釜蓋山墜落機1

まとめて読みたいってリクエストもらったので(´・ω・`) 続きだよ。 http://togetter.com/li/1017991
55
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

第721海軍航空隊、通称「神雷部隊」はその桜花を運用するために編成された部隊だった。 『音速雷撃隊』や、最近だと『永遠の0』の主人公が所属したりと、比較的メジャーな部隊になるかな。何気に零戦52型ダンボーも721空マーキングみたいだし。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:18:47
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

事実、日本海軍機や部隊についてはプラモデルの説明書の解説程度しか知らないぼくでも知ってるくらいだかんね。 とはいえ「721空、神雷部隊は桜花隊、母機の陸攻隊、護衛の戦闘機隊がいた」程度で、細かな部隊名は知らなかったし、そもそもちゃんと調べたこともなかった。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:21:04
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

攻撃第708飛行隊(以下K708)は、もともとは762空の所属で、昭和19年末に桜花の母機として721空に編入された。定数は48機。ただし、末期の部隊の御多分に洩れず書類上は、という話をガチな一次資料を用いる贅沢さで研究官さんから教えていただいた。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:24:47
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

「でも、なぜ神雷部隊の陸攻が東北に?この日敵艦隊が現れたとかそれらしい理由も…」と言いかけて、はっと気づく。研究官さんも、ぼくが何に気づいたのかわかったんだろうね。「そうです」から始めた。「再建途中の剣作戦部隊の補充だったとしたら、辻褄は合います」 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:26:35
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

剣作戦 一式陸攻を輸送機とし、マリアナのB-29出撃基地に強行着陸。呉鎮守府第101特別陸戦隊(いまでいう特殊部隊ね)通称山岡部隊を展開させ、B-29を地上で破壊することを目的に立案された、事実上の特攻作戦。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:28:50
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

大戦末期に編成された剣作戦部隊は、青森県の三沢基地を中心に決行へ向けて入念の準備が進められていたものの、7月14〜15日の東北地方に対する米艦載機空襲によって、大損害を被ってしまう。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:30:45
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

作戦は当初の予定から延期され、その間に陸軍から挺進隊(いまでいう空挺レンジャー)が加わることが決まり規模が拡大、さらに原爆投下を受けて作戦目標に「原爆の破壊もしくは奪取」が追加されたものの…結局は決行前に終戦を迎えた「幻の作戦」となった。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:35:02
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

さっきからちらほら言及してたけど、剣作戦についてまったく解説してなくてすまない(´・ω・`) …あと、不忘墜落機群で得たぼくの知見からするとね、決行されなくて本当によかったと思うよ…。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:36:00
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

さて、一連のツイートを見ればもうおわかりだよね。剣作戦部隊が艦載機空襲による損害を受け、再建だけでなく陸軍の参加で規模を拡大していたその時期に、東北の空を飛んでいた708Kの一式陸攻がいたとすれば…。 もちろん他の可能性がないわけじゃないけど、蓋然性は高い。#釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:38:04
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

「剣作戦関連では?」という、単に「当時大型機が東北の空を飛んでそうな理由がそれくらいしか思いつけない」という浅いレベルの漠然とした推測の重みが、ここでにわかに増した。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:40:03
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

そしてこれが…と研究官さんは史料を机の上に置いた。「神雷部隊の行動調書です。残念ながらここにあるのは昭和20年4、5月分のみですが、何か手がかりがあるかもしれない。どうです?閲覧されますか?」 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:41:50
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

是非に…と行きたいところだったけど、その時既に閉館時間まであと一時間を切っていたんだよね。 ちょっと迷ったけど 「今回は辞めておきます」 研究官さん、絶対食いつくと思ってたのか意外そうに首を傾げた。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:43:02
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

「まず第一に、K708の意味を「いま知った」レベルのぼくが、いまこの貴重な一次史料を見たところで、いい情報を引き出せるか疑問なんです」と、正直に答える。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:44:59
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

ひとまずK708、8月3日という手がかりは得られた。思いの外深い部分まできたから、ここは一旦一般書籍の界層まで引き返し、神雷部隊やK708、一式陸攻に関する予備知識を十分蓄えてから改めて、の方がいい。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:46:21
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

登山と同じ。登るべき山がわかったんだから、ここは焦らず、きちん準備してからじゃないと道に迷って遭難しかねない。 残り一時間、改めて戦死者名簿と向き合い、他にも関連がありそうな記載がないかや、自分が変な勘違いがないかを確認して、その日はお開きになった。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:48:37
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

別れ際「今日はいい収穫がありましたね」と、顔全体が「いいね!」って感じの素敵な笑顔で、研究官さんは言ってくれた。この人がいなければ、ぼくだって戦死者名簿から逆算なんて思いつけなかったんだ。自分一人の力だなんて、とても言えないなーと、素直に思ったよ。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:55:11
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

「はい。本当にありがとうございます。仮に、調べた結果この3名が釜蓋山墜落機とは関連がなかったとしても…名簿上では理由が空白で、また不可解な点がある彼らの最後を明らかにするだけでも十分に面白いし、やる価値があると思うんです」#釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:58:25
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

というわけで、帰りの新幹線で神雷部隊と一式陸攻関連の良さげな本(『神雷部隊始末記』とか『一式陸攻戦記』とかが評判良さそう)を検索して目星をつけつつ、宮城に帰った。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 22:59:26
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

で、翌日。我が地元の仙台市民図書館にも神雷部隊戦友会の『海軍神雷部隊』と、その戦友会と加藤治氏がまとめた隊員たちの証言集『証言・桜花特攻 人間爆弾と呼ばれて』があるのは把握済みよ!ちょっとかりますぜ!!!! #釜蓋山墜落機

2016-05-09 23:01:40
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

まず『海軍神雷部隊』の神雷・竜巻部隊史の昭和20年7月2日(P.39)にこんな記述を見つける。 攻撃708飛行隊から剣作戦に陸攻派遣 三沢基地に陸攻2ヶ小隊(6機)、第二千歳基地に1ヶ小隊(機数不詳)が進出、706空司令の指揮下に入った。#釜蓋山墜落機

2016-05-09 23:03:43
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

全国各地から陸攻や陸軍の重爆が訓練基地の三沢・第二千歳基地に多数終結。陸攻は機銃・鉄板・電探をすべて取り外し、搭乗員は最小限(操2・偵察・電信・搭整・計5名)に減らして陸戦隊(10名)とその兵器を積んだ。#釜蓋山墜落機

2016-05-09 23:05:26
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

三沢組は海軍特別陸戦隊と組み、第二千歳組は陸軍と組んだ。三沢の搭乗員は陸戦隊山岡少佐から匍匐前進や陸上戦闘、倉庫の鍵開けまで訓練された。第二千歳では陸軍から教わった。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 23:06:39
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

なお、派遣された陸攻は到着まで目的・任務は知らされることはなかった。また所属はあくまで攻撃708のままで、終戦後原隊に復帰している。 また7月14日(p.40)には、 三沢に艦載機来襲攻撃708から派遣した陸攻3機被害。後、小松から補充。 とある。#釜蓋山墜落機

2016-05-09 23:08:13
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

さらに8月8日(同)には 三沢基地(陸攻6機) 第二千歳基地(陸攻3機?) とある。どちらも剣作戦に派遣と明記。ただ第二千歳は確証がない感じだね。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 23:10:06
しゃーくさめさめ(Op.Fubo) @same_desu2

また『人間爆弾と呼ばれて』の陸攻搭乗員のアンケート回答を見ると、三沢ないし千歳への派遣組の証言がちらほらあり、そこで陸戦の訓練を受けたことや、第二千歳組は陸軍と一緒だったこと、陸戦隊は5人1組で、1機につき2組10名の搭乗だった等、裏付けとなるものだった。 #釜蓋山墜落機

2016-05-09 23:15:49