ニンジャスレイヤー二次創作【テンダー・ホワイト・ドラゴン・アンド・ブルタル・レッド・ブラック・ドラゴン】#2

◆無名のサンシタ @MMMwithbe 第一作◆公式と関係が一切ない◆身勝手◆ #1:http://togetter.com/li/963105 #2:このまとめ #3:http://togetter.com/li/969615 続きを読む
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プロキオン @MMMwithbe

そして、闇カネモチたちの娯楽――アマクダリ経済部門が取り仕切る、庶民が一生かかっても稼げない額のカネをベットしての暗黒賭博も、今までにない盛り上がりを見せていた。豪華VIP専用ウェイティングルームで、テンサイ級のタイピング速度でUNIXを操作しながら、ヤマ氏は口角を吊り上げた。

2016-04-17 13:21:54
プロキオン @MMMwithbe

レフェリーによるルールと反則行為の確認が終わった。ファランはミナミノウミの目を見据えたまま微笑み、オープンフィンガーグローブをはめた右手を差し出した。「ドッソイ!」ミナミノウミは乱暴にその手を払い、青コーナーに戻った。ファランも無言のまま赤コーナーに戻った。笑顔は消えていた。

2016-04-17 13:22:21
プロキオン @MMMwithbe

「「ワオオオオーッ!」」観客の期待が高まる。歓声はリョウゴク・コロシアムの高い天井に反響し、観客をさらなる興奮状態へと否応なく誘う。フジキドは周囲の熱狂を冷静に観察する。ジツの類を使った形跡はない。心理効果を巧みに使った群衆誘導。暗黒管理社会システムの、見えざる武器。

2016-04-17 13:22:53
プロキオン @MMMwithbe

「ラーウンド、ワンッ! ハジメテ!」ジャーン! レフェリーの合図を確認し、ゴング担当スモトリが銅鑼を鳴らした。ファランとミナミノウミは、ファイティングポーズのまま前進し、互いに左腕を伸ばした。試合開始時にはこうして互いの拳を軽く合わせるのが、格闘家として不可欠のアイサツだ。

2016-04-17 13:23:29
プロキオン @MMMwithbe

赤と青のオープンフィンガーグローブが接触した。コンマ5秒後「ドッソイ!」ミナミノウミの胴タックル! その重量感あふれる巨体からは想像できぬ瞬発力! リキシ・リーグ直前までいった実力派スモトリのタチアイ・ムーブは健在だ! 「グワーッ!」ファランは為す術もなく地面に押し倒された!

2016-04-17 13:23:56
プロキオン @MMMwithbe

リング中央付近、仰向けに倒れたファランに覆い被さり、マウントポジションを取ろうとするミナミノウミ! スモトリ上がりの格闘家のスタンダード戦法、グラウンド・アンド・パウンド! 丸太めいた両腕で170キロの体重を乗せたパンチを打ち下ろされたら、ファランはひとたまりもないだろう!

2016-04-17 20:19:04
プロキオン @MMMwithbe

ファランは必死にもがき、押し潰される前にミナミノウミの腹の下から脚を引き抜いた。仰向けのまま、ビール樽めいたミナミノウミの腰回りを両脚で挟み込む。グラウンド攻防において劣勢の側がとるべき定石、ガード・ポジションだ! 試合に備えて最低限のグラウンド対策は練習している!

2016-04-17 20:19:23
プロキオン @MMMwithbe

だが体重差は実に2倍、ミナミノウミはガード・ポジションもお構いなしにファランを殴りつけにかかる!「ドッソイ! ドッソイ!」「ヌウーッ! グワーッ!」ファランは身をよじり、あるいは両腕で頭部をガードして耐える! しかし全ての攻撃をかわすことはできない! ガードの上からも重い衝撃!

2016-04-17 20:19:39
プロキオン @MMMwithbe

「1分経過ドスエ。ワンミニットゴーン」「「ワオオオオーッ!」」「「ヤッチマエー!」」「「ガンバレー!」」自動マイコ音声のアナウンスは、観客の熱狂にかき消されてほとんど聞こえない。バーリトゥードルールは3ラウンド制、10分・5分・5分。第1ラウンドはグラウンドを得意とする者が有利!

2016-04-17 20:20:26
プロキオン @MMMwithbe

「ドッソイ! ドッソイ!」ミナミノウミは頭部だけでなく、時折脇腹へのボディブローも織り交ぜる。豊富な実戦経験に基づく的確な戦術! 両足を相手に絡めたガード・ポジションでは自分の胴体への攻撃をガードしきれない! 「グワーッ! ヌウーッ!」ファランは腹筋アイソメトリック緊張で耐える!

2016-04-17 20:21:16
プロキオン @MMMwithbe

「ハァーッ! ハァーッ!」ファランの息が上がる。打撃のダメージに加え、ミナミノウミの体重による計算された圧迫が継続的にスタミナを奪ってゆく。ミナミノウミはファランの脚を持ってこじ開ける。片脚が外れた。ファランの両脚はかろうじてミナミノウミの右大腿を挟む。ハーフガード・ポジション!

2016-04-17 20:21:33
プロキオン @MMMwithbe

「ハァーッ! ハァーッ!」ミナミノウミの息も上がる。上からのしかかる側とはいえ、170キロの巨体でほとんど休みなくマウントパンチを続けていれば、攻め疲れは免れない。だが、彼がファランに勝つプランは、このままグラウンドから逃さず攻撃を続けてレフェリーストップTKOに追い込むのみ!

2016-04-17 20:21:45
プロキオン @MMMwithbe

「2分経過ドスエ。ツーミニッツゴーン」「ドッソイ!」スタミナ面の不利を自覚するミナミノウミは、膂力を振り絞ってファランの脚をこじ開け、強引に自分の右脚を引き抜いた。ファランの腹をまたぐ。マウントポジション完成! 勝機!「ドッソイ!」右腕を大きくバックスイング! 観客の悲鳴!

2016-04-17 20:22:01
プロキオン @MMMwithbe

その瞬間、ファランの表情が、アトモスフィアが変わったのを、フジキドは見逃さなかった。途方もなく重いマウントパンチに2分間もさらされ、170キロの体重をまともに腹部へ受けてほぼグロッギー状態のはずのファランは、焦りから動作が粗くなったミナミノウミの様子を、しっかりと見据えていた。

2016-04-17 20:22:31
プロキオン @MMMwithbe

「イヤーッ!」「グワーッ!?」――何が起こったか理解するまでに、フジキド以外の観客には数秒のタイムラグを要した。ミナミノウミの巨体が、マウント姿勢のまま、前方へ2mほども跳ね飛ばされた。オスモウのファンダメンタル・ムーブである前方回転ウケミすら取れず、ブザマに腹から落下!

2016-04-17 20:22:56
プロキオン @MMMwithbe

「グワーッ! ドッソイ!」赤コーナー付近で混乱しながら立ち上がったミナミノウミが振り返ると、ファランは既にワーム・ムーブメント2回転で距離を取り、ニュートラルコーナー付近で片膝立ちになっていた。「ワッザ!?」「アイエッ!?」「スゴイ!」「ワオオーッ!」驚愕する観客とPPV放送席!

2016-04-17 20:23:38
プロキオン @MMMwithbe

解説者とアナウンサーは理解不能事態に混乱し、いつの間にかすぐ隣の特別解説席にどっかりと腰を下ろしていたヤマ統括本部長に話を振ることしかできない。ヤマ氏はもったいつけて言った。「ブリッジですなあ、ブリッジ。いやあファラン選手、すばらしいカラテだ。《ザ・マジシャン》と言うだけはある」

2016-04-17 20:23:55
プロキオン @MMMwithbe

然り、ブリッジである! ミナミノウミが大きく右腕を振り上げ、マウントポジションの重心が前上方に動いた一瞬のタイミングを逃さず、ファランは渾身のブリッジでミナミノウミの尻を大きく跳ね上げたのだ! タツジン!

2016-04-17 20:24:15
プロキオン @MMMwithbe

しかし、である。ジュドーやアイキドーの有段者は、相手の動きを巧みに利用し自分より大きく重い相手をも自在に投げ倒すというが、それにも限度があろう。しかも両者スタンドならいざ知らず、マウントポジションを取られた状態からこんなことが起こりうるのか!? 物理法則を破るかのごとき驚異現象!

2016-04-17 20:24:45
プロキオン @MMMwithbe

「フゥーッ……!」ファランは片膝立ちでひとつ息を整えると、すっくと立ち上がり、テコンドーの構えを取った。左手左足を前に、半身で構えるオーソドックススタイル。つい先ほどまでのひたすら耐え凌ぐ局面は、もはや一変した!「「「ファーラン! ファーラン! ファーラン!」」」黄色い歓声!

2016-04-17 20:25:21
プロキオン @MMMwithbe

ファランは小刻みで不規則な跳ね足を刻みながら接近する。「ドッソイ!」息を荒らげながらのヤバレカバレなタックルを、闘牛士よろしく俊敏なサイドステップで回避。そして!「イヤーッ!」SMASH! 側面からの痛烈な右下段回し蹴りが、ミナミノウミの左大腿裏側を打ち据える!「グワーッ!」

2016-04-17 21:15:27
プロキオン @MMMwithbe

さらに左、右の2発を左大腿へ!「イヤーッ! イヤーッ!」「グワーッ! グワーッ! ……ドッソイ!」「イヤーッ!」ミナミノウミが振り回すバックハンドチョップを、最小限のバックステップで回避、すかさず「イヤーッ!」ヤリめいた左前蹴りを腹部へ!「グワーッ!」後ずさるミナミノウミ!

2016-04-17 21:16:01
プロキオン @MMMwithbe

右回りのサークリングと前後の出入りで巧みに間合いを調整し、ファランは次々とチャギ・キックを放つ! 下段、中段、前蹴り、横蹴り、回し蹴り! 変幻自在! 有効打多数!「グワーッ! グワーッ! グワーッ!」下段蹴りのダメージ蓄積で瞬発力を殺され、ミナミノウミはリング中央に釘付けとなる!

2016-04-17 21:16:35
プロキオン @MMMwithbe

「ド……ドッソイ……!」いかに頑丈なスモトリ・ボディでも耐久力の限界はある。ふらつき始めたミナミノウミの前で、ファランは相手に近い側、左の膝を腰の高さまで上げた。そのままの構えを維持! これはテコンドー奥義、フラミンゴ・スタイル!「「「ワオオオオーッ!」」」割れんばかりの歓声!

2016-04-17 21:17:11
プロキオン @MMMwithbe

「ナメやがって……! ドッ「イヤーッ!」「グワーッ!」機先を制する左上段回し蹴りが顎先にヒット! さらに左膝を軸にしてチャギ・キック連打!「イヤーッ!」脇腹!「グワーッ!」「イヤーッ!」大腿!「グワーッ!」「イヤーッ!」右脚で小さく跳んで間合いを詰め、テンプル!「グワーッ!」

2016-04-17 21:18:50