富野流仕事術~自分の個性を信じる~その1

2016/4/17 富野由悠季氏講演 私的メモその1です。
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<前置き> ・青山教室ご担当者の依頼で今年も実現 ・熊本の震災について  今日のギャラは熊本震災に寄付したい。「(受講者に)いいですか?」 九州の方はこのような話も聞いてられないだろうと辛い部分がある。 ・今日は原稿を読むスタイルにする。とっちらかっちゃうから。

2016-04-18 22:34:19
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・今回の主題、開口一番で申し訳ないが「自分の個性を信じる」はウソ(会場爆笑)事務方に任せたためとも言えるが富野が書くと面倒くさいタイトルになるので聴く気になりそうなタイトルにした。 ・今日はビデオカメラを入れさせてもらった。ハレの舞台がここしかないので。死ぬ前に遺影として!

2016-04-18 22:36:01
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<演題の核心> 世間と付合うと個性は否定される。潰されるぞという話です。世間には一杯人がいる、自分は一人、折合いをつけないと生きていけないのが現実。こんなこと言うと来年ここに呼んでもらえないかもしれない。そういう現実と対決して勝負かけても保証はない。フリーランスの人間には切実。

2016-04-18 22:37:05
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「個性で食べていける」世間、空気を読んで対応できる人でないと出来るわけがない。空気を読むのは才能、僕にはできない。中年の人達はよくわかっているだろうし若い人達は覚えておいて欲しい。仕事と自分の関係、作品と自分の関係とは、自分が関わる以上嫌でも応でもクセが出る。

2016-04-18 22:37:59
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認められて初めて「個性」である。評価される成果があってのこと。それまではクセでしかない。そうであれば個性を信じていいかもしれないが特例だろう。普通の人ではクセを出せば使いづらくて外される。今日のように「個性がなんとか…」というのにイチャモンを付けるのは僕の嫌な個性、クセです。

2016-04-18 22:38:37
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一見「個性」とされるものを才能や能力だ、と皆さん方は信じ込まされている。

2016-04-18 22:39:15
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<昔の話、40年ほど前の話> TVで発表される作品はスポンサーや代理店、制作会社があってできる。個人でできる仕事ではない。フリーには生き抜くということが命題になる。映画の著作権は制作会社が持つという法律が出来た頃だった。

2016-04-18 22:39:38
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アニメは映画と見られてないので著作権は買い上げ、それ以前は会社による買い上げもなく全て出来高払いの時代だった。買い上げで売価が発生するだけマシだった。契約書については前に話したこともあるので知ってる人に聞いてください(笑)。

2016-04-18 22:40:02
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著作権がないので「名前を売る」ことを意識した。名前が売れるように番組に仕込む、番組を利用した。最も穏当なのは良い作品をつくること。出資者はニコニコで、作り手は名前が売れる。 では、よい作品を作れないフリーはどうする?

2016-04-18 22:40:33
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僕は上手にできなかったが、TVのプロデューサーや代理店に気に入られるようにする、プロダクション制作部に便利と思われるようにする。だから「コンテ千本切り」ってあだ名がついた。「スケジュールだけは守ってみせる!」どうせコンテの中身は見られない(笑)。

2016-04-18 22:40:54
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それで、色んなジャンルの作品をさせてもらえた。作品を選んじゃいけない。得意なジャンルだとかはそれはクセでいこうということ。しゃらくさい。換金できない個性やクセは封印して、スケジュールは守ってみせようと。トミノっていうフリーのコンテマンがどこにでもいると話題になった。

2016-04-18 22:41:15
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裏表の番組でかぶってもバレないようにPNをいくつか作った。(あさみなみ、井荻凜…)ガンダム放映しているときでもアニメで名前は売れなかった。ただ、映画の話が来るように仕込んでいた。TV版でヤラレメカとの戦闘シーンを外しても繋がるようにしていた。

2016-04-18 22:41:47
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巨大ロボものが流行ってるらしいから映画にしてくれって話が来ても平気だった。1クールをまとめただけ、映画会社は気がつかない。ヒットしたから次があった。劇場版一本目で終わると思っていたから‘Ⅰ’をタイトルにつけていなかった。

2016-04-18 22:42:27
粘液ップ🚀 @hagetenai

後にBDなどソフトを出すにあたって付ければいいのに付けない、誰も思いつかない、その方がわかりやすいだろうにね。それが世間、リアリズム。もう一つ仕込んだのは作品的なリアリズムと大衆ウケするSF感覚。それはSFをよく知らない素人だからできた。

2016-04-18 22:42:47
粘液ップ🚀 @hagetenai

映画的リアリズムをTV版から意識したので実際やるとなってもさほど苦痛はなかった。ガンダム終わってないのに終わらせた、いいのかなって。でもヒットしたからいい。だから作品評価なんてどこにもない。ガンダム周辺で仕事をしている人は何にも言わない。

2016-04-18 22:43:14
粘液ップ🚀 @hagetenai

うかつに言ったら、次自分がやったときに返ってくるから。それがサラリーマンの世界でありビジネスであった。ビジネスに近いそういう所では自分の好みは言っちゃいけない。個性なんて尚更に出しちゃいけない。「ガンダムのトミノ」になったら少しは名前が売れたが「汚名」だ。僕にとっては絶対的な汚名

2016-04-18 22:44:00
粘液ップ🚀 @hagetenai

40年間思い知らされた。ガンダム以外の仕事は一切来ない。フリーランスなので色々仕掛けないといけなかったのに…。器量がなかったのでしょうね。コンセプトで売らないといけないがガンダム以外ない、作家的能力がない、基礎学力がないので。

2016-04-18 22:44:27
粘液ップ🚀 @hagetenai

「ガンダムのトミノ」で気持ち良かったことはあまりない。今この時間だけ(笑)だから晴れ舞台です。 オーラバトラーなどでも世過ぎ身過ぎができると思っていた。とても恥ずかしいが過去の発言を紐解くと「宮崎アニメに勝てる!」なんて言ってて、ちょっとすると増長しちゃう!

2016-04-18 22:44:50
粘液ップ🚀 @hagetenai

ガンダムまみれだったのでファミリー層向けとかファンタジーとか目配りをしないといけなかったが個人では無理だった。ご存知の通りだが、宮崎さんも一人ではスタジオジブリを起ち上げられなかっただろう。宮崎さん、鈴木敏夫さん、高畑さんといった才能の組合せがないとできなかっただろう。

2016-04-18 22:45:10
粘液ップ🚀 @hagetenai

それで新しい視点が獲得できたからジブリの成功に繋がった。鈴木Pがビジネスとしてマーケットをはっきり捉えていたからだろう。全てが宮崎さんの趣味とは思えない作品ラインナップだし、そう匂わせていない。同じような色合いに見せている。宮崎さんの個性とはいうが簡単なことではない。

2016-04-18 22:45:35
粘液ップ🚀 @hagetenai

自分のことで言うと、もしプロダクトも含んだガンダムの全ての権利を持っていたら、現在のこんなガンダム人気は絶対にない。「誰がガンダムの名前を貸すかよ!」となって好みを出してしまう。そんな人が管理していたら今のようにはならない。

2016-04-18 22:45:53
粘液ップ🚀 @hagetenai

一人で権利を管理している例、こういう所で名前は出せないが、せっかくの良い作品なのになんでこんなだろうなってマンガもある。ガンダム人気はマーケットを意識して几帳面に働いてくださった方々がいたから、支援するファンがいたから成立する。

2016-04-18 22:46:10
粘液ップ🚀 @hagetenai

作品に力と運がなければヒットしない。人気というのは凡俗。実力、魅力があって運、すなわち時代状況が揃ってヒットする。でもそれも特例なんだよね。でも普通の人は『みんなの個性を大事にしましょう』と説明する。それは特例的な方が説明しやすいから。成功者は例にしやすい。

2016-04-18 22:46:47
粘液ップ🚀 @hagetenai

普通の事を説明するのは難しい、多種多様で。時代によっても違う。なので『お前の変なところを伸ばしていくとなんとかなるよ』と言ってしまうことが多いのでは。良き特性を良きように伸ばす環境ではない、義務教育は特に。僕も特例側ではない、ワンピースには徹底的に負けている。

2016-04-18 22:47:18