ニンジャスレイヤー二次創作【テンダー・ホワイト・ドラゴン・アンド・ブルタル・レッド・ブラック・ドラゴン】#2

プロキオン @MMMwithbe

なんたる華麗な技の切れ！　なんたるしなやかな柔軟性！　これぞテコンドー！「5分経過ドスエ。ファイブミニッツレフト」大歓声の中で自動マイコ音声を聞き取ったファランは、フラミンゴ・スタイルを元に戻すと同時に、右脚を高く振り上げた。「アイエッ!?」ミナミノウミは反射的に左腕で顔を守る。

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芸術的な前方180度開脚から「イィィヤァァーッ!!」ファランは裂帛のカラテシャウトと共に右の踵を打ち下ろす！　テコンドー奥義、ネリョチャギ・ヒールストライク！　SMAAAAASH!!　ミナミノウミの左前腕の骨を容易く粉砕！　そのまま額に直撃！「アバーッ！」大流血！

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分厚い右掌で額を押さえるが、とても止まらぬ！「アバーッ！」ミナミノウミはその場にうずくまった。戦意喪失ならびに負傷により試合続行不可能。レフェリーが両腕を大きく振ってTKOを宣告し、医療班を要請。ジャーン！　ゴング担当スモトリが銅鑼を鳴らした。リングアナウンサーがマイクを取った。

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「1ラウンド5分12秒、テクニカルノックアウトにより、勝者！　ペク・《ザ・マジシャン》ファーラーーン！」タオルで汗と返り血を拭い、ファランはリング四方に、そしてミナミノウミとそのセコンドに奥ゆかしくオジギした。「「「ファーラン！　ファーラン！　ファーラン！」」」黄色い歓声！

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すぐにリング上での勝利者インタビューが始まった。試合中とは違う爽やかな笑顔で、ファランは礼儀正しく感謝の言葉を述べた。観客に、ペイ・パー・ビュー視聴者に、セコンドたちに、そして最愛の妻と二人の息子に。大会公式コンテンツディスク（限定特典映像付き）のIRC販売予約が一気に増えた。

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インタビューの後、リングを降りて花道に向かう直前。ファランとヤマ氏の視線が交錯した。ヤマ氏は鷹揚な笑顔を見せてサムアップした。観客からは、盛り上がった逆転ファイトに満足したヤマ氏が彼を称賛しただけのように見えただろう。ファランは儀礼的なオジギを返し、足早に花道へと去った。

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（ヌウーッ……）ファランの試合を見届けてリョウゴク・コロシアムを出たフジキドは、実地調査が空振りに終わったことにもどかしさを感じていた。脅迫者とおぼしき者の姿は見えず。かといって、シタクベヤ・ウェイティングルームまで潜入するのは無用な危険が伴う。ここはアマクダリの懐なのだ。

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あまり彼女に負担をかけたくはないが、やむを得まい。フジキドは拠点のひとつであるアパートメントに戻り、UNIXと外付けファイアウォールの状態を入念に確認した上でIRCセッションを要求した。すぐに返信があった。『ドーモ。私の力が必要？』『ドーモ。調査と、身分証の偽造を頼みたい』……

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【テンダー・ホワイト・ドラゴン・アンド・ブルタル・レッド・ブラック・ドラゴン】#2　おわり。#3　へ続く。

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◆三◆ニンジャ名鑑#2【ペク・ミナ】◆下◆ 非ニンジャ。トーシン・カラテヒーロー・グランプリの大人気選手ペク・ファランの妻。高級ハンドメイド・コケシめいた美貌。その胸は標準的。夫の秘密は全く知らず、強い信頼と愛情を寄せる。双子の息子ソンギョンとユンスン（2歳）がいる。