとり教育以後、激増している。私が塾で教えていた頃より、塾の数は数倍に増えている。少子化で少なくなった生徒の奪い合い状態。つぶれる塾も多い。この状況で、塾に依存しない学校社会を取り戻そうとすると、路頭に迷う人もかなりいることは、大いに懸念材料。

2016-04-14 20:33:34
shinshinohara @ShinShinohara

だから、塾通いがある程度進学に有利な状況、というのは、急激に変えるとひずみが大きいし、反発も大きくなると予想されるので、少しずつ徐々に改善したほうがよい。ただ、即座に実現したいのは、塾に通っていなくても本人の頑張り次第で進学することが可能な状況を取り戻すことだ。

2016-04-14 20:35:22
shinshinohara @ShinShinohara

ゆとり以後の子どもたちの様子を見ていて懸念されるのは、塾通いをしていない子は学校の授業だけでは到底理解できない状況になっていることだ。教科書と配布されるプリントの懸隔は甚だしい。見せてもらった時「これで分かれと言うのは無理だ」と、今の子どもたちに深く同情した。

2016-04-14 20:37:00
shinshinohara @ShinShinohara

私が相談に乗った子供には、授業で配布されたプリントを一切無視し、教科書を何度も何度も復習する方法。学校の授業についていくのも断念。中学校で習う内容を、教科書だけで独習するというやり方。これは学校のテストでまるで点数が取れない。しかし学年で底辺の成績では、他にやりようがなかった。

2016-04-14 20:39:15
shinshinohara @ShinShinohara

公立中学の教科書は幸いに、粘り強く読み込めば、学年で最底辺の成績の子でも理解できるようにできている。一度目の読破はノッツコッツと実に遅いが、2回目、3回目と繰り返すうち、どんどん早くなる。今までさっぱり分からなかったことが分かるようになってくる。

2016-04-14 20:40:45
shinshinohara @ShinShinohara

成績の悪かった子は「学校では自分の知らない何かを教えているのではないか、塾に通う子は自分の知らない何かを知っているのではないか、それを知らない僕は受験でとても太刀打ちできないのではないか」と不安にさいなまれる。私は「教科書以外から受験問題は出ない。心配無用」と言い続けた。

2016-04-14 20:42:07
shinshinohara @ShinShinohara

教科書を5回くらいさらうと、教科書とは埒外に難解だった配布プリントもなんとなく理解できるようになり、定期テストも(教科書に基づいた内容とはとても言えない難解な問題で構成されていても)解けるようになってくる。基礎体力がついて、応用問題にも手が付けられるようになるのだ。

2016-04-14 20:43:32
shinshinohara @ShinShinohara

私が相談に乗った子は、学年で5本の指に入る最底辺の成績の子だったが、高校受験の頃には応用問題もどんどん解けるようになり、受験テストの時点ではおそらく学年で30位以内のレベルに達していただろう。実際、高校生活では常にトップレベルの成績で、大学もなかなかよいところに行った。

2016-04-14 20:45:20